軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

404話 奥地の池

「おはよう」

「クマ!」

「モグモ」

目覚めた俺に挨拶を返してくれたのは、クママとドリモのケモノコンビだ。体を起こしつつ、両者の頭をモフる。うむうむ、最高の目覚めである。

まあ、ゲームの中の睡眠は特殊だから、俺の感覚だと目を閉じてすぐって感じだけどね。少なくとも寝た感はない。

「夜に襲われたりはしなかったみたいだな。やっぱ、このテーブルマウンテンは敵がいないっぽい」

一応、岩の陰で身を隠して眠ったが、周囲にモンスターが寄ってきた形跡もなかった。ログにも、接近されたという記録は残っていないのだ。

「メールもコールも、ピッタリと止んだな」

アメリアやウルスラ、アシハナあたりから、オルトやクママが無事なのかと問い合わせるメールが数件届いているだけだ。

アリッサさんが騒ぎになっていると言っていたからもっとこっちも煩くなるかと思ってたんだけど、そうでもなかった。しつこく聞いてくるような人が1人や2人はいてもおかしくないと思ってたんだが……。

LJOはマナーの良いプレイヤーばかりってことなのかもしれない。

「ヤー」

「キキュ!」

「フマー」

メールを確認し終えたら、周囲で遊んでいたちびっ子たちがやってきた。俺の足下に纏わりついて、何やらアピールしている。

「あれ? ペルカはどうした?」

「ヤー」

「おお? 木の上か!」

ファウが飛んで行った方に目をやると、背の高い木に上り、遠くを見つめているペルカの姿があった。

木の枝の上に立って、遠い目をするペンギン。なんかシュールなんだけど妙に絵になる姿だ。

「ペルカー、何か見えるのか?」

「ペン!」

ペルカがヒレで指し示す方角を見てみるが、木々に邪魔されて特に何も見えない。登ってみるしかないか?

「ペペーン」

ペルカも俺を呼んでいるようだ。

「いっちょ上にいってみるか」

「クマ!」

「モグ!」

まずはクママとドリモの力を借りて、一気に途中まで飛ばしてもらう。

「おりゃ!」

よし! なんとか幹にしがみ付いたぞ! あともうちょっとだ!

「フーマ! フーマ!」

「ヤーヤヤー!」

アイネが下から俺のお尻を押し上げ、ファウが髪を引っ張って少しでも引き上げようとしてくれている。痛みは感じないけど、髪が抜けてはげたりはしないよね?

それでも、時間をかけて何とか木の上に登り切った。

気付いたけど、オルトの土魔術もサクラの樹魔術もないと、こういう時に非常に困るね。まあ、俺の後に上ってきたドリモを見て、自分の工夫が足りないだけだったと反省したが。

「俺もそれで上げてもらえばよかったな」

「モグ?」

ドリモの体に蔦を結び、その先を上の枝に引っ掛け、逆側をクママが握っている。あとはクママのパワーで引っ張れば、勝手に引き上げられるというわけだ。

蔦はサクラがいなくても、フィールドにあるものを使えばよかったらしい。

「まあいいや。それよりもペルカは何を指してたんだ?」

「ペン!」

「おー! あのキラキラ光ってるのは、水か?」

「モグー」

朝日が水面に反射した光が、木々の合間からでも確認できた。

泉か川かは分からないが、水辺があることは確定だろう。モササウルスの守っていた滝の水源かも知れないな。

「みんな! 目指すはこの森の先にある水辺だ!」

「ヤー!」

「フマー!」

出発してから20分。

「おー、これは綺麗だな!」

「フマー」

「ヤー」

俺たちは目指す水辺へと到着していた。

そこそこ大きな池である。

広さは野球のグラウンドよりは狭いかな? ただ、それが比較対象になる程度の面積はある。周辺には草木が生え、池の中央には小さな島がポツンと存在していた。

一見すると、スピノサウルスが通せんぼしていた湿地に似ている。

ただ、池の畔には草の生えていない、土がむき出しの部分もあった。干潟みたいな場所が数メートルに亘って広がっている。

その土の上で蠢く物体を見つけ、俺は思わず歓声を上げていた。

「おいおい! 三葉虫がいるんだけど! うわー、さすが古代の島!」

「ペン?」

「フマ?」

ペルカとアイネが、俺が何故喜んでいるのか分からない様子で、三葉虫をつついている。

「確かに見た目は変だが、やっぱ化石好きにとって三葉虫は特別なんだよ。それが動いているとなったら最高だ!」

カブトガニとも似ているが、あれよりももっと平べったくて、小さい。草履サイズだ。

これ、もしかして捕獲できるのか? 俺はそっと三葉虫を掴むと、飼育ケースに入れてみた。途中でケースが足りなくなったので、古代の島じゃなくても捕まえられるカブトムシや蝶は、逃がしてしまった。

そのおかげで、まだ数個ほどケースに空きがあるのだ。本当は逃がしたくなかったけどね! だってあのカブトムシ、超デカかったんだ! でも、それよりも貴重そうな虫には代えられない。

「うむ。ケースに入れられるな! つまり飼育できるってことだ!」

「クマー」

「モグモ」

クママたちが拍手で祝福してくれる。まあ、顔は全然普通だから、喜ぶ俺にお付き合いしてくれているだけなんだろうが。

「よし、この調子で池の周りを探索するぞ! 出撃、リスライダー!」

「ヤー!」

「キュー!」