軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

568話 即席チーム結成

臨時パーティに加わってくれた忍者野郎ムラカゲだったが、彼はある疑問を口にした。

「えーと、ボス戦ということは、騎乗モンスは連れて行かぬ方が良いのでござろうな?」

「え? ああ、そう言えばムラカゲは馬を持ってたっけ」

「そうでござる」

騎士ギルドや商業ギルドなどに加入して、色々イベントをこなすと購入できるらしい。

ただ、騎士ギルド以外の場合は、ランダムで馬以外になることもあるそうなので、馬が欲しければ騎士ギルド一択だそうだ。

しかも、ここで購入できる馬は駄馬だけなので、あまり強くはなかった。ジークフリードなどは初期ボーナスに加え、騎乗時に主も馬も強化されるようなスキルガン積みなので、一見すると強く見える。

だが、実際の馬のステータスはさほど高くはなく、進化しても能力の伸びが悪いらしい。

そのため、どこかで馬を乗り換えるか、馬が強化されるようなイベントがあるのではないかと言われているという。

「行くのは、噂の見習い騎士の森でござろう? 騎乗関連のイベントの可能性はあるのでは?」

「それは確かに。それに、敵は素早く動く狼だし、馬に乗るのは悪い選択じゃない気もするな。コクテンたちはどう思う?」

「私も、それで構わない気はしますね。それに、検証する意味でも、騎乗している人間は欲しいところです」

ということで、ムラカゲは黒風に乗ったまま参加してもらうことにした。さらに、俺たちはパーティメンバーを探す。

こうなったら、もう1人騎乗プレイヤーを誘ってしまおうということになり、俺たちはある男に連絡を取った。

騎馬と言えばこの男――ジークフリードである。

「やあ、ユート君。お誘いどうもありがとう」

相変わらずの紫髪のイケメンが、不細工な馬に乗ってやってきた。

「選んでくれたからには、全力を尽くすよ」

「拙者もでござる」

「未知のボス戦なんて、心が躍りますね」

「ニャムンちゃんに貢ぐためにも、しっかり稼がないと」

非常に濃い面子が集まったな。ニンジャかぶれ、自称騎士、戦闘狂、ドルオタ。トッププレイヤーばかりのはずなのに、不安なのはなぜだろうか?

まあ、戦力的には相当なものなので、これで負けたらフォレストウルフチーフが強すぎるってことだろう。

「じゃあ、みんな頼むな」

「「「おう!」」」

ということで、さっそくボスに挑もうかと思ったのだが、その前に皆が検証を行いたいと言い出していた。

紋章の話を聞いたら、無視はできないのだろう。というか、メチャクチャ食いつかれて、ちょっと驚いたほどだ。

いや、でも考えてみたら紋章だもんな。まだ使ったことないからいまいち実感がわいてないけど、誰もが欲しがる超絶レアアイテムなのだ。

あの礼儀正しいジークフリードが思わず真顔になって、俺に詰め寄ってくるくらいの、超重要情報だったらしい。

それに、検証するにはいい面子だろう。コクテンたちは騎乗モンスを連れておらず、ムラカゲとジークフリードは馬を連れている。

ムラカゲたちはキュートホースをテイムできるのか? できた場合、再度試したら紋章がゲットできる? その際、パーティ組んでたらどうなるのか?

色々知りたいこともあるし、何度か試してみようと思う。

まずはムラカゲ、ジークフリードを連れて元騎士の老人のもとを訪れた。すると、老人の態度が明らかに違っている。

どうやら馬をテイムしていると、好意的になるらしい。これが馬以外だったらどうなのか気になるけど、そこは検証班なんかに任せるとしよう。

ジークフリードなんか、騎士に興味があるならいつでも訪ねてきなさいとか言われている。ムラカゲにないってことは、職業の関連なのだろう。もしくはスキルかな?

その後、俺たちは、喜び浮かれるジークフリードを宥めながら、見習い騎士の森へと向かった。

浅層は難易度低めなので、特に隊列など組まず、時折出現するモンスターを撃破しながらのんびり進んでいく。

そして15分後。

俺たちはあっさりとキュートホースを発見していた。もううちのモンスたちにとったら、キュートホース探しは慣れたものなのだ。

「なるほど、幻影でござるな」

「攻撃するなよ。武器は仕舞って、ここに座るんだ」

「本当にピクニックみたいだ。こういうのもたまにはいいものだね」

ジークフリードの暢気発言にコクテンたちが苦笑いしているが、そのくらいゆるい方がいいだろう。キュートホースと戦闘するわけじゃないし。

皆でゴザに座りながら、いつも通りキュートホースの好物を地面に並べていく。それに食いついたお馬さんが姿を現すと、俺たちは皆で囲んで戯れる。

「いい手触りだね」

「そうでござるな!」

ジークフリードたちはやはり馬好きであるらしく、非常にノリノリだ。対するコクテンたちは、普通のノリだった。騎乗モンスとしての興味があっても、可愛いさにはさほど興味はないんだろう。

そうしていると、満足したキュートホースが光り輝く。いつもならここでアイテムをゲットできるのだが……。

「どうだ?」

「テイムできたでござるよ!」

「僕はダメだったね」

「私たちもです」

どうやら、一番好感度を上げたプレイヤーにテイムされるらしい。その場合、他のプレイヤーもアイテムは手に入らないようだ。1パーティで1回のチャンスなのだろう。

その後、俺たちは何度も検証を重ねた。時にはパーティメンバーを外してみたり、個々で森に入ったりもしたのだ。

そこで分かったのは、無条件で自動テイムが行われるのではないということ。テイムか騎乗、どちらかのスキルが必要であるっぽい。

あとは、皆で可愛がったとしても、手に入るアイテムがそれぞれ違うということだった。

紋章はジークフリードが1回だけ手に入れたが、条件はいまいち分からない。ただ、ここにもテイムと同じで、好感度的なものが影響している可能性があるようだ。

ジークフリードは騎乗モンスの好感度が上がりやすくなるようなスキルを所持しており、ムラカゲはそれ系のスキルを一切持っていなかったのである。

「残念ではござるが、そろそろ制限時間いっぱいでござるな」

「あ、もうそんなか」

最初から検証は3時間と決めていたのだが、あっという間に時間が過ぎてしまったな。ただ、コクテンたちもいい加減ボスと戦いたいだろうし、そろそろ移動しますか。

すでに夕方になっているし、夜になる前にはボスを倒したいのだ。徘徊ボスの場合、夜になったら強化される可能性もあるからな。

「いやー、狼タイプのボスか。楽しみですね!」

「ほんとうに!」

さすが戦闘狂ども。コクテンもセキショウも、一気にテンション上がったな。頼もしいぜ。