軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

870話 情報交換

浜風が頭を抱えて絶叫しているのを生温かい目で見ていたら、周囲の人々も同じような目をしていた。

うんうん。分かるよ。うるさいんだけど、馬鹿可愛い感じもあってそんな表情になっちゃうよね。

「白銀さんと浜風、相変わらずだな」

「あの2人の辞書に情報秘匿っていう文字はないんだろうな」

「情報売ったら凄まじい金額になるはずなのに、あっさりと教えちゃうし……」

「白銀さんもだけど、浜風も実はたいがいだよなぁ」

浜風、そろそろ起き上がれ。ヒソヒソ話されてるから。馬鹿にされてるのか可哀そうがられてるのかは分からんけど。

立ち上がった浜風がショボショボとした顔で、使用済みとなっている妖の絵巻物を取り出した。

「まさか、白銀さんも妖の絵巻物を使っていたとは……」

「偶然な」

「それならこっちもそうですよ」

浜風たちもこの村への道中で偶然妖怪を発見し、その時に妖の絵巻物を使用したそうだ。

ログを見ると、表示された文言も同じである。どうも、妖怪と友誼を結ぶ手順を省略して、発見して即友誼を結ぶことが可能になるアイテムだったらしい。

「全部の妖怪に使えるかは分からないけど、適当に使っちゃったのは勿体なかったかもな」

「そうですねぇ」

浜風と何とも言えない顔で頷き合う。いきなり使うんじゃなくて、どうしても友誼を結ぶ方法が分からない妖怪に対して使うのが、一番いい使用法だろう。

もしくはメチャクチャ後半の神クラスの妖怪までとっとくとかね。

雲外鏡がメッチャ簡単に友誼を結べるなら、かなり勿体なかったのだ。

「そういえば、浜風が友誼を結んだ妖怪ってなんだ?」

「私が仲良くなったのは、『野衾』ですね! 出でよ、野衾!」

「ブシュー」

現れたのは真っ白なムササビのような妖怪だった。基本はムササビだけど、全身の毛が羊のようにモコモコだ。尻尾なんかとくにフワッフワで、触らずともその気持ちよさが分かるのだ。

野衾は浜風の頭の上に乗って、眠たげな半眼でこちらを見つめている。

「やっぱ可愛いですね! 私もぜひ欲しいです」

「ロクロネックはまだ友誼結んでなかったのか?」

「そうなんです」

浜風が発見した後、ロクロネックも野衾を探したが、見つけることはできなかったらしい。

数が少ないのか、ロクロネックが何らかの条件を満たしていないのか、分からないという。

「スネコスリと野衾に挟まれたいです」

「ノンビリモノとかはダメなのか?」

「悪くないんですけど……」

「あー」

やや毛質が硬いノンビリモノと比べて、野衾は見るからにフワモフだからなぁ。気持ちよさは野衾に上がりそうだった。

「ブシュー」

「中々個性的な鳴き声だな」

「可愛いでしょ?」

「ブシュ」

クシャミみたいな、鼻息みたいな鳴き声の野衾だが、その可愛らしい外見に反して中々強いらしい。

能力は『雲糸』と『雲壁』。空を飛んだりもできるが、浮遊や飛行といった能力は持っていないようだった。歩いたりするのの延長ってことなんだろう。

雲糸はその名の通り、雲のようなモコモコの糸を生み出す能力だ。この雲糸は強い衝撃を受けると一気に収縮する特性があり、これを上空から敵に巻き付けると、天高く相手を舞いあげることが可能というわけだ。

落下ダメージ狙い能力っていうのは、珍しいよな。

それ以外だと、遠くのオブジェクトに巻き付けてから収縮させることで、反動を利用した高速移動も可能であるらしい。

「立体◯動装置みたいなことが可能ってことか?」

「そこまで連続では使えないかな? 高い場所に上るのとかは楽だよ」

「あー、そういう感じね」

雲壁も名が体を表していた。触れることが可能な不思議な雲を生み出し、壁を作ることができるのだ。野衾はこの空壁を使って、雲の中に巣を作って隠れているという。

よく見つけたと思ったが、浜風は妖怪察知のスキルレベルがマックスなので、かなり広範囲を調べられるのだろう。

いい情報を聞いた。野衾が隠れていそうな雲を探せばいいってことだもんな。

お礼に雲外鏡の情報も渡しておこう。まあ、妖の絵巻物使っちゃったから、居場所しか分からないけど。

「デバフ解除に反射かぁ。育ったら凄い強くなるかも」

「浜風たちなら、即戦力かもしれないぞ。俺はまだスキルレベルが低いから、妖怪たちも弱いし」

2人とも上位職にまで育っているし、最初からメッチャ強いんじゃなかろうか? 反射とかも、実用性があるかもしれない。

「じゃあ、私も雲外鏡のお礼に情報を1つ出さないとですね。でも、白銀さんに教えられそうな話なんて、箪笥の付喪神の能力くらいしかないですけど」

「いやいや、それメッチャ知りたいから!」

付喪神なんて意図的に見つけるのは難しそうなうえ、かなり種類もいそうだ。その情報が少しでも知れるのはありがたい。

「そうですか? じゃあ――」

付喪神・箪笥は戦闘には連れ出せず、かといってホームにただ置いておけばいいというわけでもなかった。家具としてホームに設置すると、能力が発揮されるらしい。

特殊効果のある設置型ホームオブジェクトみたいな扱いなんだろう。

付喪神・箪笥の場合は、『衣類保護』という能力だ。自動でかかるバフのようなもので、衣類系の装備の耐久値の減少が半減するという能力だった。

家にいてもらうだけで発揮されるなら、結構いい効果だと思う。付喪神をたくさん集めたら、色々な恩恵を受けられるのかね?

やっぱりどこかで付喪神を探そう! 幸いにも我が家は日本家屋! 和風の家具や調度品はいくらおいても違和感ないからね!