軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

804話 ビリビリボウズ戦

紫色の電撃を纏った、黒い巨大ゴーレム。それがビリビリボウズの正体だった。一見すると近接型のように思えるが、これが罠であるらしい。

あんななりで、遠距離攻撃がバカ強なのだ。延々と雷撃を広範囲にばら撒き続けることが可能なのである。

とは言え、接近すれば雑魚ってわけじゃないが。そりゃあ、巨大なゴーレムに接近戦ができないわけがない。しかも、全部の攻撃に電撃の追加ダメージがあるらしく、麻痺させられることも多いのだ。

電撃対策がなければ、完全に詰むだろう。まあ、対策さえしっかりしていれば、意外と簡単に勝てる相手でもあるらしいけどね。

実際、今も俺たちは戦闘を優位に進めていた。

「ぬおおぉぉ! この程度で、儂の防御は抜けんぞ!」

「クママちゃんに、いいとこ見せるんだからぁぁ!」

ルインとアシハナがビリビリボウズと相対し、その動きを押し止めている。要は、電撃対策を万全にしたうえで、ゴーレムと正面から殴り合えるタンクを用意すればいいのだ。

言うほど簡単ではないと思うが、最近ではその手の装備がかなり出回り始めているらしい。鍛冶や服飾系の生産職からすれば稼ぎ時だし、色々と研究も進んでいるんだろう。

そこに後衛職から攻撃が飛んで、順調にビリビリボウズの体力を削っていく。やつは弱点が風なので、俺のパーティじゃあまりダメージは出せていないけどね。

逆に、セキショウの風魔術が完全にぶっ刺さっているな。だからアシハナもメンバーに選んだんだろう。

あと、想像以上に凄いのが蛭間とソルダートだ。どんな攻撃をするのかワクワクしていたら、どちらもしっかり風属性の攻撃方法を用意していた。

「スナイプ! ヘッドショット!」

蛭間が狙撃系のアーツを使い、弱点をピンポイントで狙っていくんだが、これがメチャクチャ高いダメージを叩き出している。クロスボウのボルトにはあらかじめ属性を付与しておけるらしく、硬いビリビリボウズにもしっかり通っている。

しかも弱点に当たっているせいで、よろけも誘発しているのだ。

やっぱメカメカしいクロスボウ、かっこいいよなぁ!

で、同じくらい活躍しているのがソルダートである。こちらは風属性の爆弾を投擲して攻撃していた。

ダメージも大きいが、より凄いのがそのよろけさせ頻度だろう。爆風がいい仕事をしているらしく、ビリビリボウズが数秒は動きを止めるのだ。

バトルアルケミストは、通常の生産能力が下がる代わりに、戦闘時に使用するアイテムの効果が上昇する特性があるらしい。

多分、後衛メンバー1人1人が、うちのパーティの合計ダメージを上回っているだろう。

マズいこのままじゃ大して役に立っていない寄生野郎になってしまう! 雑魚の処理も上手くいってないし。

ビリビリボウズが時おり投げてくる岩石があるんだが、これが空中で分裂し、3~5体ほどのゴーレムが生まれるのだ。

こいつらは纏う電撃も弱く動きも遅いが、硬くて腕力もあるので放置は危険だった。

「オルト、サクラ! 防いでくれ!」

「ムム!」

「――!」

ゴーレムの攻撃を、オルトとサクラが受け止める。そこに、一斉攻撃だ。

「クマママー!」

「モグモ!」

「ヤー!」

「ニュー!」

ただ、想像していたよりもゴーレムのHPが多い。時間をかければ負ける相手じゃないんだが、今は処理速度が重要だ。

事前に聞いていたよりも数が少ないらしいのだが、それでも俺とモンスだけでは対処しきれていなかった。

「手助けします!」

「そっちは俺が!」

結局、ソルダートと蛭間が止めを手伝ってくれた。有難いんだけど、その間は援護がないのでアシハナやルインの受けるダメージが明らかに増えている。

俺たちではなく、風属性を使えるプレイヤーをもう2、3人連れてきた方が絶対に役に立っただろう。マジで足を引っ張っちゃってるよなぁ!

そんなこと話していたら、ニャムンちゃんが呆れた顔でこっちを見ていた。

「白銀さんは分かってないにゃー」

「え? どういうこと?」

「いくら対策積んでたって、相手は最新エリアを開放するためのボスにゃ。動画を見ても、普通はもっと苦戦するはずなのにゃ」

ビリビリボウズとの戦いでは、麻痺無効アイテムなどがない以上、必ず麻痺状態にされてしまうことがあるという。

すると、その間は回復のために手が取られるし、その間にゴーレムを呼び出されたりすると立て直しにかなり時間がかかるらしい。

それが、今回は麻痺がほとんど発生していない。多分、アシハナが1度麻痺しただけかな? ルインが上手くカバーしたので、ほとんど影響はなかったはずだ。

「麻痺をしないお陰で、蛭間とソルダートとセキショウの風属性が刺さりまくって、よろけがメッチャ入ってるにゃ。そのお陰で攻撃を被弾する回数も減ってるし、ゴーレムの召喚数も抑えられているにゃ」

「な、なるほど。麻痺って怖いんだな」

ボスの目の前で動けなくなったらマズいくらいにしか思っていなかったが、計算されたパーティプレイを崩されるのが地味に痛いらしかった。

俺みたいに行き当たりばったりじゃあまり気にしたことないけど、戦闘メインの人たちは色々と考えながら戦っているんだろう。

「何か微妙に違う気もするけど、そういうことにゃ! あのかき氷食べさせてもらっただけで、十分助かってるんだにゃ! むしろ、これで役に立ってないとか言われたら、あちしが一番役に立ってないんだにゃ!」

「え? そんなことないだろ? バフずっと切らしてないし」

「あちしは避けバッファーなんだにゃ! それが、ただのバッファーの役割しかできてないなんて、アイドルの沽券にかかわるんだにゃ!」

え? アイドルってそういう職業だっけ? 歌って踊ってるだけじゃダメなの?

「アイドルは、相手の目を惹いてなんぼなんにゃ!」

「ああ、そういう」

要は目立ちたいってことね。

「ヤヤー!」

「妖精ちゃん? はっ! もしかして、セッションしてくれるのかにゃ?」

「ヤー!」

「ふお! それは燃えるにゃー!」

え? なんか、急にファウがニャムンちゃんの曲を演奏し始めたぞ? 以前楽譜を買ったから、演奏できること自体はおかしくないんだけど……。

何故か、バフがかかっている。確か、プレイヤーメイドの曲は、特殊効果がなかったはずじゃ……?

「なんでバフってるんだ?」

「システムがアップデートされて、登録済みオリジナル曲にもバフが付くようになったんだニャ!」

「マジか!」

「にゃはははは! これで、同時演奏スキルも発動だにゃ!」

ニャムンちゃん、ファウ、炎聖による三重奏が戦場に響き渡る。これが凄まじい威力を発揮した。明らかにバフの効果が上がっている。

同時演奏というスキルによるボーナスの効果なんだろう。

「にゃにゃにゃにゃー!」

「ヤヤヤー!」

奏でられるロッキンでハイテンポな曲が、バトルのクライマックスを告げているようだった。