軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

454話 悪魔の真の姿

骨ティラノへとアンモライトを投げつける大役を任せられてしまった俺は、何とかそのミッションをやり遂げていた。

「ギョオオォォォ……!」

悲鳴を上げるティラノの体が、ボロボロと崩れ、消えて行った。

まあ、必殺技のモーションは分かりやすいからね。後は上手くアンモライトを投げ付ければそれでいいのだ。そう難しい事ではなかった。

一度、目の前にいた黒スケルトンにぶつけてしまい、キャンセルが間に合わなくなりそうな時は焦ったけど。アイネが代わりにアンモライト爆撃を行ってくれたおかげで、大惨事は免れたのだ。

俺が簡単な作業を失敗したせいで死に戻りが大量とか、ゲームをしづらくなるところだった。アイネに感謝だな。

ただ、骨ティラノ以外の恐竜スケルトンたちは、未だに健在である。

遠目からも、恐竜スケルトンたちが荒ぶっているのが見えた。

「なんか、凄い苦戦してるな」

俺の呟きを聞いたエリンギが、向こうの情報を教えてくれる。

「どうやら、海賊スケルトンの一部がプレイヤーを襲っている場所もあるようです」

「え? まじ?」

「はい。森から現れた海賊スケルトンは青マーカーに変わる前に攻撃すると、敵対する仕様だったみたいですね」

「うわー、超罠じゃん」

海賊スケルトンは、未だに森の中から湧き出している。数はそう多くないが、それが敵に回ってしまうと、挟撃されることになるのだ。

しかも、一度白スケルトンに襲われたプレイヤーは、森から出てくるスケルトンを攻撃し続けるだろうし、そうなればさらに敵が増える。

プレイヤー間の情報伝達とか協力が、とても大事ってことかね。

「俺たちのいる方面は、白銀さんが止めてくれたんで助かりました」

「いや、俺以外のプレイヤーも止めてたよ?」

ただ、誰かが制止する前に、遠距離攻撃を放ったプレイヤーも多かったんだろう。沈没船のイベントを知らなければ、敵だと思っても仕方ないし。

よかった、俺たちのいる方角はせっかちなプレイヤーがいなくて。

「手助けに行った方がいいよな?」

「この辺にいるプレイヤーを3つに分けるのがいいと思います」

「3つ? 恐竜スケルトンに均等に戦力を割り振るってこと?」

「いえ。左右への援軍と、悪魔への攻撃ですね」

エリンギの作戦はこうだ。

かなり苦戦していると思われる骨ブラキオへは、主力を向かわせる。特に、重い攻撃を防いでくれる盾職は重要だろう。

逆にある程度戦えていそうな骨モサへは、回復や支援を少数で送ればいい。モサは電撃攻撃が主体であるようなので、バフで魔法防御を上げればさらに楽に戦えるはずだ。

また、悪魔から放たれる光線攻撃や、黒スケルトンの湧きを妨害するためにも、アンモライトを持った部隊でビフロンスへの攻撃も行いたいということだった。

「なるほど。俺は悪魔へ行けばいいのかな?」

「はい。お願いします」

エリンギの指示によってテイマーたちが割り振られ、方々へと散っていく。これでもう1体恐竜スケルトンを倒せれば、大分こちらが優勢になるだろう。

俺はエリンギや赤星、オイレンと一緒に、悪魔ビフロンスへの牽制チームだ。

やることはそう変わらず、前衛で黒スケルトンやビフロンスの攻撃を防ぎつつ、遠距離攻撃を加える。

ビフロンスが黒い霧を纏い始めたら黒スケルトンを召喚する前兆なので、アンモライトをぶつけて妨害する。

ただ、近くにいると、ビフロンスから降り注ぐ光線を完全には防げず、俺たちの部隊は段々と数を減らしていった。

「ペペーン!」

「ペルカ! やば! ペルカ送還!」

「ペーン……」

危なかった。ペンギンハイウェイで黒スケルトンを吹き飛ばした直後、運悪くビフロンスの広範囲攻撃に巻き込まれてしまったのだ。

技後の硬直のせいで、回避もできなかったらしい。そこに黒スケルトンが襲い掛かろうとしており、慌てて送還するしかなかった。

「ファウも厳しいか?」

「ヤー……」

「ありがとうなファウ。ここは休んでくれ」

「ヤー!」

バフで活躍してくれたファウも、もう魔力が限界だ。ここはペルカと一緒に送還した方がいいだろう。

代わりに呼び出すのは、ヒムカ、クママである。ここは壁役を補強しておこう。

俺の言葉にビシッと敬礼を返してくれたファウの姿が消え、その場にやる気満々のクママたちが姿を現す。

「クックマー!」

「ヒムムー!」

既に臨戦態勢だ。ペルカが説明していてくれたかな?

「頑張ろうな! ヒムカ! クママ!」

「ヒム!」

「クマ!」

ファウのバフは減ったけど、今はレイド戦の最中だ。他のプレイヤーたちがバフを維持してくれているため、戦力の低下はほとんどなかった。

むしろ、壁役が一気に2枚増えたことで、俺たちのパーティは安定していた。こういう乱戦時には、前衛がしっかりしていることが重要なんだろう。

それから数分後。

レイドボス戦は新たな局面を迎えていた。

「「「うおおおおおぉおぉぉぉ!」」」

凄まじい勝鬨が上がったかと思うと、骨ブラキオ、骨モサがほぼ同時に姿を消したのである。ブラキオへの止めはジークフリードが、モサへの止めはウルスラが刺したらしい。

みんな大活躍だな。俺も頑張ろう。

これで残りは骨スピノだけだ。形勢が一気にプレイヤー側に傾いただろう。

一気に戦線が押し上げられ、岩山の周囲にプレイヤーたちが集まってきた。

ただね、これで勝てるほどレイドボスは甘くはないのだ。むしろ、これからが本番だった。

『ぬおおおおおおお! こうなれば、我が直々に潰してくれるぅぅ!』

戦闘開始からちょうど20分。これがトリガーだったのだろう。

残っていたスピノが黒い霧へと姿を変え、ビフロンスに吸い込まれる。その直後、悪魔はその全身から、今までにないほどの大量の黒い霧を放ち始めていた。

黒い霧はビフロンスの頭部から下に流れ落ちるように、岩山の上に渦巻いている。

アンモライトをぶつけてみたんだけど、効果はなかった。イベント演出中だからだろう。くそ、1つ無駄にした!

『我が真の力を前にしてぇぇ、絶望に震えるがよいわぁぁぁ!』

ビフロンスの叫びとともに、黒霧が吹き飛ぶ。その下からは巨大な漆黒の体が姿を現していた。基本は人骨だが、所々の形状が違う。爪や牙、足は恐竜のものだろう。そもそも、尻尾が生えている。

それは半竜半人の巨大スケルトンであった。

ビフロンスが着地すると岩山が崩れ落ち、消滅する。これで近接プレイヤーたちも攻撃を仕掛けられるだろう。いよいよ本番ということか。

「つ、強そうだな!」

「クックマ!」

「ヒム!」

思わず呟いた俺を励ますように、クママとヒムカが前に出る。うちの子たちは可愛いうえに勇敢で頼もしいだなんて! 最高だね!

「よ、よし。頑張ろう!」

「ムム!」

「フマー!」