軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

482話 橋の下で

和服パーティで楽しんだ後、俺はサクラたちを連れてある場所へと向かっていた。

毎週木の日の恒例となっている、地下の祭壇訪問だ。

和服姿のモンスたちと一緒に橋の下へと潜り込み扉を開けて地下へと下りて行く。いやー、道中も注目の的だったぜ。

始まりの町だと和服はかなり珍しいし、モンスが着ているのもレアだからな。うちのモンスたちはいつも注目されるけど、今日はいつも以上の熱視線だ。

「なんじゃありゃぁっ!」

「きゃわゆい……」

「サクラたん……はぁはぁ」

ふははは、もっと見るがよい! うちの可愛い子ちゃんたちを!

モンスたちも手を振り返したりして、アイドル気分なのだろうか?

そんな風に歩いていたら、5分とかからず祭壇に続く扉へと到着する。

他のプレイヤーたちがゾロゾロと付いてきてしまっていたんだが、ここからは各パーティごとに分かれるから問題ないだろう。

「良く参りましたね。冒険者よ。そして、我が娘よ」

「――♪」

いつも通り、精霊様とサクラが仲良さげに話している。そして、いつも通りそれだけで終わる。イベントが起きたりしない。

予想はしてたけどね。

ただ、サクラの従魔の心を貰えたのは、精霊様に頭を撫でてもらった直後だった。多分、水臨大樹の精霊様と触れ合うことで、好感度が上昇するのだろう。

従魔の心はすでに貰ったから、好感度を上げることに意味があるかどうかは分からない。

でも、好感度が上がるってことは、サクラが喜んでいるってことなのだ。だったら、できるだけ連れてきてやらないとね。

「可愛いですね」

「――♪」

うむ。サクラのあの笑顔を見られただけで、くる価値がある!

精霊様と触れ合い上に戻ってくると、すでにプレイヤーたちは解散していた。待ち伏せするのは、さすがにマナー違反だと分かっているんだろう。

ただ、1人だけ、扉の前で仁王立ちをしているプレイヤーがいた。

薄暗い橋の下に、大柄な戦士風の人間がズドーンと立っている姿は、メチャクチャ迫力があるね。

思わず「ひぇっ」って感じの声が出てしまったぜ。

しかし、よく見てみると、知っている相手であった。

「つがるん?」

「おう。久しぶりだな白銀さん!」

立っていたのは、リンゴ大好きファーマーのつがるんだ。

前見た時とは鎧が違っているから、すぐには気付かなかった。

イベントの素材で強化したのだろう。以前着ていた岩石のような鎧ではなく、茶色の鱗と金属を組み合わせた鎧に変わっていた。

基本は、鈍く光る灰色の全身鎧で、籠手や胸当て、肩当てなどに恐竜の鱗が張りつけられている。

これで、背中に大剣でも背負っていれば、超強そうな重戦士なのに。クワのせいで台無しだ。ちょっとギャグっぽくさえ見える。

「つがるんも祭壇に行くのか?」

「いや、実は白銀さんを待ってたんだ。ここに入っていくのが見えたからな。精霊様参りはそんなに時間がかかるもんじゃないし、待ってればすぐに戻ってくると思ってさ」

フレンドコールすればいいのにと思ったが、俺の邪魔をしないように気を遣ってくれたらしい。

「わざわざ待ってたって、俺に何か用か?」

「ああ。実は、ファーマー仲間で土霊の試練を攻略しようって話になってな。それで、白銀さんにも協力してもらえないかと思って」

「土霊の試練か。そういえば攻略方法が公開されてたな」

「おう! 攻略にはノームが必要だからさ、テイマーを誰か誘えないかって相談してたところなんだよ」

そこで偶然俺を目撃したため、誘ってみようと考えたらしい。

「あそこって確か、エリア8、9くらいの難易度だっけ?」

「ああ、ボスもそんくらいの強さらしい」

「うーん、誘ってもらえて有り難いけど、うちのパーティだと結構ギリギリなんだよな」

「いやー、白銀さんのとこは盾役もいるし、回復役もいるじゃん? 攻撃は揃ってるから、補助役がいてくれればそれで構わないぜ? それに、ノームのレベルが高いじゃんか?」

攻略にはノーム、もしくは土魔術が必要になってくるらしい。ただ、できればそれなりに育ったノームがいいっていう話だった。

「うーん、まあ、時間はあるし、そっちが問題ないなら俺も構わないんだけどさ」

「お! じゃあ決まりでいいか?」

「ああ、よろしく頼むよ」

つがるんに詳しく話を聞く。

メンバーは、つがるん、タゴサックに加え、チャーム、イカルというファーマーさん2人に、俺の知人でもあるアカリも一緒だという。

なんと、アカリは最近になって畑を購入して、農業ギルドにも加入したらしい。

「料理に使う野菜を、自分で育てるんだって言ってたぜ」

「へー、前に料理を始めるとは言ってたが、そこまでのめり込んだのか」

「タゴサックの弟子みたいな感じで、色々と畑について教えてもらってるらしい」

ファーマーとしては駆け出しってことか。だが、戦闘面では頼りになるから、彼女が攻略メンバーにいるのは心強いのだ。

「あと、そっちは5人しかいないけど、あと1人はどうするんだ?」

「ああ、イカルがテイマーで、ノームを連れているんだよ。だから、その枠だな」

「その人がいるなら、俺は必要ないんじゃ?」

「イカルは第二陣だから、まだ弱いんだよ。テイマーだけど、半分ファーマーだからレベルもまだ低いし」

「あー、そういうことか」

俺みたいな、戦闘以外をメインで遊んでいるタイプであるらしい。モンスたちの力があれば、生産もいろいろできるからな。

会ってもいないのに親近感がわくね。

その後、明日の事をいくつか打ち合わせして、つがるんと分かれた。

「明日は土霊の試練か……。ワクワクするな!」

「――♪」

以前は、アミミンさんとマッツンさんに寄生スレスレの状態で、なんとか中ボスを倒すところまではいけた。

あれからかなり強くなったし、今回はちゃんと貢献できるといいんだがな。