軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

338話 ルインとサッキュン

オルトに手を引かれて困った顔をしていたルインを確保した俺は、ここまでで手に入れた素材を見せてみることにした。

鳥除け鉱に、イベント用鉄鉱石だ。ルインもしっかりこれらを入手していたようで、使い方を教えてくれた。

「じゃあ、この2つを組み合わせるのか」

「おう。鳥除け鉱からは鳥除けインゴットっつーのができる。で、こっちからはイベント用アイアンインゴットだ」

それぞれでも使えるが、鳥除けインゴットは脆く、イベント用アイアンインゴットは単なる鉄でしかないそうだ。

しかし、両者を混ぜることで鳥除け効果のあるアイアンインゴットになるらしい。

「他にも持ってるなら、インゴットにしてやるぞ」

「お、まじ?」

「うむ。その代わり、儂の草を加工してくれ」

「それは任せてくれ!」

俺が鉱石類を手渡すと、あっという間にインゴットが完成してしまった。さすがにルインは仕事が早い。

ただ、向こうも同じような印象を抱いたらしかった。俺が作った薬を見て、感心したように頷いている。

自分がやらない生産活動の工程は、見ていて不思議なものがあるからな。

「しかし、このインゴットは何に使うんだろうか?」

「武器を作るにしても、基本は鉄だ。そこまで強力なものはできんだろう。となると、建材かのう」

「ああ、砦の修復用か」

「多分な」

それなら理解できる。いくら対鳥効果が付与されていても、今さら鉄製の武具では性能が微妙だろうしな。しかも、イベント終了後に消滅してしまう可能性が高いし。

「ユートはこの後はどう動くつもりだ?」

「うーん、もう少し外周を回って、砦に向かうかね?」

まだ時間はあるし、鳥寄せ石が手に入る場所があるかもしれない。

「鳥寄せ石? そんな物があるのか」

「ああ、でも、手に入れるのは難しいかもよ?」

「なんでだ?」

「深い水の中だから」

「む……」

ルインは確か泳げなかったはずだ。腰までしかない水路に入るのも、かなりビビッていた。となると、あの泉に潜るのは不可能だろう。

リアルでカナヅチなせいだと言っていたから、スキルをゲットしたくらいではどうしようもないだろうしね。

その後、軽く話し合った結果、俺たちは一緒に行動することにした。互いの足りないものを補えるからだ。

「それに、ユートと一緒に居れば、色々と面白いしな」

「面白い?」

ああ、可愛いモンスと一緒に居られる的な意味か。ふっふっふ、分かっているんだぜ? ルインが実は可愛い物好き! 特に小動物好きだと言うことはな!

今も、その視線がリックやクママを追っているのだ。

そうやって歩いていると、ルインが何かを発見したようだ。不意に足を止めた。

「どうした?」

「伐採ポイントだ」

「え? あ、本当だ」

そういえば今日初だった。伐採ポイントはあまり数がないんだろうか?

俺たちは交互に斧を打ち込んでいく。入手できたのは、もうおなじみとなってきた、鳥除けという効果と名前が付いた、木材だ。

「ふむ……。数を集めれば建材にもなりそうだが、伐採ポイントが少なすぎる気もするな」

「だよな。あれだけ歩き回って、初だぞ」

「では、木工で加工するのが正解かもしれん。鳥除け効果のある装飾品などにすれば身に着けておけるだろう」

「おお、それは確かに!」

今度ばかりは召喚で入れ替えてしまうことにした。ルインの時のように、運よく木工持ちの知人に出会える可能性は低いだろうしな。

「クマ?」

「……すまん!」

「クックマ?」

「送還クママ! 召喚サクラ!」

「――!」

あとでクママに謝らんとな。とりあえず、召喚したばかりのサクラに事情を説明して、木材を渡した。サクラがその場で木材を削り、丸いブローチのような物を作り上げる。

名称:鳥除けのブローチ

レア度:1 品質:★7 耐久:228

効果:防御力+7、鳥が嫌がる効果がある。イベント終了後に消滅する。

重量:1

防御力は低いが、やはり鳥除け効果を発動している。

「いいなこれ」

「うむ。どう考えてもこのイベントでは鳥が重要であるようだし、あって損はしないだろう」

「サクラ、ある分は取りあえず加工してくれるか?」

「――!」

それにしても、鳥ね……。どんなボスなんだろうか。サクラの加工終了を待っていると、誰かが近づいてくるのが見えた。俺たち以外にも、砦に向かわずに動いているプレイヤーがいたらしい。

しかも、かなり強いっぽい。そのプレイヤーの目の前に2匹のコモドドラゴンが飛び出したんだが、瞬殺であった。

いやー、マジで凄い。最初の奇襲をバク転のような動きで躱すと、そのまま回し蹴りで1匹を倒す。さらに、木を使った三角跳び――いや、2回木を蹴ったから、四角跳び?を利用した飛び蹴りで、もう1匹を仕留めていた。

アクロバットにもほどがある。しかも、その行動全てが、驚くべき速さなのだ。リアルでは絶対に無理な動きだろう。

ああいうのを見ると、強いプレイヤーに憧れちゃうよな。俺なんて、システムのアシストがあっても、バク転どころか側転さえあやしいのだ。

そうやって見ていると、向こうもこっちに気付いたらしい。明らかに一直線に向かってくる。そして、互いの距離が近づくと、何故か驚きの表情を浮かべた。

どうしたんだ?

「ええ? し、白銀さんじゃん!」

「だれだ?」

「マジ? 本物?」

どうやら俺を知っているらしい。だが、見たことがない顔だ。青紫の髪をした、メチャクチャチャラそうな人間の青年である。目の下の小さい星のペイントはお洒落なのか?

「あー、ごめんごめん。有名人に出会って、ちょっと舞い上がっちゃった」

「有名人て、俺か?」

「そうそう! 同じ使役系プレイヤーとして、リスペクトしてるんすよ? ああ、俺はサモナーのサッキュン。よろしく!」

指二本での簡単な敬礼風の挨拶をしつつ、自己紹介をしてくれた。サモナーなのか。ちょっと興味があるな。

「いや、まて。サモナー?」

「そうだけど?」

「それであの動き? 格闘家とかじゃないのか?」

「ああ、近接スキルも鍛えてるんよ」

まじか……。同じ使役系なのに……。

「あれ? ルインさんじゃん? 一緒だったんだ」

「サッキュンか。ユート、こいつはチャラそうだが、悪い奴じゃない」

「チャラいで評判のサッキュンでーす」

うむ、チャラい。だが、嫌いではない。自由人ぽくて、ちょっと憧れる程だ。

「でも、ちょうど良かった。ルインさんにお願いがあるんですけど?」

「……鉱石類の加工か?」

「正解!」

両手を銃のような形にして、ルインをビシッと指し示すサッキュン。どうやら、彼も製錬スキルを持ち合わせていないようだ。

これは、どうせだからチームに誘ってみるか? マッツンさん以外のサモナーに興味もあるし、同じ使役系でありながら、あれだけの動きを見せたサッキュンが気になってもいる。

もしかしたら俺も、動画で見ているトッププレイヤーたちのように、人間離れした動きをできるようになるかもしれないのだ。