作品タイトル不明
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「お主のフレイムピラーは確かに派手で巨大じゃが、こないだヒヨドリを焼いた竈門みたいな煙突効果と同じ理屈なんじゃよ」
ああ、そういやめっちゃゴーゴー言ってジェットエンジンみたく炎が吹き出してたな。
「火種のサイズは普通のと一緒なんじゃが、予備的な圧縮と螺旋状の上昇気流で効率が抜群に良い。お主は煙突効果を知らぬと言っておったが知らず知らずのうちにそうなるように精霊に指示を出しておったのじゃろ」
「はー、なるほど。お任せでやってもらってたんで精霊が上手いことやってくれてたんですね」
ゲオルグが訝しげに眉を顰める。
「お任せ? イメージで精霊に結果を伝えておらんのか?」
「はい。使う魔力の量だけ伝えて、後は出来るだけ大きく派手にと、、、」
ゲオルグは腕を組み思案するように目を天井に向けた。
そういえば長官も結果をイメージする事が大事で、精霊に任せてしまう魔術の使い方は初めて見たと言っていたな。
「ええと、オミクロンお主は精霊には知能や意志があると?」
「そうですね。だって言葉でお願いするとやってくれるんだからそうなんじゃないですか?」
だって精霊でしょ?
逆にナノマシーンて聞いてドン引きだったわ。
「お主は精霊と会話しておるのか?」
「あ、いえ。返事はないですね」
「ふーむ、面白い。ちょっと会話できるかやってみい」
え、何を聞けば返事がもらえるかしら?
「精霊さん、お名前はありますか?」
返事なし。
そうか返事の仕方を指示しなきゃ返事のしようがないか。
「ハイなら軽い衝撃波を一回あのドアにぶつけてくれ。イイエなら二回衝撃波をぶつけて音を鳴らしてくれ。名前はある?」
パス、パス。
おお、返事があった。
会話ができるのか。
「姿を表したり、声を出したりはできる?」
パス、パス。
流石に無理か。
できるならやってるか。
「俺の脳に直接何かイメージを送ったり共有したりはできる?」
パス、パス。
それも無理か。
受け取ることはできるのに発信はできないのか。不便だな。
「意識とか気持ちとかってある?」
返事がない。
概念としてちょっと難しかったかな?
あ、マズい。
なんか魔力をいっぱい使ってんな。
今は切れかけなんだよ。
「ごめん、ちょい待ち。魔力が切れそうだ。難しい事を聞いてごめんよ?」
魔力の使用は止まった。
「ふーむ、会話はできたな」
「あの、ひょっとして大発見だったりしますか?」
「世紀の大発見じゃろ。かつて誰もそのような事を試した者は居まい、、、いや、もしかすると精霊を生み出した祖先はそのような使い方もしておったのかもしれんがの、、、」
ナノマシンに知能か、、、
電子顕微鏡が欲しいな。
いや、見ても分かんねえか。
そもそもどれくらいの量が居るんだろう?
マジで空気と同じ重さだとするとサイズも分子レベルだったりする?
だとしたら数じゃなくて空気中の含有量か。
いやいや、そんなんであんな風に火をつけたりクマを切ったりは出来ねえだろ。
それくらいのパワーがあるならそこそこの重さがあっても浮くくらい簡単に出来そうだ。
少なくとも何らかの構造体でないと理屈が合わない。
いや、それを言ったら全てが理屈に合わないんだけど。
そもそも物理法則を無視してるから魔法なんだろうな。
ちょっと待て、魔術と魔法の違いって何だ?
いやいやいや、頭の中がとっ散らかってる。
俺は今何をしてるんだっけ、、、?
見るとゲオルグも椅子に背を預け、険しい顔をして腕を組み目を瞑ったまま上を向いている。
えーと、えーと、、、
そうだ、俺は魔力切れを起こして死にかけたからベッドで休んでるんだった。
先ずは魔力と体力の回復をせねば。
俺は手に持ったままだった昆布を慌てて口に含んで横になった。
うん、美味い。
てか効く。
うっすら残っていた悪寒と手の痺れと身体の中の不快感が溶けていく。
全く、言ってる事が重度の薬物中毒者みたいだな。
薬物中毒者は最初はキモチよくて薬物を摂取するんだけど依存と副作用が酷くなると不快感や痛みを取り除く為だけに薬物を摂取するようになるのだ。
そうして依存が深まっていくんだ。
お兄さん、昆布より効くのあるよ?
ちょっとお値段はするんだけどねー
絶対お兄さん気に入ると思うんだけどなー
退薬症状?
全然ないよ、これで昆布やめれた人いっぱい知ってるんだから、、、
ヤバいな。
最近の俺は完全に昆布頼みになってるな。
手持ちも少なくなってきてる。
セイレーン号に置いてある残りを早めに回収しておかないと。
いや、それより売人と繋ぎを付けておかないと。
パラデーノ医師は昆布を使って王都で陞爵を目指すと言っていた。
もう軍部に取り入って昆布の大量収穫を成功させてるかしら?
きっと貴族社会では「昆布男爵」とか呼ばれてるんだろう。
魔術使いをどんどん依存させていく麻薬王みたいになっちゃうんだ、、、
そんなアホな妄想に身を委ねているうちに俺は眠ってしまったようだ。
気付けばいつもの客間で真っ暗闇の中、寝ていたからだ。