軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

345話 廃砦での出迎え

ルインたちの後に付いて廃砦に入ると、見知った顔が出迎えてくれた。

「やーっときたか!」

「スケガワ。お前もここのサーバーだったんだな」

エロ鍛冶師のスケガワだ。最初は違和感があった異名も、今では普通に感じるから不思議だ。妙に疲れた顔で、階段の上から俺たちを見下ろしている。

「そうなんだよー。しかも鍛冶師のとりまとめみたいなことを任されちゃってさー。だからルインがくるの、待ってたのさ!」

スケガワが鍛冶師のリーダー。だ、大丈夫なのか? いや、鍛冶系のプレイヤーは女性が少ないと聞くし、平気なのか。

それに、やる時はやる男だからな。きっと何とかなるだろう。多分。

「にしても、スケガワは、ルインが同じサーバーだって知ってたのか?」

「ルイン、サッキュン、白銀さんが一緒に行動してて、目立たない訳がないじゃん。目撃情報はたくさんあったから、そのうち来るだろうと思ってたんだよ」

なるほどね。まあ、うちのモンスたちは最近有名だし、ルイン、サッキュンも有名プレイヤーだ。俺たちが一緒に行動してれば、そりゃあ目立つか。

「ルイン! 早速手伝ってくれ!」

「お、おう。いきなりか?」

「鍛冶師がぜーんぜん足りてないんだよ! 大工系のプレイヤーがいるから補修作業は何とかなると思うんだけど、肝心の建材が不足してるんだ!」

イベント用のインゴットのことだろう。生産職たちがイベント用鳥除けインゴットから釘などを作り、砦の補修に利用しているらしい。

だが、鍛冶師が少ないせいで、釘や鉄板の生産に遅れが出ているという。それは確かにまずい。

「ほら! 早く!」

「わかった! 分かったから引っ張るな!」

ルインとはここでお別れか。だが、スケガワのターゲットはルインだけではなかった。

「白銀さん。ユニーク個体のサラマンダーをテイムしてたよな? いないのか?」

どうやらヒムカも期待されていたらしい。しかし、残念。今は連れていない。

「ヒムカはお留守番だ。それに、従魔の宝珠も道中で1回使っちゃったから、無駄遣いできないんだよ」

木工をお願いするために、サクラとクママを入れ替えてしまったからな。

「そうかー。まあ仕方ない。ルインだけで満足しておくか」

「その言い草はなんじゃ!」

「あははは! ルインさん、またねー」

スケガワに引っ張られていくルインを、サッキュンがヒラヒラと手を振って見送る。

「またなー」

「ヤヤー」

「キキュー」

特にルインに懐いていたファウとリックは、名残惜しそうだ。あの髭で遊べなくなるのが残念なのだろう。

「ええい! 大人しくするから離さんか!」

頑張ってくれ、ルイン。

「ルインは連行されてったけど、サッキュンはどうする?」

「そーっすなー。俺は――」

「サッキュンはこっちだね」

「っと! コクテンさんじゃねーっすかー。おいーっす」

「先に確認しておくけど、サッキュンは砦の防衛に協力してくれるってことでいいんだよね? 白銀さんはあとで砦に来るって言ってたから、問題ないと思うんですけど」

「え? そりゃあ、当然っしょ? ねえ?」

「ああ。ここまで来て、協力しないなんてありえないだろ? そもそも、レイドボスイベントだぞ?」

俺たちが答えると、コクテンがホッとしたような顔で苦笑いを浮かべた。

「意外とスタンドプレーに走るプレイヤーも多くて。最初にここに辿り着いたプレイヤーなんか、自分たちが占拠したんだから他のプレイヤーは入るなとか言い出したんですよ?」

うわー、馬鹿じゃないのそいつら。レイドボス相手なんだから、協力しなきゃ勝てるわけないのに。

「まあ、他のプレイヤーたちから罵声を浴びまくって、泣き顔でどこかに行ってしまいましたが」

「自業自得だ」

「ともかく、そんな困った人たちも少なからずいるのです。白銀さんとサッキュンは過去のイベントでも積極的に協力プレイをしてくれてましたから、少し遅れているだけだろうとは思ってましたけどね」

「いやー、色々あったんですって。ね、白銀さん?」

「へえ? まあ、その話は後で詳しく聞きましょうか。とりあえず、サッキュンは私と一緒に来てもらおうかな? 戦闘職で集まって連携を確認しているので」

「りょうかーい」

「白銀さんはどうします?」

「いや、戦闘職の宴に混ざる勇気はない」

特にサッキュンの戦闘を見た後ではな。

「あー、サッキュンは特別なので、気にしない方がいいですよ? 他の戦闘職は、もう少し大人しいですから?」

「そうなのか? でも、今回は生産職に混ざっておくよ。うちの子たちもそっちの方が活躍できるだろうし」

「わかりました。砦の奥にある大部屋で、生産職が色々と実験をしているはずなので、そっちに合流してみてください」

「わかった」

ボスエリアで入手した鳥食い鬼猩々の胆石と、鳥殺しの香木も気になるからな。

「じゃあ、またあいましょー」

「おう」

「みんなもまたなー」

「ムッムー」

「――」

「フムー」

オルトとサクラとルフレがチャラ敬礼しとる! やべー、悪影響が出てしまった! いや、でもこれはこれで可愛いからありか?

「モグ?」

「ドリモは落ち着いてるなー」

まあ、ドリモがチャラ敬礼しながらチョリーッスってやる姿は想像できんけどね。

「モグ」

「別にチャラ敬礼やれって言ってるわけじゃないから!」

むしろ変わらないでいてね。