軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

288話 風霊の試練

足を踏み入れた風霊の試練は、他の3つの精霊の試練に負けず劣らず奇妙だった。いや、他の3つの試練を超えているかもしれない。

「なんだこれ。怖っ!」

「こりゃあ、厄介そうだねぇ」

「くくく……面白いわ」

「浮いてるんですかね?」

「ちょ、アメリア押さないでよ!」

まず目に入るのは、派手な色合いの床だろう。緑と白のマーブル模様の、岩石質の地面だ。エメラルドグリーンやビリジアン、ライトグリーンなど何種類もの緑が折り重なり、これがまた非常に美しい。ちょっと踏むのをためらうレベルだった。

そして、四方には壁がない。壁どころか天井もない。

床の縁に立ってその下を覗いてみると、深い谷が口を広げていた。途中からは霧が立ち込めており、谷底を見ることはできない。

「落ちたら即死っぽいな」

「うわー、深いよ」

クルミが四つん這い状態で身を乗り出して下を見ている。なんか、アフロ頭がデカくてバランスが悪そうだから、ちょっと心配になるな。今にも前に落ちてしまいそうなのだ。

ただ、今いる場所が宙に浮いているという訳ではないようだった。部屋の左右には、細い柱が立っているのだ。谷底から天まで伸びる、細く高い2本の柱がこの岩塊を支えているようだった。

白い霧は谷底だけではなく、今俺たちが立っている岩塊の周辺や空も覆っている。どうやら霧が壁や天井の代わりをしているようだ。

部屋からは先に向かう通路が伸びているが、霧のせいで先を見通すことはできない。

「つまりこの場所は他の試練でいう、最初の部屋に当たるってことか」

「ということは、宝箱があるわね」

「探しましょう!」

というか、この部屋で宝箱が隠してあるとしたら一ヶ所しかないと思うんだよな。だが、俺の予測した岩塊の真下には何もないようだった。

柱にロープを結んで、アメリアが決死の覚悟で確認してくれたので間違いないと思う。

その後、皆で探した結果、宝箱があったのは右の柱の上であった。左の柱は霧の中まで伸びており先を確認することはできないようだが、右の柱は霧の真下で途切れているらしい。

身軽で登攀を持っているクルミが一緒にいてくれて助かったぜ。

また、クルミが霧に触れると押し戻され、それ以上先には進めないと教えてくれた。やはり壁扱いであるらしい。

「えーっとね、防風のネックレスだってさ」

名称:防風のネックレス

レア度:3 品質:★9 耐久:200

効果:防御力+4、強風影響低減・小

重量:1

フィールドなどの風の影響が弱くなるアクセサリーだった。

「ということは、この先で風によるトラップなんかがあるってことね」

「ああ、なるほど」

「しかも隠し宝箱の開放ボーナスで宝石までゲットじゃん!」

「くくく、ラッキー」

そう言えば、そんなのもあったな。俺が確認してみると、黒翡翠という宝石が中に入っていた。よしよし、従魔の宝珠を作る時に使わせてもらおう。

「さて、じゃあ一旦戻ろうか」

「そだねー」

この臨時パーティで進むのはここまでだ。あとはそれぞれが自分のパーティで戻ってくることになる。

テイマーが3人も居なければそのまま進んじゃってもよかったのかもしれないけどね。

「じゃあ、約束の件、頼んだわよ?」

「分かってるよ。でも、アプデが済んだら頭を撫でるくらいしかできなくなるんだろ? しかもそれさえ、長時間だとモンスに嫌われるらしいし」

「それでも、全く近寄れなくなるよりはましだから!」

「白銀さんの果樹園の光景は、見ているだけで癒されるし……」

「まあ、俺は別に構わないけどさ。じゃあ、アプデが入ったら一度連絡するよ」

「うん。お願いします!」

「じゃあ、またね!」

「くくく……いずれまた」

アメリアたちが最後に頭を下げて去っていく。

「俺も畑に戻ろう」

皆と分かれて始まりの町に戻った俺は、早速購入して来たばかりの風車塔と風耕柵を設置してしまうことにした。

「風車塔は出来れば納屋の近くがいいな」

「ムー、ムム!」

「そうだな、ここがいいか」

オルトと相談しながら、設置場所を決めていく。それにしても、畑の真ん中に出現した風車塔は中々壮観だった。

見た目はレンガと木でできた、少し細めの小型風車って感じだ。背の高さは10メートルくらいかな? 大して強い風も吹いてないのに一定の速度で回っているのは、ゲームならではなんだろう。

風車塔の中に入ってみると、そこには大きな石臼が置いてあった。1メートルくらいはありそうだ。その石臼が風車の車軸と連動して自動で回転している。

近寄ってみると、ウィンドウが立ちあがった。石臼に何を投入するか聞いて来る。しかしこの施設、意外と使いづらいかもしれない。手持ちのアイテムがほとんど選べるのだ。

多分、粉にできないアイテムを石臼に投入した場合、時間をかけてゴミが出来上がるだけなのだろう。

「……まずは絶対に確実なものを試しに挽いてみよう」

俺は食用草を粉にしてみることにした。自分で作る場合はかなり品質が下がってしまうが、さてこの石臼だとどうだろうな。錬金の乾燥を使用した食用草を選択して投入する。

「おお、ちゃんと臼の中に草が入って粉砕されていくな」

よしよし、臼はこれでいい。

「で、こっちの風耕柵なんだが……。どうだオルト?」

「ムー……」

やはりこの風耕柵で作る事の出来る作物は今は存在していないらしい。となると風霊門に期待である。

「まあ、探索は明日だな」