軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

518話 いろいろ設置

「あー、酷い目にあった……」

「――?」

「大丈夫だよサクラ」

俺がブランコに乗っている時からずっと心配そうな顔をしてくれていたサクラに、大丈夫アピールをしておく。

そして、俺は新たな羊皮紙を取り出した。設置物は遊具だけではないからな。

「お次は水路だ!」

「――♪」

羊皮紙を使用する。すると、遊具とは全く違う現象が起きていた。

遊具の場合は半透明の遊具が出てきて、好きな場所に動かして設置すれば終わりだった。だが、水路はメチャクチャ長いうえに、その見た目や材質も変更できるらしい。

それを、自力でというのはかなり手間である。

だからだろう。羊皮紙から出てきたのは半透明な水路ではなく、1人のNPCであった。巨大なハンマーを担いだ、ドワーフである。

「今回は儂らの水路をお買い上げいただき、感謝するぞい。ぶはははは!」

敬語が怪しいけど、むしろそこがドワーフっぽいな。

「儂が呼ばれたということは、水路を設置したいのじゃろ?」

「ああ。あんたが手伝ってくれるのか?」

「うむ。儂に任せておけ! 儂の名はダイグじゃ」

「俺はユートだ。頼む」

ドワーフというだけで頼もしさが違う。俺はダイグを連れて、水路の出発点である清らかなる池へと向かった。

「ここから水路を伸ばして、あっちの遊具の脇を抜けて――」

「ふむふむ――」

水路を通す経路を歩きながら、ダイグに説明をしていく。

「最終的には、ホームの畑の方まで繋がる感じにしてほしいんだけど」

「なるほど」

結構簡単なんだが、ダイグはそれで理解できたらしい。

「長さは足りそうかな?」

「問題ないぞい。じゃあ、仮設置しちまうか」

「仮設置?」

「まあ、どんな風になるかのお試しってことだ。仮設置の内は何度でも好きに変更できるから、安心してくんな」

「分かった。じゃあ、やってくれ」

「おう!」

ダイグが軽くハンマーを振るだけで、一気に長い水路が出現した。生産というか、魔法だよね完全に。

それとも、いつかプレイヤーもこんなことができるようになるのだろうか?

まだ10メートルくらい余っているそうなので、その分少し経路を変形させたりしながら、仮設置は完了だ。

「でよ、細かい調整をしたいんだが、高さと材質はどうするよ? あと、デザインや色も選べるぜ?」

「高さはこれでいいかな」

俺の腰くらいの高さで、みんなが水遊びもしやすいだろう。問題は材質とデザインだ。

「今はレンガだけど、他には何があるんだ?」

「石も色々あるし、木材でも行けるぜ」

「うーん」

俺がカタログを見ながら悩んでいると、サクラが横から手を伸ばしてきた。そして、ウィンドウの一部を指さす。

「うん? これか?」

「――♪」

サクラが指しているのは、薄緑のタイル張りの水路であった。小さいタイルを白いモルタルのような材質の上に張り巡らせた、昭和レトロ風のデザインである。

ちょっと古めの銭湯とかにいくと、こんなお風呂あるよな。

「確かに、これなら日本家屋にも合うか?」

日本家屋に合わせて木材にしようかと思ったんだが、こっちの方がオシャレかもしれない。まあ、デザインセンス皆無の俺よりも、サクラが選んだデザインの方がましだろう。

「じゃ、これで頼む」

「うむ。よかろう!」

ということで、水路の完成だ。ダイグは一礼して消えていった。

想定より完成までは早かったな。

「キュー!」

「フムー!」

こいつらが水路に気づくのも早かったな!

ラッコたちとルフレが、直ぐに水路を辿って現れていた。

「ペペーン!」

「ペルカも――って、速過ぎじゃね?」

「ペーン!」

水しぶきを盛大に立てながら、凄まじい速度でペルカも泳いできた。いや、泳ぐっていうか、水面を滑っているような感じだ。

「ペルカ! ぶつかるぞ!」

「ペペペーン!」

と、跳んだぁぁぁ! ペルカはラッコさんたちの上を跳び越え、反対側に着水してそのまま水路の向こうへと消えていった。

あとで注意しておいた方がいいかもしれない。いつか事故が起きるだろう。町の中ではダメージが発生しないから、見た目ほどひどいことにはならないとは思うが……。

「ま、みんなが楽しそうでよかった」

「キュキュー」

「キュー」

ラッコの親子がちっちゃな手をピンと伸ばして、ピコピコと振ってくれる。楽しんでるよアピールだろう。うむ、かわゆす。

そのフカフカの腹毛の誘惑には抗えず、手を伸ばしてモフる。

交互にモフっていると、親子で微妙に触り心地が違うのが分かった。シロコの方が少し硬くて、毛が長い分深く入るのだ。

そうしてラッコの毛を愛でていると、まだ落札アイテムの設置途中だったことを思い出した。

俺はシロコとチャタのラッコさん親子に別れを告げ、ホームの茶の間へと戻った。

「よし、掛け軸を飾ろう!」

「あいー!」

「お、マモリも気になるか?」

「あい」

さすが座敷童。ホームのことは気になるようだ。俺はとりあえず、落札した書画を全て取り出して、畳の上に並べてみた。

風景画が2枚あるから、1つは寝室で、1つは納屋にでも飾ろうかな? 効果なしのアイテムなら、飾ることができたはずだ。

で、水墨画と書は、日替わりで床の間に飾ればいいか。

「なあ、今は座敷童の掛け軸だけど、日替わりで交換しても平気か?」

「あい!」

問題ないらしい。じゃあ、とりあえず交換してみるか。

「どれにしようか……」

「あい!」

「そういえば、マモリのお気に入りはこれだったな」

マモリが欲しがっていた、死戻遊戯の掛け軸を飾ってみる。

「うむ。中々いいじゃないか」

「あいー」

俺はマモリと並んで掛け軸を眺めながら、悦に入るのであった。