軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

397話 ブラキオの最後

迫りくるブラキオに背を見せて、必死に逃げていると、なんとペルカが果敢にもブラキオに向かっていった。

ペンギンハイウェイを発動し、ブラキオの頭部に突進する。いや、あの体格差を考えたら、もう特攻といってもいいだろう。

「ペーン!」

ペルカのそんな捨て身の攻撃でさえ、ほとんどダメージが入ったようには見えない。しかし、ペルカは諦めていなかった。

「ぺ、ペペン……」

「ブモォ?」

突進した後はイベントブラキオの頭部にしがみ付くと、そのままズリズリと移動を始めたのだ。その向かう先は、目だった。そう、ペルカは必死に相手の弱点を狙おうとしていたのだ。

「ペ、ペン……」

「ブモオオオオオォォォ!」

ペルカの狙いに気付いたイベントブラキオが、怒りの咆哮を上げる。さすがに目を直接攻撃されるのは嫌なのだろう。だが、奴には手がない。頭に張り付いた虫を排除するには――。

「ブウウウウモオオオオオオォォォ!」

「ペルカァァ!」

「ペペペーン!」

「頑張れぇ!」

イベントブラキオが頭部をブンブンと振り回し、ペルカを振るい落とそうとし始めた。しかし、ペルカは驚異的な粘りを見せて、しがみ付き続けている。

「ペーン!」

「ブウモオオォ!」

そして、十数秒後。

イベントブラキオの体が急によろけた。そして、そのままゆっくりと地面に横倒しになった。

撃破したわけではない。

「え? 何が……」

思わず鑑定してみる。すると、イベントブラキオは眩暈状態に陥っていた。

「もしかして、頭を振り過ぎて……?」

人間がヘドバンし過ぎて眩暈を起こすのと同じことだろうか?

いや、今はそれどころじゃないな。

「チ、チャンスだ! 総攻撃ぃぃ!」

ペルカの活躍によって転倒したイベントブラキオに、全員で攻撃を仕掛ける。いや、オルト、ルフレ、は攻撃方法がないから攻撃できていなかった。

「今はダメージ効率優先だな! オルト、ルフレを送還! 代わりに、リック、クママを召喚する!」

「クックマー!」

「キキュー!」

「2人とも! ターゲットはそこのデカブツだ! 全力で攻撃を叩き込め!」

「ク、クマー!」

「キッキュー!」

イベントブラキオの威容を前にして、ファウと同じように一瞬ためらう様子を見せたクママとリックだったが、すぐに攻撃を開始した。

ちょっとヤケクソ気味に見えるが、さすが野生コンビ。戦闘への順応が早いね。

そうして攻撃を続けていたんだが、ついにイベントブラキオが起き上がってしまった。まだ残りHPは3%はあるだろう。少しに見えて、俺たちにとっては膨大である。

「ブモオオオオォォ!」

「こ、ここで範囲攻撃か!」

イベントブラキオが後ろ足だけで立ち上がるのが見えた。ティラノ相手に使うのを1回だけ見ている。あれはヤバい。

天高々と振り上げられた両前足は、まるで巨人が振り上げたハンマーのように見える。迫力がヤバいのだ。

「ブウウウウウモォォ!」

そして、イベントブラキオの発する威圧的な咆哮と共に、前足が凄まじい勢いで地面へと叩きつけられた。

直撃はしない。だが、その前足によって引き起こされた恐ろしい衝撃が、荒れ狂う暴風と、凄まじい振動を周囲にまき散らした。しかも、この攻撃はこれで終わりではない。

大地に陥没したイベントブラキオの前足を起点に、次々と大地が隆起し始めたのだ。遠くから見れば、地面から何十本もの巨大石塔が生えていくかのような光景だろう。

ただ、俺にはそれを見て感心する余裕はない。

振動で動きを封じられたところに、石塔が襲いかかってくるのが見えるからだ。

だが、不意に俺の体が後ろに引っ張られた。

「――!」

「サクラッ!」

「――♪」

驚く俺の目の前で、いつもと変わらぬ笑顔のサクラが、岩と岩の間に飲み込まれ、姿を消す。

サクラが俺のローブを後ろに引っ張り、助けてくれたのだ。自らを身代わりにして。

「くそっ! うちの子たちはみんなカッコよすぎだろ!」

ヒムカもサクラも、最高の従魔だ!

「絶対に勝ってやる……!」

そのためには、やはりもう1度イベントブラキオを転倒させるしかないだろう。

「召喚! アイネ!」

「フママー!」

ペルカとアイネの飛行コンビで勝負だ! どちらかがデカブツの頭に取りつければ、また転倒を誘えるかもしれない。

「アイネ! ペルカと一緒に頑張ってくれ!」

「フマー!」

さすがうちの子。あの巨大な恐竜にひるまず、元気よく飛び出していった。一見すると、空飛ぶ幼女が大怪獣に挑む構図だ。絶望しかない。

しかし、アイネとペルカはやってくれた。ブラキオが頭を振る度に木々などに叩きつけられ、死にかけてたにもかかわらず、絶対に掴まる手を離さなかったのだ。

「ブモオオォォ?」

本日三度目の転倒。

そして、奴が起き上がることは二度となかった。

「クママママァァ!」

「キッキュー!」

「モグモー!」

うちの獣タイプ三人衆が頭部に攻撃を集中させ、ついにそのHPを削りきったのである。

「ブウウモォオォォォォ……」

「俺たちの、勝利だぁぁ!」