軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

672話 第3の素材

「2品は決まった。3品目は――」

「フム!」

「――!」

俺が腕を組んで悩んでいると、ルフレとサクラが俺に飛びついてきた。

「ど、どうした?」

「フム!」

「この水は……水臨樹の水か」

「――!」

ルフレたちが汲んできたのは、水臨樹から流れ出る水であった。どうやら、これを料理に使えと言いたいらしい。

「うちの畑で採れることは間違いないが……」

高品質とは言え、水だからなぁ。味が特別なわけでもないし……。だが、ルフレもサクラも目をキラキラさせて、期待満々の顔で俺を見つめている。

ここで、「ただの水はちょっと……」とは言い出せない感じだった。

「な、何か作ろう」

「フム!」

「――♪」

しかし、どうすっかな。何を作っても、水は使うが、この水じゃなきゃダメってこともないしなぁ。

何か、この水じゃなきゃいけない料理ってないもんかね?

そこで悩みに悩んだ末に思いついたのが、そうめんであった。以前買った流しそうめん用の竹は、まだ倉庫に仕舞ってある。継ぎ足せば、長さも調整できるのだ。

きっと、第二陣のファーマーさんたちも喜んでくれるだろう。その時の流す水に、水臨樹の水を使うのだ。

「そうだ! 茹でるのにもこの水を使ってみるか!」

そう考えて試してみると、なんと品質に僅かに変化があった。まあ、品質が1つ2つ変わるくらいじゃ、味に変化はないけどね。でも、水臨樹の水のポテンシャルは実感できたのだ。

こうなったら、とことん拘ってやろう。

「麺から作って、その時にもこの水を使ってみるか。それに、つけ汁にも使えば、オール水臨樹の水だ」

「フムー!」

「よし、手伝ってくれルフレ、サクラ」

「フムム!」

「――!」

俺はルフレと共に、そうめん作りに着手した。普通は乾燥などで数日かかるようだが、ここはゲームの中だ。

元々かかる時間が短いうえ、錬金術の乾燥などを使えば1時間ほどでそうめんができあがってしまった。

一番時間がかかったのは、そうめんを延ばす工程だろう。これが、ここまで難しくせんでもっていうくらい、面倒だった。

開発がリアルを参考にしたのか、下手に延ばすと千切れて、力を入れなければ太いままなのである。ルフレが上達してくれなかったら、ずっと失敗し続けていたかもしれない。

「でも、これで流しそうめんができるぞ! ありがとうなルフレ」

「フムー!」

「サクラも、手伝ってくれて助かった」

「――♪」

水臨樹の水を使ったそうめんは、かなり美味しかった。麺はこしがあるし、味もなんかスッキリ爽やかな気がするのだ。

これでつけ汁にも水臨樹の水を使えば、全てに使ったと胸を張って紹介できるだろう。

ただ、流しそうめんの装置の設置場所は、畑ではなくホームにすることにした。

最初は、会場である水臨樹の前に設置しようと思ったんだけど、景観的にね……。

水臨樹とネモフィラという幻想的な光景なのに、流しそうめんの装置が加わるだけで急に現実感が出てしまうのである。神秘さ半減って感じだった。

なので、最初は品評会を畑で行い、最後にホームで流しそうめんをしようと考えている。

「よし! それじゃあ皆が来るまでに、装置を組み上げちゃわないとな! ヒムカ、頼むぞ」

「ヒム!」

「お! やる気だね! よ! 大棟梁!」

「ヒームー!」

ヒムカは器用なうえに力持ちだから、こういう時は本当に頼りになるよね。

すると、畑仕事の無い他の子たちも集まってきた。

「フマー!」

「デビー!」

「ニュー!」

「空を飛べる皆が手伝ってくれると、助かるなぁ」

ちょっと上の方で押さえてもらったり、建材を運んでもらったりと、本当に助かるのだ。すると、キャロとペルカまでもが突進してきた。

自分たちも手伝うぞということなんだろう。必死にアピールしてくる。

「ペペーン!」

「ヒヒーン!」

「うんうん。2人は力持ちだから、いてくれると嬉しいぞ」

モンスたちを引き連れてホームに戻ると、そこにいた妖怪たちも作業を手伝ってくれた。仲間に入ったばかりの四鬼たちも、チマチマと動きまわりながら一生懸命働いている。

それどころか、いつもはグータラしているだけのハナミアラシまで参戦してきたではないか。どんな風の吹き回しかと思ったら、宴会的なイベントごとは好きであるらしい。

マスコットたちの応援を受けながら、俺は巨大な流しそうめん装置を作り上げていった。

「……デカいな」

「ニュ」

「ヒン」

調子に乗り過ぎたね。想定の3倍くらいの長さだ。確か20人くらいって聞いているけど、これなら50人くらいは余裕で並べるだろう。

「デビー!」

「ペペーン!」

まあ、モンスたちも喜んでるからいいか。デカイはスゴイだ。考えてみれば、リアルじゃなかなかお目にかかれない装置っていうのも、ゲームの醍醐味だろう。

「みんな。あとで大勢のプレイヤーがくるから、歓迎してやってくれよ?」

「あいー!」

「「「まー!」」」

マモリや四鬼たちも、やる気満々だな。ああ、因みに隠形鬼、水鬼、風鬼、金鬼は、そのままオンギョウ、スイキ、フウキ、キンキと呼ぶことにした。隠形鬼以外の三鬼は名前を縮める必要ないしね。