軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

322話 地底湖攻略

野次馬プレイヤーたちを振り切った俺たちは、アミミンさんが発見したという崖の上の通路を目指して歩いていた。

道中、手に入れたアイテムを確認してみる。

「採取物だと……ヒカリ茸がゲットできたか! しかも3つ! これはラッキーだな」

光胡桃と併せると蛍光塗料が作れるっていう話だし、ぜひゲットしたかったアイテムなのだ。極稀にしか取れないって聞いていたが、3つもゲットできるとは思わなかった。これなら栽培と調合、両方に回せるぞ。

「あとはこれな!」

俺は6匹もゲットできたその食材を見て、ニンマリとしてしまう。だって、こいつらを目当てにしてきたようなものだからな。それは地底湖で穫れた淡水蟹である。

実は、仕掛けた罠をルフレがきっちり回収しておいてくれていた。その中には蟹以外にも、海老や貝が入っていたのだ。

「フムム~!」

まあ、自分が食べたかっただけだと思うが、お手柄である。爪の大きなガザミ系の蟹を見ているだけで、涎が止まらん。この地底湖ではルフレが大活躍だったし、美味しい蟹料理を食べさせてやるとしよう。

「で、モンスターのドロップか」

内容はまあまあだ。すでに第6、7エリアの素材はプレイヤー間に出回り始めており、第3、4エリアでも強力な装備を揃えることは可能である。俺の装備している精霊布のローブだって、第5、6エリアの素材が使われているのだ。

それ故、ここでゲットできるドロップの価値もそこまで高くはなかった。

だが、ボスドロップは別である。何せ初撃破だ。現在、俺たちしか所持していないことを考えれば、結構な価値があるだろう。

「殺人ヤマメの牙と鱗。あとは切り身か」

食材になっているけど、名前が殺人ヤマメの切り身である。なんだろう。あまり食欲が湧く名前ではないが……。まあ、ボスドロップだし、きっと美味しいのだろう。

牙と鱗は、ルインとシュエラに見せてみればいいか。

そうしてインベントリを見つつ、モンスたちに先導されながら歩いていると、いつの間にか崖に辿りついていた。

改めて見上げると、かなり高い。

「これを登るのか……」

ボルダリングの経験者でもなければ、なかなか登るのは難しそうな、切り立った崖である。ただ、俺には切り札があった。

ファウは送還してしまったが、アイネがいるのでロープを結んでもらうのは簡単なのだ。オルトが足場も作ってくれるしね。

ただ、モンス達はこんな時にも遊んでいる。

「フママー……」

「キッキュー!」

特にアイネとリックだな。

崖を上手く登れず力尽きかけているアイネに、壁に張り付いたリックがそのまま真下を向いて、手を差し伸べている。

「フマー!」

「キキュー!」

差し出されたちっちゃな手を掴んだリックが、アイネを思い切り引き上げる。

まあ、アイネは普通に浮かべるし、本当に落ちかけているわけじゃないけど。

おなじみのファイト一発ごっこをしているだけだろう。

「ほら、遊んでないで早く登れー」

「フマー」

「キュー」

俺が急かすと、アイネがリックを背の上に乗せて、そのまま浮遊スキルを使ってあっという間に崖を登っていった。

「……さて、俺はもう少し頑張らんとな」

「ムム?」

「いや、オンブしてくれなくても大丈夫だから。背を向けてしゃがまなくていい」

「ム?」

「いや、オンブが嫌だって訳じゃなくて――」

「モグ?」

「オルトが嫌なわけじゃないから!」

いくらオルトとドリモが力持ちだからって、オンブされた状態で崖登りなんて怖すぎる。

「愛されてるね白銀さん」

「くくく……モンスのオンブ……いい」

「ルフレちゃん、頑張ろう!」

「フム!」

結局、オルトに足場を出してもらうことで、それほどもたつくもこともなく崖を登り切ることができていた。

そして、アミミンさんが発見したという狭い穴を潜る。細い通路を進んだ先に明らかな変化があった。

行き止まりだと聞いていたはずの壁が崩れて、出口が出現していたのだ。そこから、月明かりが差し込んでいる。

「行ってみましょう。フィルマ、先頭どうぞ」

「いいの?」

「うん。今回はフィルマが頑張ってくれたから。いいよね?」

「おう。俺も賛成だ」

「くくく……私も」

「じゃあ、ルフレちゃんも一緒に。ね?」

「フム!」

フィルマとルフレが手を繋ぎ、仲良く並んで出口を潜る。

《プレイヤーによって、地底湖が攻略されました。全てのゲートシティの解放を祝い、ゲーム内で48時間後にイベントが発生します。開催場所は、最後に解放された、サウスゲートの町となります》

『地底湖を最初に突破したプレイヤーには称号「地底湖を攻略した者」が与えられます』

そんなワールドアナウンスが流れ、俺たちは顔を見合わせるのだった。

攻略扱いになったのはいい。想像通りだ。称号もいい。これは他でも似た称号の取得者がいるからな。まあ、効果は何もない、名誉称号という奴だ。

だが、他にも余計なものまで付いてきたぞ。

「なんか、始まったね。イベント詳細きてるけど……」

「くくく……大型レイドボス……」

「ど、どうしましょう?」

うーむ。大型レイドボスか。なかなか面倒な。だが、その相談をする前にやらなきゃいけないことがある。

「とりあえずセーフティゾーンまで進んで。転移陣を登録しようぜ」