軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

530話 サジータ

「らっしゃい! 獣魔ギルドへようこそっ!」

「あ、ども」

赤都の獣魔ギルドに足を踏み入れると、威勢のいい声で出迎えられた。べらんめぇ調の挨拶の主は、カウンターに立っている受付さんだ。

華奢で小柄で綺麗な黒髪ロングの、色白美少女である。

そうなのだ。一見、清楚系アイドルのように見える美少女こそが、威勢のいい挨拶の主であった。

「兄ちゃん、うちは初めてかい?」

「は、はい」

「じゃあ、説明からさせてもらっからよ! 聞いてくれ!」

ギャップが凄い。運営、遊びすぎだろ! だが、これはこれでありかも? この方が親しみやすいというか、話しやすいのだ。

その後、庭の使い方や、ここで買えるアイテムなどの説明を受け、俺は早速システムを利用してみることにした。

やり方は非常に簡単で、この町に入った時にギルドの庭に送るモンスを設定しておくだけだ。個別に設定もできるし、サイズなどで一括の設定も可能である。

自動転送の設定を変更できないのは、一定以上のサイズのモンスだけだった。他の町のギルドだとどうしているのかと思ったら、大型のモンスターだけには同じような転送システムがあるらしい。

ただ、庭で遊ばせることはできず、ギルド横の大型従魔待機所で、じっと待つ形になるそうだった。ちょっとかわいそうな感じがするよな。

ただ、プレイヤーがモンスに嫌われることはないと言っていたので、好感度の変動はないってことなんだろう。

また、預ける設定にしなくても、ここで申請すれば庭でモンスたちを遊ばせることも可能であるらしい。

うちの場合はホームの庭が広いけど、そうじゃないプレイヤー用のサービスなのだろう。勿論、俺が使うこともできる。

「じゃあ、うちの子たちを少し預けていいですかね?」

「おう! 安心して預けてくんな!」

本当に預けていいかどうかの問いに、Yesを選択する。すると、うちの子たちが一斉に転移していった。

庭には入れないそうなので、庭が見下ろせる二階のテラスへと向かう。そこからは、モンスたちの遊ぶ庭を一望できた。

多くのプレイヤーが庭を眺めているな。気持ちは分かるけどね。

「おー、みんな楽しそうだな!」

庭では、預けたうちの子たちがさっそく元気に走り回っている。人見知りしたり、初めての場所に尻込みすることもなく、心の底から楽しそうだ。

他のモンスに話しかけたりもしており、この庭にもう溶け込んでいるようだった。あれなら、しばらく預けていても問題ないだろう。

まあ、相性の悪いモンス同士が喧嘩を始めるなんてことになったら阿鼻叫喚だろうし、ここにいる間は問題なんて起きないんだろう。

俺は安心して受付に戻ると、サジータの居場所を尋ねてみた。すると、あっさりとどこにいるか分かってしまう。

「サジータさんなら、そちらに」

「え?」

後ろを振り向くと、ロビーにあるテーブルでお茶をしている1人の男性が、おもむろに立ち上がるところであった。

そのままこちらに近づいてくる。

「やあやあ、あなたがユートさんですか?」

「は、はい。では、そちらがサジータさん?」

「そうだよ。よろしくね」

フレンドリーに握手を求めてきたのは、金髪のイケメンさんだ。20代後半くらいの、長身のハンサムさんである。ローブを装備し、木製の弓を背負っていた。

「カプリから聞いたけど、僕に聞きたいことがあるんだって?」

「そうなんです。作物からの進化について、サジータさんなら知っているとお伺いしたんですが」

「それが僕の専門みたいなものだからね。いいよ、教えてあげる。ここじゃあなんだから、場所を移そうか? 僕のモンスターがいる方が、説明しやすいし」

サジータはそう言って、俺に背を向けて歩き出す。慌てて後をついてくと、彼が向かったのは獣魔ギルドの奥だった。

こっちは、行き止まりだったはずだが、どこに向かっているんだ?

すると、通路の先に見慣れない扉が見えてくる。ただの行き止まりではなく、イベントの際に変化が起きるようになっていたらしい。

その扉を、サジータの後について潜る。

「外……? 庭か?」

「ムー!」

「オルト!」

やはり、扉の先にあったのは、ギルドの庭であった。うちの子たちが集まってくる。それに、他のモンスも集まってきたのだ。

見たことのないモンスたちに思わず手を伸ばすと、タッチすることができてしまった。どうやら、NPCのモンスであればオサワリ可能であるらしい。

ここが楽園か?

モンスたちに囲まれてワッチャワチャにされたが、幸せしかないのだ。

「お楽しみのようだけど、そろそろ本題に移っていいかい?」

「あ、すんません!」

「いいよいいよ。君がいい人だっていうのは十分に分かったし」

危ない危ない、モンス天国にトリップしかけていたぜ。

「じゃあ、まずは紹介から。この子が僕のモンスター、樹人のミーアと、緑霊のモーアだよ」

「トリ!」

「ファファー!」

モンスたちを解散させたサジータが紹介してくれたのは、2体のモンスターであった。

樹人のミーアは、オリーブトレント時代のオレアにそっくりだった。木の人形風の外見に、「トリ!」という声。背格好も同じだし、トレント系の進化種なのかね?

緑霊のモーアは、初見である。緑の葉っぱをたくさん集めて、ボールに満遍なく張り付けて作った不思議な球って感じ? それが宙にプカプカと浮いている。

緑の球の中央には、黒い線で絵文字みたいな顔が描かれていた。これが顔らしい。よく見れば、ちゃんと表情が変化しているのだ。

「まずは、この子たちの進化について、話をしようか」