軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

784話 特殊プライベートエリア

吹雪の向こうに見える、不気味な黒い影。

戦々恐々としつつも先へと進んでいくと、急激に吹雪が弱まるのを感じた。吹雪エリアを抜けたらしい。

雪どころか風さえ吹いておらず、この場所だけエアポケットのように凪いでいる。

「え? ここセーフティゾーンか?」

「フム?」

エリアにしっかり表示されている。ようやく一息吐けそうだった。警戒を解き、美しい雪原を見渡す。

白い雪原には、氷でできた花が無数に咲き、ダイアモンドダストのような氷の粒がキラキラと舞っていた。非常に幻想的で、美しい光景である。

しかも、氷の花の中には採取可能なものもあった。試しに採取してみると、そのまんま氷花という植物が手に入る。レア度は5となかなかだ。

そして、黒い影の正体も判明した。

「綺麗だな」

「フムー」

「ペーン」

氷の花園の中央には、巨大な氷の塊が鎮座していたのだ。ただの氷ではなく、青く透き通った幻想的な氷だ。内部には僅かな汚れすら混じらず、驚くほど透明である。

吹雪のベールに包まれた状態では、これが巨大で恐ろしいナニかに見えてしまうようだ。

苦笑しながら氷塊に近づいた、その瞬間だった。

「うぉ?」

ピッポーン!

突然、アナウンスの音とともにウィンドウが立ち上がる。

「特殊プライベートエリアが解放されました? 転移しますか? え? どういうこと?」

氷塊に近づいただけよ? でも、ダンジョンってわけじゃなさそうだし、とりあえずYesを選んでみる。すると、俺たちは不思議な場所に移動していた。

周囲を岩山に囲まれた、小さな公園くらいの空間だ。雪が積もっており、中心には小さなログハウスが建っている。ここが、特殊プライベートエリア? さらに、立て続けにメッセージが表示される。

どうやら、お金を支払うことでこことホームを繋ぐことが可能であるらしい。そうすることで、今後ホームから北の島まで簡単にこられるようになるようだった。

さらに、このホームからのみ転移可能な場所も存在している。現在解放されているのは、北の島の漁村のみだ。ただ、ブラックアウトしている場所が2つあるので、この島内にあと2ヶ所転移先があるようだ。こちらはお金をかける必要はなく、ログハウスの入り口前に転移陣がすでに設置済みだった。

辿り着いただけでこんないい場所をタダでゲットできるの? 凄すぎない?

「ログハウスはどうかな?」

「ペン!」

皆でログハウスの中に入ってみると、小さな椅子とテーブルだけが置かれた寒々しいワンルームの小屋だった。お金を使って、アップグレードしろってことらしい。

ホームとつなぐための転移扉に暖炉、ダイニングテーブル、ダイニングチェア、オールドランプセット、絨毯、大型ソファ、室内拡張+2というのを購入してみた。全部で500万くらいかかったが、満足だ。

一瞬で、広々としたおしゃれログハウスに早変わりだからね。暖炉とか最高だ!

ログハウスの奥に設置された転移扉のおかげで、お留守番中のモンスやマスコットたちもログハウスに来られるようになった。すでにヒムカが暖炉前のソファでくつろぎ中だ。

あと、庭には遊具や露天風呂も設置できるらしい。マジで別荘だな。

「そう言えば、庭の外はどうなってるんだ?」

庭に出て、この土地を囲む岩山を調べてみる。どうやら岩山を越えることはできないらしく、ボス壁などと同じ役割を果たしているんだろう。

「まあ、庭の拡張もできるみたいだし、十分だろ」

「ヤヤ!」

雪遊びがしたい時とかはこっちにくれば、色々と楽しめるだろう。リアルでは夏の今、非常に贅沢な気分である。

「ムムー!」

「フマー!」

オルトとアイネが雪の上で大はしゃぎだ。好きにこられるし、後は勝手にここで遊ぶだろう。

「あ、漁村への転移も試してみるか」

「ラー?」

「ほら、これを使うんだよ」

イベントの時にも見たことがある、小ぶりな石柱のような姿の転移装置だ。これに触れると、転移先が表示される。

現在は漁村だけなので、選ぶのは一択だ。一瞬で視界が切り替わり、モンスたちと一緒に漁村に立っていた。

目の前には、直前にも触った石柱が設置されている。これを使えば、即座にプライベートエリアに戻ることができるはずだ。

移動が簡単になって有難いね!

「プライベートエリアは大体見て回ったし、島に戻るか」

「ラ?」

本当はもっと遊んでいたいけど、動画撮影中だったことを思い出したのだ。まあ、ただでプライベートエリアが貰えるっていうのは結構なお宝情報だし、いい画が撮れただろう。

「じゃ、俺たちはまたいくよ」

「ムッムー」

「フマー」

オルトたちにお見送りされながら、セーフティエリアへと戻る。ヒムカのやつ、ログハウスから出てこなかったな。やはり寒い場所が苦手なんだろう。

「さて、まだ採取ポイント残ってるし、手分けして採っちゃおう」

「ヤー!」

「キキュ!」

俺たちは巨大な氷塊を見上げながら、雪原で採取を続けた。氷塊の周囲を一周して、10ヶ所ほどで採取を行っただろうか。

インベントリをチェックしてみると、氷花ではないアイテムが入っていた。多分、これがレア枠なんだろうな。

「花じゃなくて、氷河? なんで?」

「キキュ!」

「ヤー!」

インベントリには、永久氷河というアイテムがゲットできている。なんと、レア度8の超激レアアイテムだ。

こんなん、絶対に凄い素材じゃん。何に使えるかね? 武器やアクセサリーにも使えるかもしれないし、防具でも凄いのができそうだ。

「いやー、何に使おうかなぁ!」