軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

455話 状態異常

真の姿を現した悪魔ビフロンス相手に、プレイヤーたちは苦戦を強いられていた。

本体が強力な攻撃を放ってくるうえに、黒スケルトンの召喚速度が今まで以上なのだ。

しかも、黒スケルトンの中にラプトルやステゴなどの、恐竜スケルトンが混じり始めている。

俺たちテイマー軍団は攻撃の手がかなり鈍り、黒スケルトンへの対処に追われてしまっていた。ビフロンスの攻撃と、黒スケルトンからの攻撃で、全体でもジリジリと死に戻りが増えているようだ。

うちのパーティも、オルト、アイネが大ダメージを受け、サクラとドリモに交代せざるを得なかった。

逆に頑張っているのが、トップクランの皆さんだ。ボス恐竜スケルトンを倒した後は、その勢いのままに激しくビフロンスを攻め立てている。

実力がしっかりしているだけあって、周囲と連携し始めればメチャクチャ頼りになった。少数で雑魚スケルトンを防ぎながら、ビフロンスに攻撃を続けている。

ビフロンスのHPがガリガリと削れていく様は、見ていて気持ちが良かった。

俺たちはここで少しでも黒スケルトンを引き付けて、トップ陣を援護していれば勝利できるかもしれない。

「エリンギ、トップ陣の援護をしたいんだが、どうすればいいと思う? 俺のアンモライトを有効活用すれば、何かできると思うんだよ」

「……それでいいんですか?」

「え?」

いいんですかって、どういうことだ? アンモライトを無駄に消費していいのかってこと?

「あ、ああ。別に構わないんじゃないか?」

この後また掘ったっていいのだ。

「さ、さすが白銀さん……」

エリンギって、俺の言葉にいちいち大袈裟に反応してくれるんだよね。いい奴だよ。

「援護ということならば無理に攻めず、ビフロンスの大技を妨害する事だけに集中した方がいいでしょう」

「大技って、どれのことだ?」

巨大化したビフロンスの攻撃は、どれもが大技と言ってもいい。広範囲を薙ぎ払う尻尾に、貫通力のある光線。連射されるうえに爆発する魔力弾に、単純で有りながら恐ろしい踏みつけ攻撃。しかも、全ての攻撃が低確率で猛毒状態にしてくるのだ。

どれを食らっても俺ならアウトである。

「時おり口から吐き出す煙ですね。あれが一番厄介です」

「え? あれ?」

正直、俺的には一番ショボいと思う。

最初は状態異常攻撃か何かと思ったんだが、特段何も起きなかったのだ。多分、目晦ましのための攻撃なんだろう。

それなりに広範囲だが、効果は数秒だし、そこまで問題には思えないんだが……。

「それが、あれはただの煙幕じゃないみたいなんです」

エリンギが再び偵察部隊を放っていたらしく、他のグループの情報を教えてもらった。どうやらあの煙は、本来であれば浴びたプレイヤーに一定確率で状態異常を与えてくる攻撃であったらしい。

実際、他のグループはそれで苦しんでいるようだった。

「つまり、何故か俺たちの周辺だけが、状態異常になってないと?」

「そのようです」

「何が理由なんだ?」

「それは私にも……」

眼鏡軍師エリンギにも分からないんじゃ、俺には絶対に分からんな。

「にしても、トップ陣が困ってるってことは、異常になる確率がそこまで高いのか?」

「いえ、確率は大したことはないようですが、内容がかなり酷いらしいです」

「内容?」

「猛毒、麻痺以外に未見の新種状態異常が登場したらしく、治しようがないようです」

回復の効果が低下する呪詛。仲間に対して全力攻撃を行う狂乱。全てのスキルとアイテムが使用不可能となる封印。それと、今まではプレイヤーだけが使用できていた即死。

「新登場の4種類に猛毒、麻痺の2つを加えた6種類。あの煙に触れるとそれらにランダムで陥ることがあるようです」

「毒と麻痺は治せるけど、他のはな……。しかも、即死って状態異常扱いなのか」

俺も即死薬とかを使ってたけど、初めて知ったよ。

「蘇生薬もまだ見つかってない以上、即死なんか防ぎようがないだろ」

「タンク役が即死して、パーティ崩壊ということも起きている様ですよ」

「うわぁ……」

「対処不可能な新状態異常がボス戦で実装というのは、少々厳しい気もしますが……」

「言われてみればそうか? 運営がバランス調整ミスったとか?」

「まあ、ここで愚痴っていても仕方ないですね。ともかく、援護したいのであれば煙攻撃をキャンセルするのが一番いいと思います」

「分かった。それを狙っていくよ」

結局、俺がやることはあまり変わらないってことね。アンモライトを取り出し、頭の上のリックにも手渡す。

「もう、アイネもペルカもファウもいない。お前が頼りだからな」

「キキュ!」

飛行部隊を全員送還してしまったので、アンモライト爆撃は使えない。俺とリックの投擲で頑張らなければならなかった。

「みんなも、俺とリックの護衛を頼むぞ」

「モグモ!」

「――!」

「クックマ!」

「ヒム!」

こうなると、壁役が充実している今の布陣は悪くないだろう。

俺はみんなに囲まれながら、ビフロンスの動きだけに集中できるのだ。

ただ、集中できるからと言って、上手くいくとも限らない。

『グラアアァァ!』

「くそ! 煙吐きは予備動作が全然ないぞ! リック! 投擲だ!」

「キュー!」

リックのアンモライトがビフロンスに直撃し、煙を中断させる。だが、数秒間吐かれただけで、結構な騒動が起きているようだった。

「とはいえ、予備動作が分からない以上、吐き出し始めたらすぐに妨害するくらいしかできんな……」

「キュー……」

さすがレイドボス。一筋縄じゃいかないぜ。