軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

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日が落ちる前に小さな休憩所にたどり着いた。

旅人のためにちょっとした広場が作ってあり火が焚けるようになっている。

今までもよく見たパターンのヤツだ。

ここは珍しく東屋が設えてあった。

徒歩だと朝から歩いてちょうど夕方くらいにここにたどり着く塩梅なのだろう。

篝火台まである。

やはり王都との交流が盛んなのだと思わされる。

数キロ先には集落が見える。

集落に余所者を入れない為に意図的に距離を置いているのかも知れないな。

東屋を覗いてみれば桶に水が汲んで置いてある。

絶対そうだ。

あの村の人たちは余所者が嫌いなんだ。

過去に迷惑外国人に嫌な思いをさせられたのかも知れない。

ならば集落に迷惑をかけない為にこの場で迎え撃つのが良いだろう。

ちょうど良い位置に大きな木も立っている。

俺たちは頷き合って普段通りに野営の準備を始めた。

先ずは飯だ。

畑にだけは入らないように注意しながら馬には好きに雑草を食べさせて、ハムとチーズを挟んだパンを食べる。お茶も沸かして優雅な時間を楽しむ。

いつもこういう飯なら長旅も耐えられるんだけどなあ、などと考えながら各自毛布でうたた寝をした。

すっかり日が落ちて空に星が瞬き出した頃、俺たちは起き上がって準備を始めた。

明るいうちに拾い、篝火台にセットしておいた焚き木に火をつける。

敷いたままの毛布の下に荷物を入れて人が寝ているように偽装する。

さあ、後は待つだけだ。

篝火が追い剥ぎの到着まで持つかが懸念点だが消えてしまっても月明かりで何とかなりそうだ。

「来たぞ」

王子がそう囁いたのは想定よりも遅い時間。

もう諦めてしまったのでは、と疑い出した頃だ。

篝火はもうとっくに消えている。

俺は不安定な木の枝の上で緊張感を高めた。

この高い木は普通なら登れない高さに枝があったが、繋いだ馬の背に立てばなんとか登る事ができた。

ロレンツォとアウグストは畑の中に身を潜めている。

追い剥ぎたちは息を潜め、そろりそろりと休憩所に近づいてくる。

馬たちがそれに気付き脚を踏み鳴らしたり嗎を上げたり騒ぎ出す。

追い剥ぎは足を止めて反応を見る。

もちろん寝袋の反応はない。

何人かはそれを見て安心したようだが何人かは逆に警戒を高めたようだ。

追い剥ぎは総勢十二人。

倍どころか三倍の勢力だ。

武芸に自信がないのだろう。

アルトマンたちも仕事がないって言ってたからな。

何人かが東屋に近寄り、何人かが馬を鎮めようとこちらに近寄ってくる。

もう少しだ。

そう。

ゆっくり来い。

王子が詠唱を始める。

最初は小声で、だんだんとしっかりした声で。

「精霊よ、雲の精霊よ。大地を焦がす雷を与えたまえ。金属の鎧も貫く灼熱の閃光をもって我らを助けたまえ、、、」

詠唱に気づいた一人が慌てて周りを見渡し東屋に向かった仲間に知らせようとするがもう遅い。

「ウォーターボール!」

俺が最大限まで育てた水球を射出する。

「ライトニング!」

そこに王子の発生させた雷が鋭い破裂音と共に落ちて追い剥ぎたちは声もなく身体を硬直させ、糸の切れた操り人形のように崩れ落ちた。

ロレンツォたちが抜刀して駆け寄り、、、そのまま剣を鞘に収めた。

逃げ出す元気のある者は居ないらしい。

俺たちも木から降りる。

王子は真っ先に馬の心配をして一頭一頭の安否を確認した。

どうやら大丈夫なようだ。

地面を見ても馬の方には水は行っていない。

予定通りで安心する。

馬を繋いだ木と東屋、そして休憩所の入り口を結ぶ一直線がびしょびしょに濡れている。

入り口付近で周囲を警戒する人員も居なかったし、コイツらはかなりの素人のようだ。

「王子、いやクーゲル卿。お見事でした、魚獲りをした時よりもずっとデカかったですね」

「うむ、我とて魔術に励んでいない訳ではないのだ」

ですよね。

「さて、コイツらどうしましょう?」

「このままで良かろう」

「そうですね。では出発準備を、、、」

「お待ち下さい。ここで猪が倒れてます」

アウグストに言われて見ると入り口付近で小型の猪が痙攣していた。

「あ、此奴らこんな縄で我らを縛ろうとしておったのか、、、」

振り返るとロレンツォがナイフや棍棒を拾いながら長い荒縄をこちらに投げて寄越した。

「ふむ、、、猪退治も頼まれておったし、ちょうどいいな。ついでに血抜きをしておいてやろう」

王子が悪い悪い顔をしてそう言った。

翌朝、集落の人々はまとめて木に結えられた追い剥ぎを見つけるだろう。

そして頭を落とされた若い猪も。

そして驚くに違いない。

だって結えられた追い剥ぎたちには頭からたっぷりと猪の血がかけられているのだ。

休憩所を後にする時に振り返って見てみたら、真っ赤に染まった追い剥ぎどもが樫の木に括り付けられているのが早朝の薄明かりに照らされて、なんとも猟奇的な見た目になっていた。

子供が見たらトラウマになっちゃうかもな。