軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

405話 池の中の影

島の中心部と思われる場所で見つけた大きな池。一切の謎がないとは考えられない。

そう考え、池の周辺を歩いていると、不思議な物を発見した。

「えーっと、これって浜辺にあったやつと同じものか?」

白い石で作られた、一辺の幅が30センチくらいの四角柱である。苔で覆われているのも、天辺に丸い穴が空いているのも同じだ。

「これ、何なんだろ――おおおぉぉ? え? なんで?」

何気なく触ってみたら、いきなり目の前にウィンドウが立ち上がった。浜辺にあった石柱はウンともスンとも言わなかったのに!

『力を秘めた石を捧げてください』

「い、石?」

『琥珀か、アンモライトを選択できます』

そう言えば、道中の採掘でいくつか宝石をゲットできていたな。どうやら琥珀かアンモライトを所持しているかどうかがトリガーになっていたらしい。

セットできる宝石の一覧をチェックしてみる。

「アンモライトは勿体ないよな」

アンモライトは、アンモナイトという貝に似た生物の化石の中でも、虹色に輝く宝石みたいな化石の事だ。これは1つしか採掘できていないうえ、レア度も6でかなりの貴重品だと思われた。

それに、虹色に輝く手のひらサイズのアンモナイトは、メチャクチャ綺麗でいくら見ても飽きない。イベントが終わったらホームに飾るつもりなのだ。できれば手放したくはなかった。

「となると琥珀なんだけど……」

ウィンドウに表示されている琥珀は3種類だけだった。手持にはもっとたくさんあったと思うが……。

石柱から離れて、インベントリを確認する。すると、手持ちの琥珀は6つであった。テーブルマウンテンの上でかなりの数を採掘できているからね。でも、どうして捧げられるのは3つだけなんだ?

データをチェックしてみると、特殊な琥珀が3つあった。どうやら石柱の起動にはこの特殊な琥珀が必要であるらしい。

名称:琥珀

レア度:4 品質:★4

効果:素材。観賞用。

名称:琥珀・小蟲

レア度:4 品質:★5

効果:素材。観賞用。

名称:琥珀・植物

レア度:4 品質:★6

効果:素材。観賞用。

名称:琥珀・蟲

レア度:4 品質:★7

効果:素材。観賞用。

品質が★5を超えると中に虫などが閉じ込められたタイプの琥珀になるようだ。小蟲にはその名の通り蚊のような蟲が。植物にはシダみたいな葉っぱが。そして、蟲にはミツバチに似た蟲が入っている。琥珀そのものの大きさは手の平サイズだ。

石柱に捧げるのはこの高品質の物でなくてはいけないらしい。

「勿体ないが、仕方ない……」

俺は選べる中で一番品質の低い、★5の琥珀を選択した。

すると、すぐに石柱に変化が訪れる。

強烈な光を放ったかと思うと、汚れや付着物が全て綺麗に取れたのだ。黒ずんで見えた鼠色の柱が、まるで石膏で作ったかのように純白に変化している。

さらに、石柱の上に空いていた穴に、白い玉がはめ込まれていた。赤い琥珀を捧げたのに、何故か純白の真珠みたいな玉である。

「まあ、とりあえず謎の装置が起動したのは確かだが……」

再度触れてみる。すると、再びアナウンスが聞こえた。

『転移を行いますか? 現在選べる転移先は以下の通りです』

なんと、転移陣だった!

転移先は、バザールの自室を選ぶことが可能だ。

「これで、いつでもここに来れるってことか! ケースを買い込んで戻ってこよう!」

ただ、疑問が一つ。船はどうなるんだ?

そう思っていたら、ちゃんと注意事項として記載されていた。どうも、自室に転移した時点で、船は自動で貸船屋に返却されるらしい。

ただし、延滞していた場合はその時点で延滞料金が徴収され、支払いができなかった場合はマイナスになるそうだ。つまり借金てことだろう。

まあ、今の俺はボスを倒したおかげで6万イベトも手に入っている。1時間200イベト程度の延滞料金は問題ないのだ。

「これって、一方通行じゃないよな……?」

こっちから転移はできても、ホームからこの場所に転移はどうなんだ? また海流とブラキオを突破する自信はないぞ。

「転移で戻る前に、やり残したことがないようにしておこう」

この池の探索に、化石の発掘。あとは浜辺にあった石柱の起動だ。

「さて、となれば――」

「ペギャー!」

俺がウィンドウから顔を上げた直後だった。ペルカの情けない悲鳴が周囲に響き渡る。次いで、バシャバシャという水面を叩く音が聞こえた。

「ペ、ペルカ! どうした!」

「ペペーン!」

「フマー!」

「ヤヤー!」

ペルカがまるで溺れているかのように、池から上半身を出して、必死な顔でヒレを伸ばしている。それを掴んで引っ張り上げようとしているのが、アイネとファウだ。

「ペ、ペーン!」

少しして、ペルカは自分のスキルを思い出したらしい。ペンギンハイウェイを使って窮地を脱していた。

「フマ! フマフマ!」

「ヤー! ヤヤー!」

その時に盛大に水を被った、アイネとファウが激オコである。

「ペ、ペペン……」

ペルカは自分の足をフーフーと吹きながら、サスサスしている。どうやら足を何かに噛まれるか掴まれるかしたらしい。

「大丈夫か!」

「ペン……」

「まさかペンギンのお前が溺れかけるとは思わんかったぞ」

「ペペン」

ペルカが「テヘヘ」って感じで自分の頭を軽く叩く。お調子者め!

呆れていると、もう1人のお調子者が、俺のローブを引っ張った。

「キューキュー!」

「あれは……。デカ!」

リックの指さす方を見ると、水面を横切る巨大な影が見えた。多分、2メートルは超えているだろう。

「あれがペルカの足を齧ったのか?」

「ペン!」

ペルカが何やら燃える男の表情だ。リベンジしたいのだろう。

ただ、水の中に入るのは正直怖い。サメってことはないと思うが、古代の魚なんてどんな獰猛な種類がいるか分からんからな。

だが、俺たちには魚型モンスターを安全に倒すためのノウハウがある!

「よし! 奴を釣り上げるぞ! 地面に上げちまえばこっちのもんだ!」

「ペペン!」

「キュー!」