軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

805話 溶岩地帯

「おー! あれが炎海の町か! まじで炎に囲まれてるみたいに見えるな!」

「ラー!」

「キキュ!」

激戦――というほどでもないそこそこ大変なビリビリボウズとの戦いに勝利した俺たちは、目的地である炎海の町までもう少しのところまでやってきていた。

結局、絶体絶命の危機などは訪れず、当初の予定よりも余裕をもっての勝利だ。

戦闘中にメンバーは入れ替えているので、面子はガラリと変わっている。クママは残せたらよかったんだけど、途中でMP切れになっちゃったからね。

アシハナが叫んでたけど、チェンジしちゃったよ。その後、泣きながらバーサーカーモードに突入したアシハナが、ちょっと怖かったのだ。

「絶景だな」

「フム!」

「トリー!」

ビリビリボウズがいた山頂から下りていくと、溶岩が流れる危険地帯が広がっている。炎海の町はそのど真ん中に作られているのだ。

下山中の道中にある少し大きな岩棚の上から見下ろすと、町の全貌を確認することができた。

山肌から突き出した大きな崖の上に作られた町の左右を、無数の溶岩の川が流れていく。斜面が急なせいで、溶岩の流れもかなり速い。

特に、町の左右を落ちていく太い溶岩の帯は、滝のようだ。

溶岩の赤い光に照らされて、町が燃えているかのようにも見える。何も情報を知らされず初見だったら、何かヤバめのイベントが進行中かと勘違いしただろう。

実際、ここを発見したホランドたちは、最初かなり焦ったらしい。

ただ、これが仕様だと分かっていれば、絶景である。モンスたちも目を輝かせて、炎海の町を見つめていた。

「それじゃあ、町に入って転移陣を登録しちゃいましょ」

「そうだな。でも、どうやって町に入るんだ? 溶岩の上なんて絶対渡れんだろ?」

「渡れないことはないらしいけど、町に入るための橋があるから大丈夫よ」

橋があるのはよかった。でもその前!

「え? 溶岩渡れんの?」

「いくつか方法があるみたいよ? 町で溶岩耐性がある船買ったり、氷の魔術で足元を冷やしながら無理矢理渡ったりね」

「船はともかく、魔法で無理やりって……。失敗したらドボンって事?」

「検証班が30回くらい死んだってさ」

「うわー……」

さすが検証班。やることがぶっ飛んでるぜ。

「船は……まあ、ユートさんなら買えるんじゃない?」

「え? 何か条件があるの?」

「うーん? あるようなないような? まだ完全に解明されてないみたいだから、とりあえず鍛冶屋に行ってみようよ」

「まだ、検証中ってことか」

そんな話をしながら、炎海の町へと繋がっているという橋の袂へと辿り着いた。灰色の石で造られた、巨大な石橋である。

幅は10メートル以上あるだろう。しかも、欄干がない。ここで戦闘が発生したら、ちょっと怖いな。

そんなことを考えていると、タイミングよく溶岩の中から何かが飛び出してきた。フ、フラグ立てちゃった?

「マグマニードルフィッシュにゃ! 回避だにゃ!」

「フマッ!」

受け止めようとしていたアイネが、ニャムンちゃんの言葉を聞いて慌てて回避した。

赤い矢のような溶岩の塊は、そのまま橋の上にベチャッと落下する。すると、何やらビチビチと飛び跳ねているではないか。

「え? なんだこれ?」

「フマー?」

「ラ?」

よく見ると、それは細長い魚だった。ルビーのような真っ赤な鱗を持った、綺麗な魚である。形状は口がメッチャ細くて長い、ダツって言う魚によく似ているようだった。

「ラー? ララ!」

「ちょ、アコラ! 大丈夫か?」

「ラー……」

アコラが赤い魚にチョンと触ると、デロリと一瞬で溶けてしまった。しかも、熱かったらしい。アコラが驚いた表情で、指先をフーフーしている。

「この魚、どうやっても溶岩になっちゃって捕まえられないのよねぇ」

「美味そうなのに、残念だにゃ」

「しかも、受け止めると体に溶岩が張り付いて継続ダメージ受けるんだよなぁ」

アシハナ、ニャムンちゃん、セキショウはすでにこのエリアの経験者だったらしく、この魚に酷い目に遭わされ済みであるらしい。

ダメージも厄介だが、溶岩が張り付くと布製の装備の耐久値が著しく下がるため、装備を破損させられたプレイヤーも多いという。

「この溶岩は、採取できないのか?」

元魚の溶岩とか、なんか不思議な力がありそうだが。

「無理にゃ」

「無理じゃな。どうやっても採取不可能だ」

溶岩になってしまうと、オブジェクト化して採取もできないらしい。いろいろなプレイヤーが飛んでくるこの魚を捕まえようと頑張ったらしいが、まだ捕獲できた者はいないという。

「赤い魚に気を付けよう」

「俺、避けられる自信ないんだけど」

蛭間とソルダートが途端にキョロキョロし始める。情報は一応仕入れていたらしいが、直に見てその素早さに脅威を覚えたのだろう。

「あの魚捕まえたら、クロスボウで発射できそうなんだけどなぁ」

蛭間がとんでもないこと考えてたぁ! いくら強そうでも、魚撃つの? いや、溶岩の塊なわけだから、結構いけるのか?

その後、何度かマグマニードルフィッシュに攻撃を受けたが、やはり捕獲はできなかった。水の盾で受け止めたり、金属の鍋で受け止めたり、ヒムカの炎で受け止めたりと、試行錯誤してみたんだけどね。ダメでした。