軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

576話 遠乗り

いつもの叫び声を上げてから数十秒後。ようやく落ち着いたアリッサさんと、情報料について話し合う。

俺とジークフリードは、アイテム払いを希望した。コクテンたちに連絡すると、彼らもアイテム払いでもいいという。早耳猫の秘蔵アイテムともなれば、珍しい品が手に入るかもしれないからね。

とりあえず目録を皆で確認し、お金の方がいいとなったら個別に早耳猫と相談という形にしてもらったのだった。

色々と計算してもらった結果、俺の取り分は1400万G。前回よりも少ないが、情報の半分は、みんなで見つけたものだからね。むしろ、俺の想像よりも多くて、驚いたくらいだった。

ああ、この1400万は、アリッサさんから買った諸々の情報料を差し引いた額になる。

一番大きかったのは、連絡があった泡沫の紋章の情報だ。

なんと、ジークフリードがハイヨーを進化させたように、早耳猫でも紋章進化の情報を手に入れていたらしい。

泡沫の紋章を使うことで、泥んこカエルがケミカルフロッグというモンスターに進化するという。

泡とカエル。やはり、モンスターとの相性などが関係するのか? あとは、手に入れた場所に生息するモンスターってことも関係あるのかもしれない。

アリッサさんが言っていた紋章に関する耳寄りな情報も、紋章を使っての進化情報だったようだ。

ジークフリードが売った疾駆の紋章を使っての進化情報に反応していたのは、俺に情報を売ろうとしていたからだろう。

完全に同じじゃないけど、紋章を使って進化できるという部分も重要だからね。

確かに、泡沫の紋章による泥んこガエルの進化情報も非常に有用である。だが、先に紋章進化の事を知っていると、パンチが弱くなってしまうのは確かだった。

しかも、進化先であるケミカルフロッグのビジュアルがね……。

かわいいアマガエル風の外見ならよかったのだが、かなりリアルなヒキガエルタイプの姿であった。しかも大型犬並みの巨体だ。

色は、ケミカルの名前に違わず、サイケデリックな色調をしていた。基本がグリーンで、そこにイエローとブルーがマーブル状に混ざり合っている。

見てるだけで目がチカチカしてきそうだ。

しかも、その色味のせいで、全身にあるイボイボがメチャクチャ気色悪い。

体全体から泡を出している映像を見せてもらったが、ちょっと引いてしまったのだ。

さすがにこのカエルを連れ歩く勇気は俺にはなかった。

あとは各地のモンスターや素材の情報に、妖怪の情報も仕入れてみた。そう、妖怪だ。

しばらく新しい妖怪には出会えていなかったが、第10エリアで遭遇したプレイヤーがいたのである。

情報を手に入れたのは、浜風らしい。さすが陰陽師。妖怪の専門職なだけある。

「いやー、楽しみだねぇ」

「ついてきてもらえるのは有難いけど、いいのか? ドロップ品とかは期待できないぞ?」

「別に構わないよ。妖怪が気になっているだけだからね」

アリッサさんから妖怪の出没情報をゲットした俺は、早速会いに行ってみることにした。その時に、ジークフリードも付いてきてくれることになったのだ。

戦闘力が欲しい俺と、妖怪に興味があるジークフリード。見事に利害が一致していた。

目指すのは青都の近くにある川だった。日の半分ほどは雨が降る大森林の中に、細い川がいくつも流れている。

目的地はその川の最上流だった。

「ヒヒーン!」

「ヤヤー!」

「キキュー!」

「ファウ、リック。あまり走ってる最中のキャロの邪魔すんなよー」

リックとファウがキャロの頭の上に陣取り、耳にちょっかいをかけている。クルクルとよく動く様に、興味を引かれたのだろう。

「フマー?」

「デビ!」

「あ、お前らまで! あとで触らせてもらえ! 今はやめて!」

俺は一度畑に戻って、移動力重視のパーティに組み替えている。

元々足の速いキャロ。飛ぶことができるファウ、アイネ、リリス。俺に乗って移動できるリック。あと1人は誰にしようか悩んだが、オレアにしてみた。

一番体重が軽く、俺の後ろに跨れないかと思ったのだ。キャロの足が少し遅くなるうえ、オレアは戦闘ができなくなるが、移動することは可能であった。

ただ、ずっと振動でガクガクしている。騎乗スキルがないと、振動が軽減されないからな。

「トリリリリ」

「大丈夫かオレア? 少し休むか?」

「トリリリ!」

強がっているけど、本当に大丈夫かな?

それを見ていて憐れになったのだろう。途中でジークフリードが、オレアをハイヨーに乗せてはどうかと提案してくれた。

さすがビッグサイズのハイヨー。キャロよりも力があるおかげで、タンデムでも問題なかった。

キャロとハイヨーが並走し、その馬蹄の音を響かせる。すれ違うプレイヤーに何度も振り返られたのだ。まあ、大きな馬と小さな馬という、凄い凸凹コンビだからね。仕方がない。

道中では戦闘はほぼスルーだ。逃げ続けながら、先へと急ぐ。

俺のログアウト時間が迫っているからだ。ジークフリードには申し訳ないが、戦闘を繰り返している暇はなかった。

ただ、さすがにキャロたちも疲れてきたようなので、途中のセーフティエリアで休憩をすることにした。

「ほら、下ろすよ」

「トリー!」

ジークフリードがオレアを抱え上げて、下ろしてくれる。触れ合いの許可を出しているから、ジークフリードはうちのモンスを直に触れるのだ。

すっかり仲良くなったらしく、オレアも信頼しているようだ。

「いやー、ゲームの中とは言え、自然は気持ちいいね」

「トリリ!」