軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

639話 ビステスの公園

城塞都市ビステスを歩き回っていると、町の中心で面白い場所を発見していた。そこは、大勢のNPCたちで賑わう、大きな公園である。

滑り台やブランコ、雲梯などの遊具が揃っており、日本の公園そのものだ。うちのホームにも似たような遊具は置いてあるが、こういった町中にこれだけの遊具が揃っているのは初めて見たかもしれない。

しかも、中には超大型のドデカ遊具も存在している。全長100メートルくらいありそうなロングスライダーや、非常に広い砂場。リアルじゃ危なくて設置できない高いブランコに、高さ20メートルくらいありそうなジャングルジムなど、大人でも面白そうに思える遊具がいくつもある。

「この規模の遊具は、さすがにホームに置けんよな」

「キキュー!」

「ニュニュー!」

「デービー!」

おっと、うちのモンスたちも、遊具を前にして我慢しきれなかったらしい。公園の中に駆けて行ってしまった。

まあ、俺も見て回るつもりだったから、いいけどね。

「ムー!」

「ヒヒン!」

「トリリー!」

「モグモ!」

「お前らもか!」

いつも冷静なドリモでさえ、砂場に駆け寄っていった。巨大砂場の魅力には抗えなかったらしい。

モンスたちはそれぞれが興味のある遊具に、バラバラに散っていく。

砂場に突撃したのは、ドリモとオルト、キャロである。モグラにノームにお馬さん。砂遊びが好きっぽい面子と言えば、そうかな?

早速山を作り始めるオルトとドリモの横で、キャロは穴を掘ったり、転がったりしているようだ。狭い砂場でやったら大迷惑だが、小学校の校庭並の広さがあるこの砂場なら、多少暴れても問題ないだろう。

リリスとオレアが向かったのは、公園の真ん中に築かれた小高い丘だ。その頂上に、ロングスライダーの出発地点があるのである。

上から声がしたと思って見上げたら、リリスとオレアがタンデムで滑ってくるのが見えたんだが……。

「速っ!」

ジェットコースターかってくらいに凄まじい速度で、頭上を通過していく。

「デービビー!」

「トリリー!」

メッチャはしゃぐ声が聞こえたけど、あれ大丈夫なの? あの勢いで滑り降りていったら、出口でぶっ飛んじゃうんじゃないか?

心配しながら見ていたら、案の定2人は止まることができずに、宙に投げ出されていた。そりゃあ、あの速度じゃこうなるよな!

「リリスー! オレアー!」

「デービー!」

「トリリー!」

町の中だったらダメージが発生しないと分かっていても、思わず叫んじまったぜ。空中でリリスがオレアをキャッチして、普通に上手く着地してたけどね。

むしろスリルを楽しむために、わざとぶっ飛んだ説すらあるのだ。まあ、あの様子なら放っておいても大丈夫だろう。

最後に、リックとメルムは雲梯で遊んでいた。木登りが得意なリックと、浮遊できるメルム。雲梯をどう楽しむのか?

そう思って見ていたら、リックが雲梯の上を走り始めた。ただ単に高い場所を走るのが楽しいらしい。一方のメルムはというと――。

「うわっ!」

「ニュー」

なんじゃありゃ? 思わず声を出してしまったぜ。

雲梯の下に、謎の黒い物体がぶら下がっていたのである。体から伸ばした2本の触手を動かして、器用に掴まって移動していた。雲梯の遊び方としてはごく普通のはずなんだが、どうしても謎の生命体が獲物を追っているようにしかみえない。

雲梯で遊ぶNPCの子供たちに向かって、思わず「逃げて!」って言いそうになってしまったのだ。

ただ、NPCの子供たちはちゃんとメルムが危険な存在ではないと分かっているらしく、むしろ興味深げにつついたりしている。メルムもつつき返して、楽しそうだ。

俺は、とりあえずロングスライダーに行こうかな?

そんなこんなで、2時間くらい遊んだかな? ロングスライダーが楽し過ぎるのが悪い! リリスたちと一緒になって、はしゃいでしまった。後半は他のモンスも集まってきて、電車ごっこみたいに連なって滑ったりもしたのである。

みんなでワチャワチャするの、楽しいよね。

その後、俺たちは砂場に移動していた。少し休憩するために、砂場のヘリに腰かけて、おやつを齧る。すると、先に食べ終わったオルトたちが、山崩しをして遊び始めた。

「お前ら、その遊び好きだよねぇ」

「ムム!」

「ニュー」

新しく仲間に加わったばかりのメルムも、すでに山崩し玄人であるようだ。プルプルの触手を使い、器用に山を削っていく。

モンスたちに誘われるがままに俺も参加したんだが、これが結構面白いし、白熱してしまう。いつの間にか、30回くらいやっていた。

やり過ぎだって? 俺もそう思うけど、みんながムキになっていたせいで、中々やめられなかったのだ。

お昼だったのに、気づいたら夜になっていた。夕方どこいった? そんな感じである。公園にあれだけいた子供たちも姿を消し、イチャイチャ状態のカップルたちが歩いていた。

街灯が薄っすらと光を放ち、非常にロマンチックな雰囲気だ。これ、完全に俺たち邪魔だよね?

移動しようと大慌てで立ち上がると、真横に誰かが座っているのに気が付いた。い、いつの間に? のんびりとした顔の、禿頭のお爺さんである。

「え? えーっと、どちら様でしょう?」

「お主、のんびり屋さんじゃね? そんなお主にピッタリな場所があるのじゃが、興味はおありかな?」

だ、誰? そして誘い文句がちょっとホラーチック! ど、どうしよう?