軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

309話 サラマンダー・チーフ

ドリモの進化から20分後。

「グルアアアアァァ……」

「はい撃破~」

俺たちは門番であるストーンマンをあっさりと倒していた。

奥の手である自爆も使わせない完勝だ。樹魔術のブランチバインドを俺とサクラが交互に使い続け、その間にドリモのワクワク採掘ツアーの開催である。

「お、風鉱石ゲット~。これが一番入手困難だからラッキーだ」

「あー、大理石か~。うちだと使い道がないから、売るしかないんだよな」

なんて、戦闘中にインベントリを確認する余裕がある程だった。

「ルフレのおかげでノーダメージで勝てたよ。ありがとうな」

「フム!」

範囲攻撃で受けたダメージもルフレの回復で瞬時に回復だ。ボス戦の前に傷薬を使う必要さえなかった。俺とサクラ、ルフレがマナポーションを飲めば、それでガルーダに挑めるだろう。

「ドリモはかなり強くなったな。貫通撃、やばくね?」

「モグ」

貫通撃は、強撃程の威力はないものの、ダメージ計算時に相手の防御力にマイナス補正が入るという、硬い相手でも確実にダメージを与えられる良スキルだった。

今回のストーンマンのような相手には最適な技である。しかも、強撃と違って命中率が高いのがいい。追い風と組み合わせれば、大ダメージを狙えるだろう。

なんと、ストーンマンを3発で沈めてしまった。採掘ポイントを残してしまって、ちょっともったいなかったかなーとか思ってしまったほどだ。

「モグ」

「どうしたドリモ。ヒムカに何か――」

「ヒームー!」

「お? もしかしてレベルアップか? しかもヒムカも進化じゃねーか!」

幸先がいいぞ。ガルーダ戦の前に、ドリモに続いてヒムカまで進化するとは! 従魔の心は貰えていないが、構わない。どうせユニーク進化先を選ぶのだ。

でも一応情報は確認するけどね。

「正当進化のサラマンダー・クラフトマン、特殊進化のヒトカゲ、ユニーク進化のサラマンダー・チーフね」

サラマンダー・クラフトマンは、槌術、火魔術が特化に変わり、ガラス細工が上級に変化するようだ。さらにスキルを2つ選べる。鍛冶や錬金、精製など、火に関する生産特化であった。

ヒトカゲは槌術、火魔術、製錬が上級になり、鍛冶・刀剣特化、研ぎ師というスキルを得ることができるらしい。もしかして、刀鍛冶的なことか? か、かっこいい……。俺が戦士職だったら絶対にヒトカゲを選ぶのにな!

最後はユニークであるサラマンダー・チーフだ。やはり凄い。ステータス上昇率が最も高いだけではなく、スキルもバランスがいい。

ガラス細工、製錬が上級になり、火魔術は特化。追加スキルには逆襲者となっている。もう1つはこちらで選択可能だな。

「やっぱユニークのチーフだろう」

「ヒム!」

名前:ヒムカ 種族:サラマンダー・チーフ 基礎Lv25

契約者:ユート

HP:73/73 MP:69/69

腕力23 体力19 敏捷11

器用20 知力15 精神14

スキル:ガラス細工・上級、金属細工、製錬・上級、槌術、陶磁器作製、火魔術・特化、炎熱耐性、食器作製、火精陣(20)、逆襲者、鍛冶

装備:火精霊の槌、火精霊の服、火精霊の大仕事袋

スキルには鍛冶を追加しておいた。うちだとどこまで役に立つかは分からないけど、持っておいて損はないと思うのだ。逆襲者のスキルは、思ったよりも攻撃的だった。

発動中は挑発効果があり、相手のヘイトを集めやすい。そして、攻撃してきた相手に対して、拳や魔力の衣でカウンターを行うという能力であった。

生産特化の精霊たちには珍しく、ダメージを与えることが可能な能力だった。

「まあ、それよりも何よりも、外見の変わりようが凄いんだが」

「ヒム!」

「デカくなったな」

まず重要なことは、身長が伸びて150センチ近くになったことだろう。次の進化で完全に抜かれるかもしれん。

赤い髪の毛のツンツン度合いがさらにアップだ。黒いバンダナのような物を額に巻き、可愛い少年から、ちょっとヤンチャな少年にチェンジしたらしい。

衣服の形もちょっと変わった。体にぴったりフィットした黒いインナーの上に、丈の短い小さめの赤いジャケット。下もカーゴパンツのようなダボッとしたズボンに変わっている。ズボンは基本が黒地なのだが、赤で炎のトライバル模様がデザインされていた。

仕事袋のサイズは見た目は変わっていないが、名前が大仕事袋となっているからには、内容量が増えたのだろう。

「ヒムカ。進化していきなりボス戦だけど、大丈夫か?」

「ヒム!」

進化して見た目はヤンチャになっても、性格は変わっていないな。二カッと笑い、両腕をブンブン振り回してやる気をアピールしてくる。

「じゃあ、ファウとアイネには蜘蛛糸玉を渡しておくな」

「ヤー!」

「フマ!」

飛行部隊が蜘蛛糸玉を抱えながら、敬礼を返そうとしてくれる。キリッとしたいい顔だ。でも2人とも小さいから、蜘蛛糸玉をボロボロと落としているな。ほら、敬礼はいいから、ちゃんと持ちなさい。

「サクラ、ヒムカはガルーダが落ちてくるまでは防御に専念。ただ、ヒムカは逆襲者を使ってもいい。サクラは相手が落ちて来たら、まずはブランチバインドだ」

「――!」

「ヒム!」

「ドリモは俺のそばで待機。そして、ガルーダが落ちて来たら竜血覚醒から、とにかく削り続けろ」

「モグ!」

ドリモもオルトと一緒で風属性に弱い。竜血覚醒を使い終わったら、即座にクママと入れ替える作戦だった。風耐性はあるけど、弱点が完全に克服されるわけではないからね。大弱点が小弱点になる感じ? 普段はそれでいいんだが、風属性攻撃オンリーのボス戦ではやはりきついのだ。

赤い毛になっても、ニヒルさは変わらない。フッと微笑んで、サムズアップしてくれた。

「ルフレは前に出るなよ? 回復役のお前がいなくなったら、敗北と思え?」

「フムム!」

おお、いつもは落ち着きのないルフレが真剣な表情だ! 昨日の敗北で、ガルーダが強敵であると認識したのだろう。まあ、明日になれば忘れているだろうが。

「じゃあ、いくぞ! 鳥野郎を今日こそぶっ倒す!」

「フムー!」