軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

634話 生産三昧

「よ! ほっ!」

カンカンカンカン!

システムのアシストに従って、銅のインゴットを鍛冶用ハンマーで叩いていく。すると、たった10回の成型で、インゴットに異変が起こっていた。

光り輝いたかと思うと、数秒ほどで刃の短いナイフへと姿を変えたのだ。

簡易鍛冶なのでこんなにお手軽だが、ちゃんとした鍛冶はもっと大変であるらしい。全く別物といって良いくらい、作業量が違うと聞いている。

下手な内は素材を無駄にすることも多いというが、上手くいけば簡易鍛冶よりも数段質がいいものを作れるそうだ。

俺の場合は鍛冶を試してみたいだけだし、簡易鍛冶で十分だけどね。

「どうだ、ヒムカ」

「ヒムム!」

俺が渡したナイフを手に取ると、数秒間観察する。そして、すぐに笑顔でサムズアップしてくれた。

「いやいや、メッチャ低品質じゃんか」

名称:ブロンズナイフ

レア度:1 品質:★1 耐久:80

効果:攻撃力+2

重量:1

そこらの木の棒と大して変わらない性能だ。微妙に刃も短いし。武器として使うには短く、食器としては長すぎる。

しかし、ヒムカはフルフルと首を振り、再度サムズアップした。

「ヒム!」

「初めてにしては上出来ってことか?」

「ヒムム!」

どうやら、うちのヒムカは褒めて伸ばすタイプであったらしい。まあ、分かっていても、褒められたら気分がいいのは確かである。

「よーし、素材もたくさんあるし、ガンガン鍛冶してスキルレベル上げちゃうか!」

「ヒムー!」

そうして2人で鍛冶を開始したんだが、スキルを得るとヒムカの凄さがよく分かるね。

当然のことながら、ヒムカは簡易生産ではない。俺以上にインゴットを叩き、焼き入れや砥ぎを行わなければならなかった。

それなのに俺よりも早く、正確で、高品質なのだ。それに、炉のすぐそばにいても、全く熱がる様子もない。さすがサラマンダー。

そんなヒムカが作り上げたのが、このナイフである。

名称:ブロンズナイフ

レア度:1 品質:★8 耐久:180

効果:攻撃力+9

重量:1

全く同じ素材を使って同じアイテムを作ったのに、これだけ差があるのだ。そりゃあ、有名鍛冶師に依頼がひっきりなしに舞い込むわけだよ。

まあ、俺の場合は武器じゃなくて、食器とかが作れるようになりたいだけだから、そこそこでいいんだけどさ。不格好じゃない綺麗な食器を作るためには、もう少し鍛冶レベルを上げなきゃダメだろう。

「次は――」

「フマー!」

「おわっ!」

新しいインゴットに手を伸ばそうとした俺を、アイネが背後から激しく揺すっていた。

「わ、分かってるって! 裁縫もやるから、揺するなって!」

「フママ!」

早く自分とも一緒に生産をしろって、アピールしてるんだろう。確かに、鍛冶に熱中し過ぎてたな。

「ふー、それじゃあ布の服を作ってみるか」

「フマ!」

「始めたばかりだから、失敗してもいい布にしておこう」

アイネが大量に作ってくれた様々な布の中から、一番品質が低い奴を選び取り出す。アイネが初期の頃に作った、何の効果もない白い布だ。

それを裁縫台の上に乗せると、アシストが作業工程を教えてくれる。

「まずはハサミでチョキチョキと」

「フママー」

「で、合わせて、針と糸で縫う! チクチクいくぜぇ!」

「フママー!」

なんてやっていたら、あっという間に布の服が完成だ。布の服って言うか、貫頭衣? 装備なしと何が違うんだって感じである。

「ま、アイテムが作り出せたんだし、一応は成功か?」

「フマー」

アイネがメッチャ光っている綺麗な布を取り出す。所持している中で、一番品質とレア度が高い布だ。

「ちょ、押し付けるなって! まだ無理だから!」

「フマ?」

「もっとレベル上げないと、扱えないってば」

「フママ!」

「だ、出し過ぎぃぃぃ! 押し潰される!」

「ヒ、ヒムー!」

早くスキルレベルを上げろと、アイネが大量の布を取り出した。積み上げられた布のタワーが崩れ、狭い部屋の中を覆い尽くす。屋内で雪崩に襲われた!

ヒムカも布にのまれて悲鳴を上げている。一度布を仕舞わないと、作業にならんな。

その後もヒムカたちと一緒に生産に勤しんだ俺は、今日だけで鍛冶、裁縫スキルが3つずつも上昇していた。インゴットや大量の布を無駄にしたけど、その甲斐はあったってことだな。

休憩中、縁側で寛ぎながら、運営からのインフォメールを確認する。第三陣の上限人数が少し増えたって言う、あまり俺には関係なさそうな内容だったんで読むのを後回しにしていたのだ。

「ポン」

「いつもありがとなチャガマ」

「ポン!」

相変わらずお茶を出してくれるタイミングが最高だな。チャガマの頭をモフりつつ、メールを開いた。

なんでも、他社のVRMMOがスタートダッシュに失敗したらしく、そのゲームの難民を受け入れるために上限を増やすことにしたらしい。まあ、公式の情報じゃなくて、アリッサさんから聞いた噂話でしかないけど。

「それに、他のゲームの有名プレイヤーが移って来るっていう噂もあるらしいしな」

「ポン?」

「またにぎやかになりそうだって話だよ」

LJOがどんなゲームなのか、静観していた層もこれだけ人気になれば動き出すってことなんだろう。今までやり込んでいたゲームをしばらく放置するのって、結構勇気がいるしね。

そもそも、アリッサさん曰く、すでにLJOで頭角を現しているプレイヤーの中には、他のゲームで有名プレイヤーだったプレイヤーも結構いるらしい。

たとえば、ホランドとヒューイ。彼らはファンタジー系のアクションMMOでは有名なプレイヤーたちであるそうだ。

あとはKTKだ。彼女はステルスアクション系の対戦MMOで、最強のプレイヤーとして有名だったという。その時のプレイヤーネームは「Kitty the Killer」。だからKTKなのね。

あいつらみたいな凄いプレイヤーがもっと増えたら、さらにゲームが盛り上がるだろう。今から楽しみである。