軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

774話 動画編集

新しく手に入れた素材に加え、砂海の町で購入した良さげな素材類も含めたすべてを、ルインに渡したんだが……。

「……」

「ルイン?」

「…………」

「ちょ、ルイン! ルイーン!」

なんか白目! 白目むいてる! 怖い! というか、アバターが完全フリーズしてノイズが……! え? なんで?

「……はっ! あ、危ない危ない。とんでたわー。初めて警告聞いたわー。こわ!」

「ルイン?」

「! お、おう。なんつーか、あれだ。あれなんだわ。な?」

「は、はい?」

よく分らんけど、もう異常は治ったってこと? リアルでなんかあったのだろうか? フリーズするとか、結構ヤバいと思うけど。

「一度戻ったらどうだ?」

「いや大丈夫じゃ。しかしまた、凄まじい素材を……。さすがユート」

まあ、ルインが大丈夫っていうならいいのか? ロールプレイ戻ったし。

「できるだけいいもんにしてほしいからね。余った素材売るだけじゃ足りなかったら、追加でお金も払うからさ」

「そ、そこまでか?」

「ぜひ最高のものを頼むよ。な、クママ、リック」

「クマ!」

「キキュ!」

クママは腕を組んで何故か偉そうに、リックはルインの肩に乗って髭をモフりながら頷く。どっちも失礼でしょうが! ちゃんと頭さげなさい!

と、そんな感じで、素材はぜーんぶ預けてきた。あれだけあれば、足りないってことはないだろう。

俺はマグロ料理を食べまくりながら、撮った映像の編集をしちゃおうと思う。先に北の島へと向かってもいいんだが、覚醒スキルのクールタイムもまだあけてないしね。

少し休憩だ。

「料理動画は……ほうほう」

さすが美形アバターに、高機能の自動撮影機能。

素人の俺の動画素材でも、なんか絵になっている。まあ、他のプレイヤーも同じなので、これがアドバンテージにはならんけど。でも、編集しなくても見られる映像になっているのだ。

しかも、複数の画角から撮影されていることも多い。どうやら、パーティのメンバーたちを追尾する機能があるらしい。

ルフレやペルカ、ドリモもちゃんと可愛く撮れている。美少女のルフレが一生懸命料理する映像とか、それを手伝うヨチヨチペンギンさんとか……。

ヤバくない? これ、最高じゃん。マジヤバい。語彙力死ぬレベルでヤバいよ。

あと、ドリモも渋い。ルフレやペルカみたいに一々カメラ目線しないところも、職人っぽくてカッコいいのだ。

それに加え、画面端に見切れるモンスたちも可愛い。俺も気づかなかったが、うちの子たちこんなに映り込んでいたんだな。

最初は控えめだったけど、段々と遠慮がなくなっていく。後半とか、一発芸披露大会みたいになっていた。

アイネとファウが曲芸飛行をしたと思ったら、リリスとメルムがダンスするようにクルクル回る。クママとヒムカはマッスルアピールだ。

チャガマの回す傘の上でリックが延々転がっている映像とか、これだけで数字が稼げるんじゃなかろうか?

あと、すっかり忘れていたけど、編集するんだったら1時間きっかりで撮影を終わらせる必要もなかったわ。

もっと食べるシーンがあってもよかったかもしれない。

まあ、見た感じ削除しなきゃいけない場面もなさそうだし、特に編集なしでアップしちゃってもいいかな?

一番気になるのが、撮影してるの忘れて後半普通に喋っちゃってる俺だし。俺のシーンが一番いらないけど、それだと大分短くなっちゃうからね。

「で、お次がブラッドオーガ戦と、その後の砂漠の動画か」

動画が出来上がったらジークフリードたちに確認してもらうつもりだったのだが、特に必要はないと言われている。

隠すことなんてないって理由だったけど、確認するのが面倒だっただけじゃないかな? まあ、俺としては楽だからありがたいけど。

「それにしても、メチャクチャ臨場感あるなぁ」

我ながら、迫力のある動画になっているのだ。基本は俺を背後から撮るような視点で、時おり攻撃を仕掛ける騎士たちを映すこともある。

全員が騎乗状態で動き続けるため映像も疾走感があるし、大技も派手である。モンスたちの覚醒技なんて、ちょっとしたアニメの必殺技シーンみたいだった。

自動撮影機能がまた、絶妙な画角で映してくれているしね。撮影用のAIさんが優秀過ぎる。

「モグモー!」

「ララー!」

映像の中では、竜化したドリモが凄まじい速度でブラッドオーガに突進していく姿が正面から撮影され、追い越していくドリモを追うようなカメラワークが超カッコいい。

赤い竜と化したアコラが板野サーカス張りのアングルで映され、ドラゴンブレスのゴウゴウという音が臨場感を与えてくれる。

明らかに必殺技や大技の時には、カメラのアングルが渾身の物に変化するのだ。これは意図的なのだろう。

あと、ドリモたちの進化シーンもばっちり録画されていたな。まあ、初心者さんには珍しいシーンだろうし、入れておこう。

「とりあえず、自主規制機能を使っておくか」

これはその名の通り、自動で不適切な言葉にピー音を入れてくれたり、不適切な画像にモザイクをかけてくれる機能だ。自分で細かく指定することもできるが、それだと見逃しがあるかもしれないからね。

素人の俺は、この機能を活用させてもらうとしよう。実際、いくつか想定外の場所でフィルタリングが作動していたのだ。

ああ、レーのヤバ気な発言は案外見逃されてた。あの暗黒騎士、意外にその辺の見極めが上手いのかもしれない。最後の止めの部分でピーが入ってたから、台無しだったけどね!

でもあそこを全部削除したら急にボスが倒されたことになっちゃうし、このままいくしかないだろう。

他だと、テンションが上がったリチャードが、ブラッドオーガを挑発する時に中指立てていやがった。全然気づかなかったのだ。

あとは、ラモラックがリアルの商品の名前を口に出していたところとかもピー音にされていたね。ゲーム外部でも見られる可能性があるとなると、そこも案外厳しいんだろう。

さすがなのはジークフリードで、規制ゼロである。

「あとは砂漠での戦闘動画を足して、40分くらいで収まるかな? ちょっと長いけど、情報も含まれているから見てはくれるだろう」

戦闘動画を少し削るつもりだったけど、見せ場ばかりで無理だったし。

「よし、結構時間かかったけど、これで動画2本完成だ!」

明日は北の島を撮りに行くぞ!