軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

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そうこうしていると授業開始日となり、その日は先ずは入学式だった。

新入生は背嚢と水袋など、武器も含めて基本装備一式持参せよとの事である。

嫌な予感がする。

演習場に整列して後ろには上級生たちも整列している。

正面には演台が置かれ、軍楽隊も人数が凄い。

勇ましい曲が演奏され、入学式が開催された。

校長の挨拶があり、来賓の軍人が挨拶をした。

上級生の歓迎の言葉があり、入学生代表の挨拶があった。

もの凄く普通な学校行事だ。

てか、日本の学校教育が軍事教練をモデルにしてたんだっけ?

それなら似てて当たり前だよな。

ちなみに長官は居なかったよ。きっとまだカイエンなんだろうな。

ひと通り式次が終わり、国歌らしき曲が演奏されて国旗が掲揚された。

来賓が帰り、軍楽隊が片付けを始めると演台に教師が立った。

俺の入試のときに剣術と馬術をみてくれた人だ。

今日は軍服に身を包んでいる。

きっとこれからが本番なんだろうな。

「諸君らの中には初めからいきなり下士官として戦場に立つ者もいるだろう。中には作戦立案に関わる者もおるかも知れん。しかしだ! 歩兵の気持ちが分からずして兵の指揮など取れまい! ましてやまともな立案など出来はしない!」

流石はアカデミーだけあって新入生からどよめきすら上がらなかった。

皆、微動だにせず聞いている。

「早速だが、諸君らには行軍演習をしてもらう! 期間は明日の朝まで! これで音を上げるようならアカデミー卒業などできぬと思え! 前列から順に二列縦隊を作り水と食料を受け取れ! 行軍開始!」

マジか。女子も同じなのかな。

それはちょいとばかしハード過ぎるよな。

何人かが質問の挙手をしているが無視されている。

隊列は野菜畑を抜けて男子寮の所で水袋に水を入れてもらい、食料の入った麻袋を渡される。

寮の裏の林沿いに進んでいく。

道は一応平らで踏み固められてはいる。

振り返ると後ろに整列していた女子たちも同じコースに入っているのが見えた。

男女平等が凄えな。

教官の目が届かなくなった辺りで、流石にざわざわと私語が交わされた。

俺は少し王子と離れていたので小走りで追いつき隣に付いて歩き始める。

「来たか、オミ」

「ええ」

皆が同じ考えだったようで配置替えをしつつもまた二列縦隊の形となった。

「いきなり夜通しの行軍とはなかなかだな」

「軍隊らしい歓迎ですね」

俺はペースは落とさないように背嚢に入れてあった手拭いを取り出して頭に掛けた。

「何をしている?」

「暑いし日差しが強いんで熱中症予防です」

「確かに、良い案だ」

王子も手拭いを出して頬被りにした。

おしゃれではないけど実利を取るべきだよな。

暫くすると、馬に乗った教官が「十分後に十分休憩!」と叫びながら追い越していった。

流石に休憩は入るか。

多分、この感じだと五十分歩いて十分休憩だな。

馬での旅と一緒だ。

きっと日没前に食事休憩もくれるだろう。

これなら何とかなるかも知れない。

隊列の前方が足を止めたのに合わせて俺たちも足を止めて地面に座り込んだ。

軽く水分補給をして配布された食料を確認した。

いつもの堅パンと干し肉かと思いきや、なんと入っていたのは干し豆とナッツと干し葡萄。珍しくパンを小さく切ったクルトンのようなのも混ざって入っていた。

つまり行動食のみ。

こりゃあ食事休憩はなさそうだ。

俺は一掴みの行動食をチュニックのポケットに入れた。

五十分ごとに拘らずちょこちょこ食べよう。

「何やってるんだ? 勝手に食べると叱られないか?」

背後から声が掛かって振り返ると平民出と思われる何人かがこちらを見ていた。

「多分だけど、食事休憩は無さそうだから歩いててヤバそうな時に食べれるように準備したんだ。一時間に一回の十分休憩は入るだろうけど、トイレとかゲートルの巻き直しとかしてて時間が足らなくなると食べられなくなるからね」

「そ、そうなのか」

「分からないけど、多分」

王子も振り返って補足をする。

「もし朝を食べてないなら今も少し口にしておいた方がいい。エネルギーが切れると急に辛くなるぞ」

「俺たち朝はしっかり食べたよ。でもありがとう」

後ろとは別に聞こえていただろう前の二人組が慌てたように背嚢を開けて行動食を口に入れた。

こっちは貴族だろう。

服がキレイで身体が大きい。

ちなみに、貴族と農家の見分けは服だけでなく体格でも割と分かる。

農民は大抵痩せてて小柄なのだ。

普段の食事が足りてないのだろう。

肉や脂を食べる機会もないのかも知れない。

王子は前の二人がこういうのに慣れて無さそうだからわざわざ聞こえるように言って教えてあげたのか。王子優しい。

貴族は朝に食べない連中が居るのだな。

まあ、肉体労働者じゃなければ抜く奴も居るか。

前方が立ち始めたので俺らも立ち上がった。

行軍開始が午前十時だったとすると明日の朝まであと十五時間ほどか。

流石に仮眠を取れるくらいのまとまった休憩はもらえるよな。

無しだったらヤバい。

こりゃ倒れるのも出るだろうな。

てか俺が倒れないように注意しなきゃな。

俺たちはまた歩き始めた。