軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

529話 ギルドの庭

「じゃあ、オルトたちはこの野菜を頼んだ」

「ムー!」

「――♪」

アリッサさんたちと分かれた俺は、畑に戻ってきて作業をしていた。

明日以降は各都への到達と、検証への協力で忙しくなるだろう。今日の内に、新しい野菜の種蒔きなどを終えてしまいたいのだ。

まあ、畑仕事はオルトたちに任せて、俺は唐辛子の味見や、ブランシュへとメールを送ったりしていたけどね。すると、作業終わり頃に訪問者が現れる。

「兄ちゃん!」

「カプリ? どうしたんだこんな場所まで」

チェーンクエスト関係のNPC、農業少年のカプリだった。

「サジータ兄ちゃんから伝言だよ!」

会わせてもらう予定になっていたサジータから、メッセージを持ってきてくれたらしい。

「今、赤都にいるんだってさ。獣魔ギルドで仕事を請け負ってるから、いつ訪ねてきても構わないって!」

「おー、なるほどね」

どうやら、第10エリアへの到達が、チェーンクエストが進むトリガーになっていたらしい。というか、赤青緑黄のどこかの都への到達かな? これ、今後もエリア到達がトリガーになってたら、途中で進まなくなる可能性もあるかもしれない。チェーンクエスト完全攻略は、かなり先になるかもしれなかった。

新しい作物の種蒔きを終えた俺たちは、再び赤都へと向かう。サジータのことがなくても、町を散策するつもりだったしね。すでに獣魔ギルドの場所は分かっているので、多少遠回りをして露店などを冷やかしながら向かう。

さすがに最大規模の都市だけあって、今まで以上にNPCの数が多い。ただ、数だけではなく、ここのNPCにはもう1つ特徴があった。

NPCの種族の多彩さだ。今までは人間が多い印象だったが、赤都では半数以上が異種族だった。

各種獣人にエルフ、ドワーフ。そして、ネレイスやハーフリングなどの、プレイヤーでは少数派の種族もいる。

これが、種族転生や、種族変更システムがこの都市のどこかに隠されていると噂される理由なのだろう。まあ、見ていると獣人などもちょっと面白そうだし、種族変更したいっていう願望もあるんだろうが。

NPC屋台の美味そうな料理や、モンスたちに似合いそうな服なんかを買いながら、獣魔ギルドに辿り着く。

場所は中心街から少し離れた、ギルドなどの大型施設の集まった区画だ。冒険者ギルドなんかも近くにある。

その中でも、獣魔ギルドの敷地は特に大きかった。蔦の絡まった、西洋の教会のような建物に加え、小学校の校庭数個分にも及ぶ従魔用の庭があるのだ。

「すげーな」

「ム!」

その庭では、多くのモンスたちが遊んでいる。動物型に、精霊型。骸骨やスライムなども放し飼いだ。

うちの庭も結構ワチャワチャ度は高いんだが、さすがギルド。数も規模も段違いだった。

「これって、NPCなのか? それとも、プレイヤーのモンスも混じってる?」

「どっちもだよ」

「え?」

まさか、独り言に返事があるとは思わなかった。思わず振り返ると、見覚えのある小柄な金髪エルフさんが立っている。

「アミミンさん!」

そこにいたのは、トップテイマーのアミミンさんだった。

「こんにちは。ここのお庭、ギルド員なら使えるよ? うちの子たちも、あそこにいるんだ」

「え? どこっすか?」

「あそこのおっきい亀さん」

アミミンさんが指したのは、庭の中央に置かれた小山だった。

遠目からだと、普通の築山にしか見えん。頂上に松みたいな木が生えているし、表面は苔に覆われているのだ。

ただ、よく見るとマーカーが出ている。なんと、築山ではなく、巨大な亀の甲羅であるらしかった。

「小遊三、進化したんですね」

「うん。今はガーデントータスっていう種族なんだ。あれで畑の管理もできるし、硬いし、すっごく強いんだよ?」

その巨大亀の上では、リスやウサギが日向ぼっこをしている。アミミンさんのモンスたちだろう。

「町に入ったら、自動でお庭に転送されるから便利だよ?」

「あー、あの巨体だと、連れ歩けないですもんね」

「一定以上のサイズの子は、自動的に獣魔ギルドに預けられるんだ。ちっちゃい子たちは設定次第だね。町を出ればちゃんとパーティに入ってるから安心して」

今はまだ少ないだろうが、ゲームがもっと進むとテイマーたちが巨大モンスを大量に連れ歩く事態も考えられる。

町が巨大モンスだらけになったら、プレイヤー、NPCともに混乱するだろう。それを防ぐために、ちゃんと自動転送システムが存在していたらしい。

「ダンジョンとかフィールドはどうなんすか? あのサイズじゃ、入れないところもあるでしょう?」

「ケースバイケースだね。サイズがこっちにあわせて拡張される場所もあれば、一定以下のサイズしか入れないダンジョンもあるよ」

「となると、大型化するのはデメリットもあるってことですか」

「逆に、大型の子がいると便利な場合もあるし、そこは仕方ないって割り切ってる。それに、ボス戦では必ず一定以上の広さがあって、参戦に制限はないから」

フィールド攻略では、サイズによる有利不利がある。ただ、それもテイマーの醍醐味というか、考えて編成しろってことなのだろう。

「それにしても、妙に精霊系のモンスが多いような?」

よーく観察してみると、ノームやウンディーネなどの、4属性生産精霊たちが半数を占めていた。いくらなんでも、多すぎじゃないか?

「最近はテイマーだけじゃなくて、生産職の人たちが精霊をテイムすることが増えたから。その従魔ちゃんたちだよ。ホームに庭がないから、ここで遊ばせてるみたい」

どうやら、ノームやウンディーネの有用性が広まってきているらしい。アミミンさん曰く、生産職なら半数はテイムかサモンを所持しているそうだ。

「みんな、ここで遊びたいか?」

「フマー!」

「キキュ!」

どうやら、オルトたちも初見の遊び場所に興味津々みたいだった。じゃあ、サジータさんに話を聞く間、ここで遊んでいてもらおうかな?

「早速、中で手続きをしよう」

「ムム!」