軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

704話 熊転生

茶色髪の樹精をゲットしたカルロは、興奮しすぎてウザいくらいだった。でも、気持ち分かっちゃうしな。

それに、ハイテンションはすぐに元に戻ったのだ。道中、樹霊リスに遭遇したものの、テイムに失敗してスンってなったらしい。

結局、ダンジョンを脱出するまで、樹霊リスは手に入らなかったな。第1区画では、樹霊リスも樹精も、出現率が非常に低いらしい。

ただ、樹精以外にも大きな収穫はあったぞ? 迷宮の途中で、宝箱を発見したのだ。中には、不思議な宝石のようなものが入っていた。

鑑定して驚いたね。

名称:緑の安らぎ

レア度:7 品質:★10

効果:対象の樹木系モンスターに安らぎを与え、一定期間好意を寄せられやすくなる。

なんと、特定のモンスターの好感度を上昇させるタイプのアイテムだった。今までは好物をあげれば好感度が上昇することは知られていたが、明確に好感度に言及するアイテムは初めて見たのだ。

さらにカルロに言われて気づいたんだが、自分の従魔とは言及されていない。つまり、エネミーに使用すればテイムしやすくなる可能性があった。

これも、明記されているアイテムは初めてなんじゃないか? レア度が7で超有用。このアイテムをゲットしただけでも、散々苦労した甲斐があったというものだ。

「ふー、ありがとうございました」

「こちらこそ、俺1人じゃあんな進めてなかったよ」

最初の小部屋近辺ならまだしも、敵が群れて登場する迷宮部分では絶対に死に戻っていただろう。それくらい、難易度が高かった。

カルロがいなかったら、早々に逃げ帰っていたはずなのだ。

「じゃあ、アリッサさんによろしくな」

「え? 情報、売りに行かないんですか?」

「売るって……カルロが一緒だったのに、何を売るんだよ?」

カルロは全部を撮影してたわけで、隠し事は欠片もないのだ。

「追加報酬貰えるっていうし、それで十分だ」

「えぇ? さ、さすがっす」

「おう?」

もしかして、普通だったら人気の樹精をテイムさせてやったんだから、金払えよ的な交渉するのか?

でもなぁ。ダンジョンで色々と素材をゲットできたのはカルロのお陰なわけだし。それに、緑の安らぎもゲットできちゃったしなぁ。

「宝箱の場所にはカルロがいなきゃたどり着けなかったし、それで十分だよ」

「わ、わかりました。では、これをお受け取り下さい!」

「え? いや、なんで?」

「僕の気が済まないんです!」

カルロが譲渡してきたのは、ダンジョンでゲットできた大量の素材であった。全部じゃないだろうが、半分くらいはあるんじゃなかろうか?

「わ、わかったよ」

「あざーっす」

いや、礼を言うのは俺の方なんじゃないか? まあ、いいや。カルロがそれで納得するなら受け取るよ。

「じゃあ、本当に行くな?」

「はい。検証で何か新事実が明らかになりましたら、連絡しますんで」

「おう」

「あと、できるだけ迷惑掛からないようにするんで!」

「お、おう?」

迷惑? どういうことだ? まあ、早耳猫は信頼してるし、カルロが迷惑かけないって言うなら、気にするだけ無駄か。

「さて、試練へのトライはまた明日にして、今日は畑に戻ろう」

「――♪」

ちょっと疲れたし。

だが、畑に戻っても、俺はゆっくりできなかった。

相変わらず人が凄いんだけど、そこはもうちょっと慣れてきた。そうじゃなくて、畑に見知らぬ女性がいたのだ。

モンスたちと遊んでいるので、悪い人ではなさそうだが……。誰? 花見とかお茶会みたいな、大勢で集まった時に一斉にフレコ交換した時にいた人か?

だが、近づいてみるとそうではないと分かった。

「え? アシハナ?」

「やほー、ユートさん。この姿じゃ初めてだよね?」

「お、おう。どうしたんだ? その耳」

後ろ姿で判別できなかったのは、アシハナの頭頂部に獣の耳が生えていたからだ。丸っこい、熊耳である。

「いいっしょ! 種族転生したんだ!」

「あー、なるほど!」

獣神の試練を攻略し、種族を人間から獣人に変更したらしい。

「村に居座って獣人さんたちと仲よくなって、試練受けさせてもらうまで長かったけど、ようやく熊獣人になれたんだよ! クママちゃんとお揃いなんだから!」

「え? それで熊?」

「そうだけど?」

相変わらず、アシハナのクママ愛が凄いな。まさか、クママとお揃いというだけで熊獣人になるとは。

「……熊獣人って、確か器用さ低くなかった?」

「うん」

うんって、木工トップがあっさりと!

「えへへへ。クママちゃんに見せにきたんだ! ねー?」

「クマー」

アシハナの「ねー?」に合わせて、同じように首をコテンと倒してニコニコするクママ。満更でもないらしい。

まあ、クママって、前からこういうとこあったよね。アシハナとマルカに取り合われて、喜んだりさ。

「試練か……」

アシハナの耳を見て思い出したけど、俺も一応神の試練を受けてたんだよな。期限ないから忘れてたけど、クリアしたらボーナスポイントがもらえるのだ。

今のところ足りないことはないが、ボーナスポイントなんてあるだけいいからね。

「試練の素材でちょうど納品物揃ったし、俺も試練クリアしちゃうかな」

「ユートさんも熊になる?」

「ならんならん。ボーナスポイント貰うだけだよ」

「なんだー、ちぇー」

「クマー」

クママまでちぇーってやるな! 熊獣人なんて前衛向きの能力なんだから、俺には絶対合わないの!