軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

344話 廃砦へ

オーガコングのドロップは、石だった。黒くテカテカした、一抱えもある石塊だ。

名称:鳥食い鬼猩々の胆石

レア度:1 品質:★10

効果:置くことで、鳥を遠ざけることができる。ただし、種類によっては積極的に攻撃を仕掛けてくる場合も? イベント終了時に、消滅する。

また鳥だ。しかし、ボスのドロップなわけだし、そこらで採集できるアイテムよりも効果は期待できるだろう。

さらに、ボス出現前にゲットしたアイテムもチェックしておく。

名称:鳥殺しの香木

レア度:1 品質:★10

効果:燃やすことで、鳥にダメージを与える煙を発生させる。イベント終了時に、消滅する。

こっちはこっちで、面白い。鳥除け系のアイテムに似ているが、煙だったら大量の鳥相手にでも効果を発揮するだろう。これでヒッチコックの世界に迷い込んでも大丈夫だ。

「そういえば、さっきのなんすかね?」

「さっきのって?」

老木の根元で軽く休憩していると、サッキュンが口を開いた。相変わらず座禅スタイルだ。

「いや、なんで白銀さんだけに伐採ポイントが見えたのかと思って」

「ふむ。そういえばその問題もあったな。まあ、ユートだからと言えばそれまでなのだが……」

「あれか」

あの時は考える余裕がなかったけど、今なら分かる。多分、植物知識か植物学のおかげなんだろう。

「スキルのおかげかなー」

「あ、植物知識ってやつ?」

「それはおかしい。儂は植物知識は取得済みじゃ」

ルインは植物知識を持っていたらしい。だとすると、やっぱり植物学だろうな。

「その上位スキルだな。クエストで取得できる植物学っていうスキルを持ってるんだ」

取得方法はあとで売るつもりだけど、スキルの名前くらいならいいだろう。

「へー」

「……!」

サッキュンは普通に感心しているだけだが、ルインは驚愕に目を見開いている。

「どうしたんよルインさん?」

「ユートよ……。お主は……。はぁ」

なんか溜息つかれた! しかし、それを見たサッキュンが何故か納得した顔をしている。

「あー、これがサスシロってやつね。もしかして爆弾情報?」

「儂はこれでも生産系に関係ありそうなスキルは全部頭に入っておるが、植物学なんぞ聞いたこともない」

「つまり現状はユニークみたいなもん? ヒュー」

サッキュンが下手な口笛を吹いて、肩を竦める。

「サスシロ?」

「さすが白銀さんてことだよ。にしても、そんなスキルがトリガーになるって、どういうこと? 運営がわざわざ取得した白銀さんのために用意したってこと?」

「いや、さすがにユートのためだけではないだろう。多分、植物学以外にも、~学というスキルは存在している。そのスキルを持っている者だけが、ここで特殊なアイテムを発見できるのだと思うぞ」

俺は植物知識、植物学だけしか持っていないけど、同系統のスキルは他にも存在しているらしい。

ルインが知っているだけでも、鉱物知識、水生知識、動物知識が存在している。つまり、鉱物学、水生学、動物学などが存在している可能性は極めて高かった。

「ここを見てみろ。水があり、岩があり、あっちには動物が潜んでいそうな繁みもある。それらの~学を持っていれば、老木の伐採ポイント以外にも何かが見えるのかもしれん」

「あー、言われてみれば。それは確かにありそうだ」

あれだけ綺麗な泉や、木の根っこに抱え込まれた巨岩に、何のイベントも用意されていないのは不自然だもんな。

「そのスキル、すぐに取得できる類の物ではないのだろう?」

「入手するのに結構手間がかかるから、持ってる人は俺以外にはいないんじゃないかな?」

チェーンクエストを進めなくちゃいけないけど、俺以外に桜を咲かせた人がいるって話は聞かないし。

「イベント終わったら、アリッサさんのところに情報を売りにいこうと思ってたんだ」

「メッチャ気になる……。いや、でも聞きません! その情報に匹敵するような情報持ってないから! 早耳猫の掲示板に上がるのを待ちます!」

別に、言いふらさないって約束してくれるなら教えてもいいんだけどな。だが、サッキュンは耳を塞いで、聞きませんポーズである。まあ、いいか。

「では、儂も今は聞かないでおこう。あとでうちに売ってもらえるということだしな」

確かに、ここで教えたとしても取得できるわけじゃないし、それがいいか。

その後、俺たちは老木周辺に変化がないかどうかを見て回り、何もないことを確認した。

「じゃあ、廃砦に向かうか」

「うむ」

「さんせー」

ボスが出現する予定の岩山の横を抜けて、一気に南下するルートだ。

素材の採取もそこそこに、皆で一気に駆ければ廃砦まではすぐだった。20分もかからずに、廃砦が見えてくる。

「へー、結構大きいな」

「ムー!」

「――!」

オルトたちも、廃砦の想像以上の大きさに驚いているらしい。手を目の上にかざして、大きな建造物を見つめている。

もう少し小さい物を想像していたんだが、小さめの小学校くらいの大きさがあるだろう。高い外壁を備えた3階建ての、本格的な砦であった。

そこに何百というプレイヤーが取り付き、補修や改造を行っている。しかし、それを見たルインが俺の感想とは真逆の言葉をつぶやく。

「小さいな」

「へ? あれでか?」

「このイベントに何人のプレイヤーが参加しておると思っとる。あのサイズでは、到底全員が篭ることなどできん」

「はー、そう言われてみれば」

無理してギューギューに詰めれば3000人くらいは入れるかもしれないが、それ以上は無理だろう。そもそも、満員電車状態ではまともな戦闘になどならない。

「サーバー分けしてるんじゃねーの? イベントの時は特殊サーバー使うことも多いしさー」

「多分それだろうな」

サッキュンとルインの言葉に、以前のイベントのことを思い出した。

「ああ、そういえば、前のイベントもサーバー分けされてたっけ」

「となると、アレがあるかもな」

「アレ?」

「サーバー順位だよ。前もあっただろう」

確かに、サーバー内だけではなく、サーバー対抗の順位も発表されていたな。

「となると、儂らは運がいいぞ」

「そうっすなー」

ルイン、サッキュン、なぜそこで俺を見る?