軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

612話 獣人村へと移動中

レイドボスに挑むには、まず獣人村に移動する必要がある。だが、転移ができないので、歩いて移動せねばならない。

俺とアカリを先頭に、レイドメンバーが移動を開始した。大荒原を連れ立ってゾロゾロと歩く。

道中のモンスターは、コクテンたちが瞬殺だった。メンバーが豪華すぎるからね。ただ、ちょっとばかり豪華すぎたらしい。

「やはり着いてきますね」

「そうだなー」

ジークフリードとサッキュンが、難しい顔で後方を見ている。そこには、大勢のプレイヤーの姿があった。

どうやら、有名人が集結している姿を見て、何かあると感づかれたらしい。俺としては、人の目は完全に遮断することなんてできないし、隠れ里に出入りしていればいずれ気づかれると覚悟していたんだが……。

コクテンたちは少しの間、情報を秘匿しておきたいらしかった。初回撃破が難しいとなれば、数日はかかるかもしれない。下手したら、しばらく挑み続ける可能性すらあった。できれば、自分たちがボスを突破するまで、隠れ里関連の情報を独占しておきたいようだ。

まあ、突破に失敗し続けているところに、他のプレイヤーが挑んでいるとなれば、焦るだろうしね。気持ちは分からなくもない。

すると、ソーヤ君が何かを取り出す。それは、オーブのような光る球だった。

「これ、使いましょう」

「さすがソーヤさん。レシピを入手済みでしたか」

「本職ですから」

コクテンもそれが何なのか分かっているらしい。何やら喜んでいる。

「それ、何だ?」

「最近見つかった、姿隠しのアイテムです」

なんと、使用するとチームの姿が一定時間透明化し、他のプレイヤーから見つからなくなる効果があるそうだ。

ただ、あくまでもプレイヤー間でのやり取りに限るうえ、自分たちから他のプレイヤーも見えなくなる。それ故、使いどころが非常に難しいのだ。

このアイテムを使用している間、他のプレイヤーは完全に素通り状態で、接触不可能になる。そのため、情報を秘匿するためには有用なアイテムであるらしい。

「ちゃんとパーティ分有りますから。お使いください」

「ありがとう」

「ユートさんは、使うことがとても多くなるでしょうし、レシピを購入しておくのもいいと思いますよ」

早耳猫で絶賛販売中だそうだ。ただ、まだメチャクチャ高い。さらに、高位の錬金術師しか作れないため、レシピが売れずに未だ公開に至ってはいないようだ。

レシピを手に入れて自分で作るよりも、ソーヤ君みたいな錬金術師から買う方が楽だと考える人も多いんだろう。

俺も、公開されてからでいいかな? モンスターも避けられるなら有難いけど、プレイヤーから見えなくなるだけじゃねぇ。

そもそも、どうしても独占したい情報なんかないし。

「しばらくはいいや」

「そ、そうですか? さすがです」

「? それよりも、パーティ分けどうしようか?」

この目隠しのオーブを使用できるのは、2パーティまでだ。5パーティの場合、2、2、1に分かれなければならないだろう。

だが、他のチームが見えなくなってしまうと、案内するのがメチャクチャ難しくなるのだ。そこで、村の位置を知っている俺、アカリ、スケガワで各チームに分かれ、移動することにした。

といっても俺の場合モンスで1パーティ潰しちゃうから、1人でいいかと思ったんだが……。

「私はクママちゃんと一緒に行きます!」

「私もペンギンさんと一緒に行きます!」

一部の――というかアシハナとフィルマから強い要望が出され、俺は彼女たちとチームを組むことになったのであった。

まあ、このチーム分けで何が変わるわけでもないから、別にいいんだけどね。むしろこれで気合が入ってくれるなら安いものだ。

あとは、なぜかKTKとレー、リキューが加わっていた。クルミはタンク同士で打ち合わせをすると言って、コクテンたちと一緒に移動するらしい。俺にリキューとフィルマを押し付けやがったな。

コクテンはリキューが苦手っぽいし、連れて行かない方がいいと判断したんだろう。KTKとレーは、いつの間にかいた。

ほとんど話したことがない相手だし、道中で親しくなれたらいいね。とはいえ、いきなりKTKはハードルが高い。

基本ソロのトッププレイヤーで、無表情。そりゃあ、話しかけるのに勇気がいるってもんだ。対するレーは常に微笑んでいて、雰囲気も柔らかいのだ。

こっちはこっちで、なんか企んでいる風の雰囲気でちょっと話しかけづらいけどね! でも、KTKよりはマシだ。

そう思って、一歩踏み出しかけたその時であった。

「白銀さん」

「ひょっ!?」

KTKが自ら話し掛けてきたぁぁ!

え? 基本無口なんじゃないの? 数人だけいるリアルの友人とだけしか会話しないって聞いたんだけど?

「ありがとう」

いきなりお礼を言われた。

「レ、レイド戦に誘ったのはコクテンだから、あいつにお礼言っとく方がいいぞ?」

「そこじゃない」

じゃあ、何に対してのお礼? そんな絡みもないはずなんだが……。

「日本家屋の入手方法を発見してくれてありがとう」

「え?」

「おかげで、猫にまみれて、毎日戯れることができている」

日本家屋の入手方法見つけたのって結構前の話だぞ? そりゃあ、リアルでは最近と言えるだろうが……。今更お礼にきたのか?

「コクテンからの誘いだけだったら断ってた。でも、白銀さんに恩を返すいい機会。頑張るから」

「お、おう。一緒に頑張ろうな」

「まかせて」

日本家屋を発見しておいてよかった! それにしても、KTKって最前線プレイヤーだよな? 毎日猫まみれで戯れるって……。いや、攻略の合間ってことなんだろう。

ともかく、KTKが参加してくれた理由は分かった。いやー、何が理由で人の縁が繋がるかなんて、分からんもんだねぇ。