軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

521話 地魂覚醒の実力

地魂覚醒によって、大きく成長したファウ。ただ、中身はファウのままだった。

「ちょ、ちょっとまて!」

「ヤ?」

「無理だから! その状態で俺の肩には乗れんから! せめて肩車にしてくれ!」

「ヤー……」

そんなしょんぼりされても……。今のファウは、アイネよりも大きいんだぞ? 肩に腰かけるのは無理だ。頭の上はもっと無理だろう。

「ていうか! 効果時間終わる! 早くぶっぱなせ!」

「ヤヤー!」

危ねー、貴重な覚醒スキルをコントで1回無駄にするところだったぜ。

相変わらずなファウだったが、覚醒スキルは凄まじかった。

「ヤヤーヤー!」

「で、でけー!」

「ヤー!」

ファウが手の平をかざすと、ラージ・ロックアントの前方の空中に、2つの魔法陣が描き出される。黄色に輝く、巨大な魔法陣だ。

中心には六芒星。その周囲を円が囲み、その外側には梵字にも似た解読不能な文字が描かれていた。さらに、その周りにはさらに色々な装飾が施されている。

これぞ魔法陣という感じだ。

そして、そこから巨大な岩が撃ち出される。そのサイズは、直径5メートルを超えているだろう。

超高速で打ち出された2つの巨岩が、ラージ・ロックアントを打ち据えた。いやー、少し離れた場所から見ているけど、凄い迫力だ。

今後、あんな攻撃をしてくる敵が出現するんだろうか? うわー、今から恐ろしいぜ。

見た目の迫力だけではなく、威力もすさまじかったらしい。プレデターの巨体が大きく吹き飛んでいた。

大型のモンスターは並大抵の攻撃では吹き飛んだりしない。それが10メートル近く飛んでひっくり返るというのは、余程の破壊力である。

ダメージも想像を超えていた。ラージ・ロックアントのHPを、半分以上削っていたのだ。

弱点属性である水魔術でも、俺であれば数発は必要になるだろう。

超強力な土属性攻撃。それが、地魂覚醒の正体であるようだった。

振り返ると、ファウはもう元の姿に戻ってしまっている。いつも通りの、ちっちゃな妖精さんだ。

「ヤ?」

この辺はドリモと同じである。変身していられる時間の短さも、覚醒スキルの共通点なのだろう。

「よーし、とりあえず残りを削り切るぞ!」

「ヤヤー!」

「デビー!」

「トリリー!」

モンスたちが張り切って攻撃を仕掛ける。

スタン状態にあるらしく、ラージロックアントからの反撃はなかった。結局、ドリモが覚醒する必要もなく、総攻撃で勝利していた。

もう、俺たちの敵じゃなかったな。

素材も、めぼしい物はない。紋章とか密かに期待してたんだが、そう甘くはなかった。

「それにしても、覚醒スキルは凄いな。1日に1回しか使えないだけあるぜ」

「ヤ」

「モグ」

となると、覚醒孵卵器が俄然楽しみになってきた。想像が正しければ、孵化するモンスが、確実に覚醒スキルを持った状態で生まれてくるのだろう。

「畑に戻って、覚醒孵卵器を強化できないか確認してみよう」

これを基にして、火属性付加戦闘技能覚醒孵卵器的なものが作れるかもしれないのだ。

そう期待していたんだが、無理そうだった。錬金の対象に選べなかったのである。どうやら、これで完成品という扱いのようだった。

もしかしたら、従魔の覚醒を孵卵器に合成すれば、覚醒孵卵器になるのかもしれない。テンション上がり過ぎてすぐに使ってしまったが、色々と実験してからにすればよかったな……。

「うーん。もしかして、ソーヤ君なら何か違うか?」

俺よりも錬金レベルが高いプレイヤーなら、違う反応があるかもしれない。

フレンドリストを確認すると、ソーヤ君はログインしていた。

早速連絡してみる。すると、時間があるというので、俺はすぐに会いに行くことにした。

今日は第5エリアにいるらしい。転移して広場に向かうと、直ぐに発見することができた。ソーヤ君の露店だけ、人が全く寄り付いていないのだ。

なんでだ? 雑貨とかスクロールとか、色々と面白い物が売っていると思うんだが……。

「やーやー、ソーヤ君」

「あ、ユートさん。連絡ありがとうございます」

「いやいや、礼を言うのは俺の方だから」

「珍しい物を見せてもらえるんだから、僕も得してますよ? それで、落札した孵卵器ってどんな感じです?」

「これなんだが、どうかな? 俺だと合成素材にはできそうもないんだけど」

「うーん、ちょっと見せてもらいますね」

「頼むよ」

ソーヤ君の前に覚醒孵卵器を置くと、俺は連れてきたファウたちと一緒に露店を眺めることにした。

右肩にファウ、左肩にリック、足元にペルカという布陣だ。他の面々は、今ごろ遊具で遊んでいるだろう。

「品揃えが随分変わったな」

「キュ」

ソーヤ君の露店は、販売している商品が、以前とはガラリと変わっていた。もう雑貨屋とは呼べないな。

ソーヤ君の露店で売っていたのは、魔本だったのだ。20冊ほどの魔本が、綺麗に陳列されている。完全に魔本屋さんだった。

非常に目を引くが、売れるかどうかと言われたら微妙だろう。

魔本の性能は悪くない。杖のように魔術の発動媒体としても使えるし、登録した魔術を単発ではあるが詠唱なしで発動が可能。

ただし、登録した術は威力が半減なうえ、耐久値を削るのでずっと使用し続けることもできない。

これだけなら使う人間はいそうだが、最大のネックは魔本スキルだろう。

魔本スキルを手に入れるためには前提スキルがいくつか必要となっており、ボーナスポイントが全部で30近く必要となるのである。

いずれ大化けする可能性は高いと思うが、今は中々使用者が増えないだろう。

俺だって正直気になる。気になるんだが、どうも決め手に欠けるのだ。

「ソーヤ君、魔本売り始めたんだね」

「そうなんですよ。なかなか売れませんけど、魔本を普及させるためにはこうして売っていくのが一番ですから」

「売れてる?」

「……あ、あははは。まあ、ボチボチってことにしておいてください」

魔本普及への道は、なかなか険しそうだな。