軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

861話 好物拡張

造船所に向かう前に、パーティメンバーを入れ替える。せっかくセカンドジョブを陰陽師にしたんだし、半分妖怪にしてみるかね。

スネコスリ、チャガマ、河童だ。まあ、まだ妖怪召喚や護符術のレベルが低いせいで、3体までしか召喚できないんだけどさ。

そこにリック、ルフレ、ペルカ、メルムで、なんとなく寒さに強そうな面子だ。

「ルフレたちにはこれなー」

「フム?」

「ペン?」

歩きながらモンスたちにそれぞれの好物をあげてみる。

「フムー!」

「ペペーン!」

喜んでくれたけど、それだけだ。当然ながら存在強化イベントが起こるはずもない。まあ、これも地道にやっていくしかないな。

「キキュー!」

「え? リック?」

「キュ?」

いやいや、なんで? リックが魚フライを貪ってるんだけど。今まで魚を食べたことなんてなかったよな?

「お前、魚食えたの?」

「キュ?」

そんな、口から魚の尾っぽはみ出した状態で小首傾げられても!

ただ、この食いしん坊が目の前に食べられるものがあって、全く手出しをしてこなかったのは不自然だ。今までは食べられなくて、突然好物になったとしか思えん。

「万能従魔術の、好物拡張の効果しか考えられんよなー」

俺はこの効果を、食べられる物の中から新たに好物が増えるのだと思っていた。リックで言えば、携帯食料なども食えるんなら食うけど好きじゃない程度の食べ物を、喜んで食べるようになる的な?

だが、少し違っていたらしい。

「……ちょっと実験してみるか。まずはこいつだ」

「カパー!」

「キキュ!」

「ペペン!」

「フムー!」

「ニュー!」

俺が取り出したのは、河童の大好物であるキュウリだ。

当然河童は大喜びだが、リックたちもキュウリを一本受け取って、そのまま豪快にかぶり付いている。

ペルカとルフレも同様だ。好物と一緒に料理すれば食べられないことはなかったが、キュウリのみを美味しそうに食べるということはなかったはずである。

「スネー!」

「ポコポン!」

「え? お前らもほしいの?」

なんと、スネコスリとチャガマもキュウリを寄こせと騒ぎ出した。万能従魔術の効果範囲には妖怪も含まれるんだから、そりゃあ好物も増えてるよな。

「じゃあ、お次はこれ!」

「ニュー!」

「スネー!」

「ポコー!」

唐辛子を使った激辛串焼きだ。まあ、プレイヤーは必要以上の刺激を感じないので、どれくらい辛いのかは分からんけど。

NPCに食べてもらったところ、かなり辛いらしい。

これもモンスも妖怪も大喜びだ。いや、ルフレだけいまいちか? 多分、元々辛い物が苦手だからだろう。

「じゃあ、これは?」

「キキュー!」

「カパー!」

「フームー!」

うわー、毒キノコの炒め物を食べたよ。オバケや幽鬼ならともかく、普通のモンスたちが毒物を好物認定しているらしい。

「カ、カパ……」

「キキュ……」

「うわぁぁ! 毒ってるぅぅ!」

美味しく感じるようになったってだけで、毒無効になったわけじゃない。そりゃあ、毒を食えば状態異常になるよな!

解毒してやった後にも、毒キノコの炒め物を未練がましく見ているモンスたち。これ、そのうち変な物を拾い食いしたりせんよな?

「はい、これはもうダメー」

「フムー」

「ニュー」

そんな「残念!」みたいな顔すんな! 食い気の方が優先なの?

その後色々食べさせてみたが、食べられない食事がないレベルだった。魚や果物、甘味と、だいたいの物で美味しいという反応を見せる。

しかも、果物やナッツ類への食いつき方も今までと変わらない。むしろ、よりがっつくようになった気がする。

「ギキュー!」

「ちょ、ナッツ頬張り過ぎ!」

「キュキュキュー!」

「ほ、ほっぺ大丈夫なの? 林檎くらいまん丸だよ? 破裂しちゃわないの?」

「ギュー」

リックのほっぺが爆発しないか心配になるくらい膨らんでいるのだ。食いしん坊が加速しているなぁ。

好物拡張は、食べられる物が増えて、好物がより好きになるって感じなのかな? ペルカに魚をあげてみたら、超食いつきが良いし。

「ペペーン!」

「キキュー!」

より食事を楽しめるようになったってことだから、いいんだけど……。

「ペペペペーン!」

「キキュキュキュキュー!」

エンゲル係数がさらに上がりそうだなぁ。

ほら! 無理に詰め込むんじゃない! ペルカは特に無茶すんな! リスのリック相手に張り合うのは無理だから!

「ペ、ペペ……」

「ペルカー!」