軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

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石を受け取り、お釣りを受け取って冒険者ギルドを出た。

「あの、少ないですけどこれ。僕一人では石屋で交渉する自信がなかったんで助かりました」

メンバーにお釣りの端数の銅貨四枚を渡そうとしたのだが断られた。

「お前みたいなガキから受け取る金なんかねえよ。大人の財力舐めんな。翼竜の素材と黒狼の討伐で幾ら入ったと思う?」

そうか、カウンターの隣では素材を引き取ってもらってたんだ。

聞こえる距離に居たのに全然聞いてなかったな。

吸魔石に全集中してたわ。

総髪が胸を張る。

「なんと全部で金貨二枚に大銅貨四枚よ」

「マジすか?」

なんと二百四十万円!

小型車なら新車が買えるお値段だ。

総髪パーティ四人で分けても一人六十万円。

中々良い仕事だ。

「本当に良いんだよな?」

総髪は王子に確認する。

「ああ」

王子は手の中の何かに夢中で上の空だ。

覗き込むと艶やかな真っ黒い鉤爪。

「翼竜の爪ですか?」

「ああ。脚の爪は大きすぎるから翼の爪にした。よし、我はこれにしよう。お主はどれにする?」

パッと見はどれも一緒。

「どれでも良いです」

「ではお主にはこれを」

ひとつを渡された。

ロレンツォとアウグストにも渡される。

「いえいえ、我々は、、、」

「取っておけ。我の竜殺しの記念だ」

竜殺し!

めちゃくちゃ勇ましい二つ名だな。

俺も名乗って良い?

「アルトマン殿、ギルドでの説明は何と?」

ロレンツォが尋ねて総髪が答える。

そうそう。

総髪はアルトマンというのだった。

「リンゼンデンを出た辺りで死にたての翼竜の死体を見つけたと言っておいた。居合わせたキャラバンが怯えていたのでその場で護衛の依頼を受け、こちらに来たと」

まあ、あながち嘘でもない。

「リンゼンデン側への説明もそれで大丈夫ですか?」

「爪を片足ぶんと飾り羽をとってあるからまあ大丈夫だろ。ギルドは素材が少なくて歯噛みするだろうが領軍は討伐された事が証明されればそれで良しとするだろう」

ロレンツォは納得の行っていない顔をした。

「心配すんな大丈夫だ。“まだ温かい翼竜の遺体があったのです。リンゼンデンの兵士がやったのではないのですか?”とか言っておけばアイツら勝手に自分の手柄にするって」

王子が苦笑した。

「あまり詳しく追及しても軍のメンツが立たぬか」

「そう。ギルド同士はバチバチやりあうかも知れねえが、それでリンゼンデンの居心地が悪くなったら、こっちに拠点を移しても良いしな」

ふーむ。

冒険者稼業は底辺の仕事ではあるけどそのぶん自由があるのだろうな。

「ここだ。俺らも懐が温まったからもっと良い宿にしたって良いんだが、まあどうせこのナリじゃ入れてくれないだろうからな」

そうか。

職業差別とか普通にありそうだな。

ロレンツォが受付を済ませて小僧さんと出てくる。

「馬はこちらへ」

小僧さんの案内で小道に入って裏手に回る。

石作りの塀はかなり背が高く防犯能力は高そうだ。

内側から別の小僧さんが扉を開けてくれて馬を入れる。

「鞍や手綱は部屋にお持ちください」

「馬房荒らしが出るのか?」

「いえ前に、俺たちに鞍に傷を付けられたとか言いががりをつけてくるお客が居たんでさ」

「そりゃ酷いな」

「そうなんですよ。せっかく鞍を外してブラッシングしてやったのに」

「馬が好きなのか?」

「はい。いつかダンジョンでひと山当てて自分の馬を持ちたいです」

ロレンツォが小僧さんたちに小銅貨を何枚か渡した。

「あの茶ブチは少々気難しいが悪い馬じゃないんだ。優しくしてやってくれ」

ちょうどフルミネは俺の服の袖のあたりをガブガブと噛んでいた。

手綱を引いている時はいつもの事なので何とも思っていなかったが、小僧さんたちに少し軽蔑された気がしたのは気のせいだろうか。

鞍と荷物を担いで、えっちらおっちらと階段を登り部屋に入ると二段ベッドが四つの八人部屋だった。

説明を求めてロレンツォを振り返る。

「クラウディオ様を二段ベッドで寝させる訳にも行きますまい」

普段は野宿なのに変な理屈な気もするが、確かに二段ベッドの上でも下でも二人で使わせるのは何か失礼な感じはするかもな。

俺は荷物を上に置いて毛布も柵に広げて干した。

みんなも当然同じにするだろうと思ったら王子は荷物を下段に放り込み上に登った。

そうか、王子は二段ベッドなんて初めてか。

上段に寝転がって足先で天井に触れてみたりしている。

そうなんだよな。

二段ベッドの上段は天井が異様に近いんだよな。

圧迫感があって俺はあまり好きではない。

「昼過ぎまで仮眠を取りましょう。あまり寝てしまうと夜に辛くなります」

ちなみにベッドにはマットレスやクッションやシーツは一切なし。

ただの板だ。

俺はいつも使っている毛布を広げてブーツを脱ぎ、腰のダガーとウエストポーチを外して横になった。

ふぅーぅ!

やはり地面が平らなのは最高だ。

歓声を上げたくなる。

開けっ放しの窓からは露店の客引きの声が聞こえてくる。

近くにアヒルを飼っている家があるのか複数のアヒルが鳴き交わす声も聞こえてくる。

午前中のまだ新鮮な風が部屋を抜け、何とも牧歌的で平和な空気だ。

すぐに王子の寝息も聞こえてきた。

いや実際、疲れたよな。

俺も力一杯伸びをしてから目を閉じた。

徹夜明けの昼寝というのは最高なのだ。