作品タイトル不明
713話 ペルカ対ゴーレム
下水マップは、心配していた通り非常に複雑な構造だった。梯子や階段を何度も上り下りし、時には毒を喰らいながら水路を渡り、延々と続く水路を進んでいく。
戦闘は、なんとかこなせている。対処方法が分かってしまえば、なんとか勝利できるのだ。まあ、ドローンが遠距離攻撃をぶっ放しまくるせいで、消耗は結構激しいが。
「ようやくマップが埋まってきたな」
「モグ」
「ドリモがいてくれて助かったよ」
ドリモが意外な記憶力を発揮して、どの道がまだ未探索で、どのルートを進めば最短なのか、完璧に案内してくれたのである。
これもモグラとしての特性なのか、ドリモの個性なのかは分からないが、非常に救われたのは確かだった。
「モグモ」
俺の称賛に、ドリモがハードボイルドに「フッ」と微笑む。ドリモさんかっけー!
だが、難所というのは急に現れるものだ。
「ゴッゴー!」
「ゴゴー!」
「うわっ! 挟まれた!」
長い一本道に差し掛かったその時、前後から同時にカラクリゴーレムが現れたのだ。迫りくる壁のように、ゆっくりと近づいてくる。
「仕方ない! まずは前を片づける! クママは少しの間、後ろを頼むぞ!」
「クマ!」
動きを止めないカラクリゴーレムに、一斉攻撃を放っていく俺たち。ペルカも遠距離攻撃ではなく、ペンギンハイウェイで前に出る。
反撃を食らうリスクを負ってでも、ダメージを稼ごうというのだろう。
「ペペーン!」
光り輝くペルカの突進が、カラクリゴーレムの胴体に直撃し――。
「ペーン!」
「え?」
「ゴ……」
ペルカが大きく弾き返されたものの、カラクリゴーレムの動きが止まっていた。麻痺したかのように硬直し、鉄の棒を振り上げた姿勢のまま動かない。
なんでだ? なんか、あそこが弱点だったってこと?
「と、とりあえず攻撃だ!」
ペルカは地面に落ちてほんの少しダメージを食らったが、あれならすぐに起き上ってくるだろう。今はチャンスを無駄にしないことが重要だ。
「モグモー!」
「ヤー!」
硬直中のカラクリゴーレムに向かって攻撃を放っていると、背中から蒸気を噴き出しながら再びその巨体が動き出す。
もう1度動きを止められたら、ノーダメージで倒せるんだが……。
「ファウ! ペルカがさっき攻撃したところを狙うんだ!」
「ヤー!」
カラクリゴーレムを再び硬直させようと、俺とファウの遠距離攻撃が胴体目がけて放たれる。どうやら、相当シビアな当たり判定があるらしい。全く硬直する気配がない。
「ペルカ! さっきの、もう1度やれるか?」
「ペペン!」
ペルカが任せとけと言う感じで、その小さなヒレをパタパタさせた。
「よし! それじゃあ、もう一発ぶちかませペルカ!」
「ペペペーン!」
ビシッと敬礼を決めたペルカが、再び光のレールを使って宙へと舞い上がる。
だが、その攻撃は、胴体を大きく外れてしまっていた。このままでは相手の右腕に当たってしまうだろう。
先程までの自信はなんだったんだー! ここからギュインと曲がって胴体に当たれ!
そんな俺の願いもむなしく、ペルカの嘴はカラクリゴーレムの右腕に叩き込まれていた。
「これじゃぁ――あれ?」
「ゴ……」
「動き止まったじゃん!」
なんと、カラクリゴーレムが再度硬直している。当り場所の問題ではなく、ペルカのペンギンハイウェイに硬直させる効果があったようだ。いや、今までは敵を硬直させたなんてことなかったが……。
ペルカは2度目で慣れたのか、華麗に着地を決めているな。
「とりあえず今は総攻撃だ!」
「ヤー!」
「モグモ!」
そのまま、正面のカラクリゴーレムを倒す。次は、後ろから来ている奴だ。クママが牽制してくれているが、やはり前進は止められていないな。
「ペルカ、行けるか?」
「ペペン!」
三度、ペルカの発進だ。高速で飛び出したペルカは、壁を蹴って三角跳びを発動させながら、ゴーレムの頭部にその嘴を突き立てる。
「ペーン!」
「ゴォ……」
「よっしゃ! ペルカは次に備えて待機! 他のみんなはいけいけ!」
これはもう、パターン入っただろ! 結局、その後さらにもう1度ペルカによる硬直が入り、ノーダメージで勝利を手にしていた。
もっと早く気づいていれば、ここまでの道中の消耗が抑えられたんだけどなぁ。まあ、仕方ない。遠距離攻撃を使えと指示していたのは俺だし。
「でも、どうして硬直させられるんだろうな?」
「ペン?」
普通の敵には硬直効果はなく、スーパーアーマー相手にだけ何か特殊な効果が発揮されるんだろうか?
前も、イベントの時に巨大な触手をペンギンハイウェイで弾き飛ばして、驚いたことがあるんだよな。
もしかして、ペンギンハイウェイ使用時って、スーパーアーマー状態になってるのだろうか? だとすると、スーパーアーマーとスーパーアーマーがぶつかって、硬直するっていう可能性はゼロじゃないかもしれん。
まあ、なんでペルカは硬直しないのかっていう問題はあるが。攻撃を仕掛ける側だから?
「考えていても理由は解らんし、情報を売れば早耳猫が検証してくれるだろ」
今はこの発見を喜びつつ、先へと進もう。
「次からカラクリゴーレムが出たら、相手を頼むぞペルカ!」
「ペペン!」