軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

520話 ファウ覚醒

ファウが地魂覚醒をゲットしたのはいいんだが、名前が地魂覚醒・幼精となっていた。

これって、ドリモの竜血覚醒・幼竜と同じだよな?

ドリモの場合は、初期が竜血覚醒。進化したら竜血覚醒・幼竜になったはずだ。

どうやら、最初から1段階成長している状態であるらしい。ファウは1回進化しているから、そのおかげだと思われた。

つまり、今後モンスたちに覚醒スキルを覚えさせることが可能になった場合、進化の段階に応じた覚醒スキルをゲットできるってことだろう。

あと、従魔の覚醒がドリモに使えなかったということは、覚醒スキルは1人1つしか覚えられない可能性が高かった。

「さて、地魂覚醒の効果を確かめたいね」

相変わらず、その身に眠る大地の力を目覚めさせるとしか書かれていない。

「ファウ。ここで使えるか?」

「ヤー……」

畑では使えないらしい。ということは、生産系じゃないってことか。

「じゃあ、外に行って試そう」

「ヤヤ!」

ということで、俺はファウを連れて始まりの町の外で戦闘をしてみることにした。お供はファウに加え、オルト、サクラ、ドリモ、リリス、オレアの5体である。

オルトは地魂覚醒に何か関係あるかもしれないし、ドリモは覚醒の先輩だ。サクラも一応親枠で連れてきた。

リリス、オレアはまだレベルが低いから、できるだけ経験値を稼がせたいのだ。まあ、初期フィールドじゃ、どれだけ敵を倒してもスズメの涙だろうけどね。

ゾロゾロと連れ立って、夜の北の平原へと出撃する。もう、このフィールドなら俺一人でも問題ないから、過剰戦力だ。

「適当にぶらついて、スキルを使ってみよう」

「ヤヤ!」

とりあえずモンスターを探す。まずは覚醒スキルを使わずに、普通に戦闘してみた。

スキル以外に、変化があるかどうか確認したかったのだ。その結果、目立った変化はやはりなかった。

「ヤヤヤー!」

空中から一直線に突き進むその蹴りは、完全にライ〇ーキックである。威力は低いけど。

やってる本人は、非常に勇ましい表情なんだけどね。

相変わらず、物理攻撃が弱い。ファウはうちの中だと唯一俺より腕力が低く、断トツで最弱である。この辺の敵でも、物理攻撃一発で倒すことはできなかった。

「さて、次の敵で地魂覚醒を使ってみるか。ファウ、いけるな?」

「ヤヤ!」

ファウが、俺の言葉にやる気満々で頷く。腕を胸の前でガッシリと組んで、威風堂々とした雰囲気さえ感じる。出撃時のガン〇スターを思い出すね。

そうして次の敵を探していると、遠くに黒い影が見えた。最初はロックアントかと思ったが、違っている。

近づいてみると、そのサイズが数倍あったのだ。月夜に照らされて、甲殻が鈍く煌めいている。

「プレデターか」

「ヤ!」

北の平原のプレデターである、ラージ・ロックアントだった。初期であれば、逃げることしかできなかった超強敵である。

だが、今となってはさほど苦戦する相手ではなかった。プレデターとはいえ、所詮は初期フィールドの敵だからな。

多分、俺とオルトだけでも楽勝だろう。

ただ、それなりにHPは高いはずなので、新技の試し撃ちには丁度いい相手だった。

「いっちょ、プレデター相手に試し斬りといきますか」

「ヤ!」

周囲に、プレデターを狙っていそうなプレイヤーたちはいないので、横取りにもならんだろう。

未だに第1エリアで活動しているとなると、第二陣の生産職とかだろうしね。プレデターを狩ろうというプレイヤーは多くないのだ。

すでにプレデターはこちらに気づいている。昆虫特有の感情を感じさせない目で、俺たちを見つめていた。どこまでも追ってくるだろう。

そして、俺たちに向けて進路を変更した。接敵まで1分かからないだろう。

「よし! みんな隊列を組め! オルトは奴を受け止めるんだ!」

「ムム!」

「初手はファウがやる! みんな、攻撃するなよ!」

「ヤヤー!」

久しぶりに間近で見るラージ・ロックアントは、やはり迫力があった。

楽に勝てるようになったとしても、プレデターの放つ威圧感はかなりの物だ。それに、以前追いかけ回された記憶も残っている。どうしても、苦手意識を感じてしまうのだった。

「く、くるぞ!」

「ギュオオオォォ!」

「ムッムー!」

だが、気圧されているのは俺だけであったらしい。ラージ・ロックアントの突進を、オルトがガッチリと防いでくれている。

「ムムー!」

「ギュオォォ!」

プレデターの巨体が、少年の姿をしているオルトに押し止められていた。それどころか、押し返されている。

オルトの小さい背中が、頼もし過ぎるぜ!

「ファウ! 今だ! 地魂覚醒!」

「ヤー!」

ファウの体が光に包まれる。

ドリモの竜血覚醒はドラゴンへの変身スキルだが、地魂覚醒はどんなスキルだ? ノームに変身? それとも、もっと違う何か?

期待しながら見ていると、光が収まった後には大きく姿を変えたファウが佇んでいた。

ただ、ドリモのように全く違う存在に変身したという訳ではない。基本は、今までのファウと一緒だ。

背中には4枚2対の翅が生え、髪は赤く、その手にはリュートを持っている。だが、そのサイズが違っていた。

出会ったばかりの頃の、ルフレ程度のサイズまで成長していたのだ。

さらに、その服装もだいぶ違う。青を基調にしているのは変わらないが、今はそこに金色の入り混じった大人っぽいドレスを身に纏っている。

「ファウ?」

「ヤー!」

ああ、成長しても、中身はファウだな。笑顔で万歳する動作が全く一緒だった。