軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

628話 獣神の試練

転移陣を登録し終わると、再び虎獣人さんが戻ってきた。後ろにいる大柄な男性は熊の獣人だな。ここも、隠れ里と同じで獣人ばかりの村であるらしい。

「やあ! ちょっといいですか?」

「実は君に話があるんだが、どうだろう?」

「えっと、俺だけですか?」

虎さんも熊さんも、俺しか見ていない。村に入った時と同じ状況だ。なんでだ?

「うーん、他の人たちはまだ無理ですねぇ」

「ああ」

コクテンやKTKの方を見て、首を横に振る獣人たち。嫌っているというわけじゃないが、そっけない感じだ。

ただ、1人だけ俺に近い反応をされたメンバーがいた。

「お嬢さんは、我らの仲間ですね!」

「うむ。だが、まだ早いであろう」

虎さんと熊さんが、クルミを見ながら残念そうに呟く。

「わ、私?」

「同胞よ。もう少しで資格を得るであろう。その時には我が下を訪れるといい」

彼らの言葉から考えるに、獣人同士ってことでクルミは少しだけ歓迎されているようだ。でも、それよりも歓迎されてる俺は?

しかも、資格? 意味が解らん。すると、コクテンが考察を口にした。

「白銀さんの場合、好感度が関係しているんじゃないですか?」

「好感度って、俺だけそんなに好かれてるのか?」

「多分、第10エリアで村を発見する条件も、好感度だと思うんですよ? 何らかの理由で、獣人族のNPCからの好感度が高いのだと思いますが」

「うーん?」

正直、分からない。特別獣人族と仲良くした覚えもないしなぁ。でも、何かイベントが発生しているっていうのは分かった。

「みんなを迎えに行く前に、話を聞いた方がいいと思う?」

「それは勿論。むしろ、他の皆も新たな情報優先だと言うと思います」

「じゃあ、ちょっと話聞いてみるか」

俺が承諾すると、虎獣人さんたちが村の奥へと案内してくれる。彼らが見ているのは俺だけだが、パーティメンバーも付いてきていいらしい。

数分ほど歩くと、周囲が木立に囲まれた細い道が見えてくる。明らかに森の中へと続いている道を見てモンスターが出やしないか少し不安になったが、ここも村の扱いになるようだ。獣人さんたちは大丈夫だと笑っている。

ただ、何も異変がないわけではなかった。

「白銀さん! 我々はここまでみたいです!」

「え?」

コクテンたちが見えない壁に阻まれ、進めなくなっていた。パーティメンバーは同行オーケーでも、チームメンバーはダメだったか。

「我々は、死に戻ったみんなを迎えに行きます! こっちの情報、お願いします!」

「了解!」

同行者がモンス以外はアカリとKTKだけになってしまったが、戦闘とかにならんよな?

小道の先は、直径10メートルほどの広場になっている。そして、中央には大きな石像が置かれていた。獣人っぽいんだが、よく見ると種族が分からない。

犬っぽい耳に、頭頂部から伸びる鹿の角。さらに、頭の横からは羊っぽい角が生え、尻尾は虎っぽい。目は4つあって、正面の目は肉食獣で、その左右についている目は草食獣かな?

どうやら、色々な獣人のパーツが混ざっているようだ。

「これは獣神様の像です」

「我が村の守護神だ」

「獣神様。そんな存在がいたのか」

「初耳」

「知りませんでしたね」

KTKもアカリも知らないってことは、初出の情報か?

「我らが見込んだ者は、獣神様の試練を受けることが可能です」

「その試練を達成した者は、獣人の因子を授かることが可能だ」

「因子?」

「はい。獣人でない者は、獣人として生を受け直し」

「既に獣人であるのであれば違う種族へと姿を変えることができる」

え? それってつまり、種族変更ができるってこと? ここで転生要素がきたのか!

KTKはともかく、アカリが興奮しているのが分かる。自分が使うかどうかはともかく、重大な情報だからな。

「試練っていうのは、どんなものなんでしょうか?」

「それは分からない。試練に挑む者によって、試練は変わるのです」

「だが、その者が得意とすることが、試練として選ばれることが多いな」

熊獣人さんが説明してくれる。要は、戦闘系の職業だったり、戦闘系のスキルを多く所持していると、モンスターを何匹狩るといった戦闘系の試練が。生産職であれば物を作る試練が下されるってことらしい。

「試練を達成したら、絶対に転生しなくちゃならないのか?」

「強制ではありません」

「獣の因子を望まぬ場合、存在の強化を行うための力が与えられるだろう」

ボーナスポイントがもらえるってことかな? じゃあ、試練は受けておく方がお得ってことか。

「試練を失敗した場合、どうなりますか?」

「明確な失敗はないですね」

「獣神様は、いつまでもお待ちくださる」

受けたまま放置でも構わないようだ。

「いただける因子っていうのは、自分で選べるのか?」

「そうだ。ただ、神の意志にお任せすることも可能である」

「え? そ、それって、ランダム要素ってことか? そ、その場合、レアな種族になれたり?」

「それはない。ただ、神がその者の今までの行いを見て、最も適した因子をくださる」

ランダムで選んだ場合にだけ出現するレア種族とかロマンあるんだけどなぁ。残念ながら存在していないらしい。

「試練を受ける意思があるのであれば、神像に触れてみてください」

「わ、わかった」

虎獣人に言われるがままに獣神様の像に触れる。

『汝、試練を望む者か?』

「yesだ」

『では、試練を授けよう』

獣神の試練

内容:レア度6以上の、モンスター素材を3つ捧げよ

報酬:獣の因子。もしくは、ボーナスポイント5点。

期限:なし

「え? 試練内容が戦闘系なんだけど!」

「ユートさん、テイマーだからじゃないですか?」

「一応、戦闘職」

そう、そう言えばそうだった! 俺ってば、戦闘職の端くれだった!

「白銀さん? 転生する? 猫獣人とか」

「しないな」

「私もする予定はないですけど、ボーナスポイント5点はおいしいですね」

「だなー。でも、この内容は結構難しいぞ?」

炎宝珠はレア度6だったけど、これは差し出したくないし。まあ、第11エリアで手に入るだろうし、それを奉納すればいいか。

「とりあえず、皆が戻ってくるまでは村から出れないし、見て回るか?」

「そうですね! 新エリアですし!」

「猫グッズあるかな?」