軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

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ディーヌベルクという都市国家はその名前の語感から、何となく洗練されたおしゃれな国のような気がしていたのだがそれは全くの間違いだった。

開門され、入国料を払って岸壁の回廊を抜けると眼前に広がるのは沢山の露店。

活気ある人々。

そして奥に聳えるエルフのドームの遺跡。

遺跡は地に飲まれたという話だったが、半壊はしているが残された壁面が高々とそそり立っている。

あんなにも巨大だったか。

地上四階みたいな話だったのでもっと背の低いものを想像していたが、イメージとしてはコロッセオ。

もっとも俺はコロッセオを生で見た事がないので比べられないが、ドーム球場が石造りだったらこんな感じかも知れない。

丸っと残っていたら相当な威圧感だと思う。

ちゃんと近づいて見てみたい。

見れば王子もロレンツォもアウグストも遺跡の壮大さに呆気に取られている

「この近さで見ると凄いものだな。王都のドームと同じくらいなのだろうか?」

「そうなのではないでしょうか」

王子とロレンツォはそんな事を話している。

そうか、王都は丸っと残ってるんだっけ。

「王都では近くからは見れないのですか?」

「ああ、水路で囲って農地が広がり鉄柵で区切られ、その外側からしか見る事ができない」

「居城として王族が使っている訳ではないのですか?」

「そうなのだが、何が原因で他のドームと同じように地に飲まれてしまうか分からないから厳重に身元をチェックしたごく少数のみが出入りを許されているのだろう」

なるほどな。

てかさっきまで眠かったんだが、バッキリ目が覚めたな。

徹夜明けなんだけど。

「おい、しゃっきりしろ。この街でボケっとしてると身ぐるみ剥がされるぞ?」

総髪に注意され我に返る。

目が覚めてるだけじゃダメか。

「特に馬の背に積んでる荷なんか直ぐやられるから気をつけろ。腰の得物も鞘を残して抜かれるからな」

そういう警戒をしなきゃいけないのか。

入管で市内は馬から降りるように言われたから手綱を引いて歩いているが荷物袋は手に持った方が良さそうだ。

キャラバンの馬車にぴったり付いて周りは総髪たちに囲んで守ってもらい人混みに突入する。

そういう状態なのに多くの人が無理矢理話しかけてくる。

物乞いや突然の商談、仲良くなろうだの守ってやるだの無言でこちらのポケットを探ろうとするのすら居る。

慌てて手を払い除けるとサソリが懐に這い込む所を見たなどと言う。

いちいち対応しておれないので全て無視する。

門の外にスラムが無いのは内にあるからだったのか。

キャラバンの護衛たちも必死に働いている。

積荷を勝手に取ろうとする手を木の棒で叩いていて阻止していた。

それすら構わず荷物を掴む手にはナイフを刺していた。

ヤバ過ぎるだろこの状況。

馬たちもパニックになりかけている。

茶ブチ、もといフルミネも誰かを蹴飛ばしたようで後ろの方から人殺しとか慰謝料を払えとか怒声が飛んできた。

総髪率いる冒険者たちが馬を守ってくれているからまだマシだが、彼らが居なかったら鞍など外されて持ち去られていただろう。

生き馬の目を抜くってこういう状態か。

少し暗くなったので上を見ると石造りのゲートを通過しているようだ。

そしてゲートを抜けてしまえば人混みから急に解放された。

振り返ると大きな盾と槍を装備した衛兵がゲートを守っている。

兵士は無遠慮に槍を人混みに突き込む。

アレ絶対刺された人死んでるだろ。

マジでヤバい。

改めて出国許可証などの確認があってロレンツォは兵士に幾らか払っていた。

入国料の二重取りとはエグいな。

しかしこのスラムの乱れっぷりを見ると納得せざるを得ない。

騎乗で抜けられないのはどうかと思ったが、意図的に落馬させられ、文字通り身ぐるみ剥がされる未来が見えたのでそれも納得だ。

いやはや、こういう世界もあるのだな。

知らない事が多いぜ。

腰のダガーやウエストポーチなど持ち物チェックをする。

ひとまず大丈夫そうだ。

一息ついて王子を見ると心配そうに馬のチェックをしている。

なるほど傷つけられた可能性もあるか、と俺もフルミネのボディチェックをする。

そして驚いた。

フルミネの尻尾の毛の半分くらいが毟り取られている。

それで痛くて蹴ってたのか。

それならお前は悪く無い。

馬の後ろ蹴りをまともに喰らうと内臓破裂とか言うけどまあ自業自得だ。

馬の尻尾なんて手に入れてどうする気なのだろうか。

バイオリン奏者か。

総髪とロレンツォが話をしている。

「ここからどうする。俺らが使う宿で良いなら案内するぜ?」

「そうですね、是非お願いします」

「まあ、アンタらが泊まるような良い宿じゃないんだが、これからまともな宿を探すのも骨が折れるだろ」

「ええ、荷物と馬の安全が守れるならこの際ベッドの寝心地だの食事の質などはもうどうでも良いです」

「分かるぜ、こっちだ」

あんな事があった後だと総髪たちが俺たちを裏切って騙したりしないか一瞬不安が過るが、王子もロレンツォもこの国は初めてなのだから頼れるものには頼っておくしかないだろう。

俺たちはまた馬を引いて総髪の後に続いた。

何だかえらい疲れたぜ。