軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

775話 事前映像チェックをしてる運営の場合

「やっぱ白銀さんだったっすね」

「おう。どっと疲れたわ」

「いやー、白銀さんのを最後にしといてよかったっす」

「ああ。他の参加要請プレイヤーの事前投稿動画も結構ヤバかったが……」

「白銀さんのもトップクラスにアレですもんね」

「アレだったなぁ。まあ、アミミンとかKTKも大概アレだったが」

「というか、なんで白銀さん殿堂入りじゃないんすか?」

「いくら白銀さんだって、最初から殿堂入りは無理だ」

「いやいや、そこはなんかこー、色々あるでしょ? 上に掛け合って特別枠にするとか」

「そもそも、上が白銀さんには絶対に参加要請を受諾してもらえってうるさかったんだよ」

「え? なんでっすか?」

「人気プレイヤーの人気にあやかろうってこったろ」

「上が白銀さんのこと知ってるんすか?」

「映像系トッププレイヤーってことで、名前がピックアップされたらしい」

「あー、座敷童ちゃんの功績が全部白銀さんのものになってるって事っすか……」

「社長も、そんなに面白いプレイヤーなら、ぜひ参加してもらわなくては。きっと今回も凄い映像を撮ってくれるさ。はっはっは。だとよ」

「社長は白銀さんのヤバさが分かってないんすよ!」

「だろうなぁ。でも、社長の決定だからなぁ」

「ぐぬぬぬ。そこは主任がクビをかけてでも社長に物申すところでしょ! バッキャロー! 一度お前が白銀さんの爆弾処理してみろー! って」

「ざけんな! ローンが何年残ってると思ってんだ! 娘もまだ学生なんだぞ! クビなんてかけられっか! 俺がクビになったら、お前が俺の家族を養ってくれんのか? あぁ? あと娘はお前になんかやらんからな!」

「……とりあえず、映像チェックに戻りますか」

「……おう」

「まあ、内容的には問題ないっす」

「修正やモザイクは入れんでいいな」

「……マグロ食いたいっす」

「俺も」

「後で出前取るっす。奮発して、ちゃんとしたお寿司屋さんのやつ」

「……俺も半分出すわ」

「これ、絶対にマグロ探しが行われますよね?」

「で、見つからないって質問メールが大量にくるやつだ」

「現状、マグロを一本買いできそうなプレイヤーはチラホラいますし、そこまでではないんじゃ?」

「いや、意外と難しいぞ? 白銀さんは好感度元々高いうえに、制限緩和条件をかなり満たしてるだろ?」

「エリア解放の好感度ボーナス、料理、釣り、水魔法所持、キッチンの所持、魚が好物のモンス。確かに、好感度に加えてこれだけ条件満たしてたら、市場の人間の好感度相当高いでしょうねぇ。マグロ普通に買えるでしょう」

「多分だが、料理人の一部がギリ条件満たしてるだけだ。供給が追い付かんと思うぞ」

「じゃあ、しばらくはこれも混乱の原因になりそうっすねぇ」

「ああ。だが、こっちは俺たちが少し忙しくなるだけで済むだろう。問題はもう1つの動画の方だ」

「え? でも、ブラッドオーガ攻略に、砂漠の紹介動画してるだけっすよ?」

「それをだけって……。白銀さんに毒され過ぎてんぞ」

「攻略が簡単になり過ぎるでしょうが、そろそろエリア解放してほしかったわけですし、そんな問題あります? 砂漠の方だって、序盤を紹介してるだけっすよ?」

「このイベントの名前は?」

「えーっと、『第三陣にLJOの良さを教えてあげよう! 大撮影大会!』っす! ダサいっすよね!」

「徹夜で会議し過ぎて、全員頭が死んでたんだよ!」

「あれ? これ主任が考えたんすか?」

「あとは営業部の連中とか、ディレクターも一緒にな」

「へ、へへ。良い名前っすね!」

「今更遅いわ!」

「考えてみたら、分かりやすいっすよ」

「まあ、いい。それよりも、第三陣にゲームを紹介するのが目的って謳っているんだぞ? 当然、見る側もそこを冒険することを期待する」

「あー、それはそうですねぇ。砂漠なんて、序盤じゃほとんどないし……。砂漠をラクダで旅したいなんて期待されても、無理っす」

「サービス開始時にも、PVのことでクレーム大量にきただろ?」

「海で泳がせろとか、エルフの村にいかせろとか、色々きましたねぇ」

「あれがまた起きかねん」

「でも、今更じゃないっすか? 白銀さんに限らず、第12エリアの動画上げる人はいると思うっすよ?」

「だが、白銀さんだぞ?」

「うっ、確かに……!」

「なんか俺たちの予測してなかった騒ぎが起きて、予想外に忙しくなったりしそうじゃね?」

「白銀さんっすもんね」

「そもそもだ、白銀さんの動画なんて、絶対に上位入賞するじゃん? 下手したらぶっちぎりで優勝しかねないだろ? 影響力がどれくらいになるか分からん」

「うぅ……。ありえるっす!」

「だろ?」

「でもでも、どうしようもないっすよ? もう白銀さんの動画は完成しちゃって送られてきてるわけですし!」

「……1つ、被害を抑えるための策がある」

「おお! さすが主任っす! 現代の孔明! それで、どんな策っすか?」

「上位入賞動画で紹介されたフィールドのミニチュアとかを作ってだな。期間限定で誰でも体験できるようにする」

「ミニチュアって、箱庭のことっすか? あれまだ、入手したプレイヤー100人いってないっすよ?」

「ちげーよ。小さめのフィールドって意味だよ。分かっててとぼけてんだろ」

「だって! 小さいフィールドって、どうやって用意するっすか!」

「そりゃあ、お前……今から作るんだよ」

「やっぱりー!」

「とりあえず、砂漠だけなら何とかなる! イベント終了までまだ時間あるからな!」

「うう。仕様書作るっす。魔獣は下方修正して、ドロップは変更して――ああ! 意外にやることが多い!」

「流砂とか蜃気楼のネタバレにならんように調整も必要だぞ」

「あああ! 一徹決定っす!」

「はぁぁ。白銀さんの最後の1本。どんな爆弾になるんだろうなぁ」

「やめて! もう聞きたくないっす!」