軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

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王都にたどり着いた。

要した日数は十六日。

二十日の道のりを四日短縮する事ができた。

これはひとえにフルミネの頑張りに因るところが大きい。

ついでに俺も駈歩に随分慣れることができた。

俺が編み出した乗り方は股を大きく開くようにして脚はピンと伸ばし少し立ち上がるようにして尻の荷重を減らすというやり方だ。

不安定になるぶん鞍の前を手で持つ。

手綱はぶらんぶらんになるけどフルミネはちゃんと道沿いに走ってくれるので問題ない。

モリモリ走って休憩時にモリモリ果物を食べる。

それがフルミネには向いているようだ。

そう思って旅を続けてきてまもなく王都というところで出会った騎馬兵のお兄さんに怒られた。

兵隊さんなら安心と、同じ休憩所でフルミネにスイカを食べさせていたら、あげすぎだと怒られた。あまり甘いものをやり過ぎると蹄の病気になってしまうのだそうな。

蹄がボロボロになって脚の病気になり死んでしまうこともあるらしい。

ゲオルグも馬は蹄が弱いって言ってたもんな。

その兵隊さんはフルミネの糞までチェックしてくれた。

まだ大丈夫らしい。

ゆるくなってたら要注意とのこと。

果物と穀物は危険なのだそうだ。

馬に草ばっかりあげるのにも理由があったんだな。

俺はてっきり安いからだと思っていた。

とにかく俺は知らないことが多過ぎる。

誰かに体系的に教えてもらいたい。

でもアレか。

その為のアカデミーか。

日が暮れる前に宿にたどり着いた。

馬房を開けてもらってフルミネに馬草をたっぷりとやる。

エルフの里に着いた時はちょっと肋骨が浮いてたもんな。

長旅が続くと馬だって辛いよな。

いやはやご苦労さん、お前がタフな馬で助かったよ。数日は休めるからな。しっかり休んで蹄には気をつけろよ。

そんな事を言っていると王子が馬小屋に入ってきた。宿の主人に俺の帰りを聞いたのだろう。

「帰ったか」

「おかげさまで只今戻りました。体調はもうよろしいので?」

「四〜五日寝込んだな。熱を出すなんて幼い頃以来だ。みっともないところを見せたな」

「いえいえ、長旅はキツイですから。フルミネもこないだは肋骨が浮いちゃって」

「本当か」

王子は馬柵棒をくぐって馬房に入ってきた。

肋に手を触れ、首や背中などあちこち撫で回して確認している。

「もう大丈夫なのだな。お、蹄も掻いてもらったのか。どれ」

王子は歩き回って四肢を確認して感心するようにため息を吐いた。

「エルフにも良い装蹄師がいるのだな」

「そういうのあるんですか?」

「専門職があるくらいだからな。下手なのに任せると脚の長さが揃わず馬脚が乱れる。そのままにしておくと脚の病気になることもある」

馬ってほんとに蹄が弱点なんだな。

糞を踏んでも駄目。甘いものを食べても駄目。長さが揃わなくても駄目。

野生馬は逆になんで大丈夫なんだろうか。

ずっと走り続けて良い感じに蹄が削れるということなんだとは思うが。

「エルフの里はどうだった。新しい魔術は教えてもらえたのか?」

「そうですね。衝撃波の魔術を教わりましたよ」

外科手術の魔術についてはいちおう伏せておくことにしよう。

王子といえど、どういう経緯で秘密が漏れるか分からないもんな。

長官と俺の身を守る為だ、仕方あるまい。

「衝撃波?」

「こんなのです」

俺は馬屋の内壁にパスンと衝撃波を当てた。

王子は微妙な顔をする。

そりゃそうだ。地味過ぎる。

「これで小鳥が落とせるんです」

「ふむ」

「あとクマの耳に打ち込んだらぶっ倒れました」

「えっ、クマに遭遇したのか?」

「ええ、でっかいヒグマに里が襲われまして」

「なんだと?」

「エルフの長老ふたりに手助けしてもらいまして、なんとか倒すことができました」

「え、オミがクマを倒したのか?」

「はい。エルフの少年を咥えて走るところをさっきの魔術で転げさせまして。で、少年を介抱してたらクマが戻って来たので、いただいたダガーで腹を掻っ捌いてやりました」

「ええ?」

「あ、お土産です。クマの爪」

俺はポーチから七センチほどの鉤爪を取り出した。クマを捌いたエルフがくれたのだ。

「お、オミ殿お帰りで」

「お帰りなさい。もう夕食の準備ができたらしいですよ」

ロレンツォとアウグストも馬屋にやって来た。

「皆さんのぶんもありますよ。ヒグマの爪です」

「オミがクマを退治したのだそうだ」

「え、それは凄いですね!」

「うわ、デッカいですね。王子の倒した竜のと同じくらいありますね」

アウグストがネックレスに仕立てた竜の爪を首元から引っ張り出して比べた。

珍しくロレンツォが声を上げて笑った。

「いやはや、竜殺しに熊殺しですか。おふたりはその異名でもう食べていけますな!」

俺と王子は顔を見合わせ、そして笑った。

確かに田舎の武闘派ヤンキーみたいで面白い。

なんか道場破りとかしてそう。

俺たちは笑いながら食堂へ足を向けた。