軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

282話 かくれんぼしましょ

「この部屋にあるアイテムを1つ手にお取り下さい?」

へえ。なるほど。マヨヒガは富を授けてくれるんだったな。

とりあえず机の上のアイテムを鑑定してみる。まず一番右の緑の布だ。名前は『河童の力帯』となっていた。

「結構高性能だな」

アクセサリー扱いで、腕力+10と水魔術の威力上昇効果があるらしい。防御力はないが、攻撃力は飛躍的に上昇するだろう。

「で、こっちが『幽鬼の包帯』?」

これもアクセサリーみたいだ。知力+10に、隠密効果が上昇か。

その隣にあるのが『サトリの毛飾り』。見た目は茶色のファーキーホルダーにしか見えないが、精神+10、詠唱速度上昇効果があった。

最後が『玉繭の糸玉』か。絹糸を丸めて作った玉に紐を付けた、キーホルダー風のアクセサリーだな。体力+10に加えて、HPの回復速度が上昇する効果があった。

「うーん、これは迷うな」

河童の力帯は微妙だが、他のアイテムは全部欲しい。

「いや、腕力が上昇すれば重い装備も付けられるようになるし、これもありっちゃありか? 水魔術の威力上昇は良い効果だし……」

俺が思案している間、クママ達は思い思いに部屋を見て回っている。壁には絵が描かれた掛け軸なんかもかかっているし、面白いのだろう。

「そう言えば、さっきのメッセージ……。やっぱこの部屋にあるアイテムを1つ差し上げますってなってるな」

つまり、壁にかかってる絵などもありなのか? まあ、今のところ金には困ってないから最有力はこっちのアクセサリー類だけど、絵はどんな感じなんだ? それとも、持ち出せるのはアクセサリーだけ?

そう思いながら絵を鑑定してみたら、やはりこれも持ち出せるアイテムであるようだった。日本画的な、おどろおどろしい河童の絵や、幽霊の絵などがある。

「単なる絵じゃないのか?」

河童の絵の名前は『河童の封じられし絵』となっている。しかもアイテムの説明には気になる一文が書かれていた。

「この絵をある場所に持って行くと……?」

その先は不明だが、単なる絵ではないってことだろう。名前から考えても、特定の場所に持って行けば河童が現れるに違いない。陰陽師じゃなきゃ意味がなさそうだよな。

掛け軸には河童、幽鬼、サトリ、玉繭の4種類があった。

「なかなか不気味な絵だなー……。この幽鬼の絵、リアルだったら絶対にたたりとか心配になるレベルだろ」

そうやってアイテムを物色していると、ふと気になった。

「うーん……でも、これって本当に頂いても構わないのか?」

だってマヨヒガだぞ? 欲深い者には罰を与えるっていう……。なんか、落とし穴がありそうじゃないか? そう考えたら、ちょっと疑心暗鬼になってきた。

「……とりあえず座敷童を探そう」

どうせどれを貰うかまだ決まってないんだし、座敷童と遊びながら考えればいいや。

「この部屋にはいそうもないし、戻るぞ!」

「クマ!」

「モグ!」

クママたちを連れて迷路に戻る。

「やっぱここの迷路のどこかにいるんだろうな」

しかし、未だに座敷童は発見できていない。

「キキュー?」

「ヤー?」

リックとファウのチビーズは狭い場所を重点的に探しているらしい。あんな場所に隠れるかっていうような場所に頭を突っ込んで、ほこりまみれになりながら座敷童を探している。

「ヒム?」

ヒムカは隠し通路などがないか、コンコンと色々な場所を叩いているが、成果がないらしい。耳を付けて音の反響を聞いては、首を傾げている。

「クックマ~?」

「モグモ~?」

クママとドリモは普通だ。歩きながら、物陰などを覗き込んでいる。ただ、その探し方で見つかるかねー?

「俺はどうしようかな」

探索はうちの子たちに任せて、俺はその場で推理してみた。これだけ見つからないということは、単に見つかり辛い場所というだけではないだろう。

きっと意表を突くような、思いつかないような場所に違いない。

「うーん、つまり普通は探さない場所。こういう時はあれだ、灯台下暗し的な?」

しかし、俺の足下には隠れられる場所はない。いや、待てよ。

「足元じゃなくて、横はどうだ!」

俺は、開けっ放しになっている扉に手をかけた。座敷童が開けたであろうこの扉。考えてみたら調べていなかったのだ。

「ここだー!」

「あい?」

ええ? まじでいたよ! 扉の影にある小さいスペースで正座していた座敷童とバッチリ目が合った!

「見つけたー!」

「あいー!」

見付けられた座敷童は、なぜか嬉しそうにピョコンと立ち上がる。いやー、本当にここにいるとは思わなかった。

「キキュー!」

「ヤー!」

リックとファウは俺の肩の上に乗り、両側で拍手している。褒めてくれているのかね? クママたちは悔しげだな。俺に先を越されたからだろう。

すると、アナウンスが聞こえてきた。

『アイテムの持ち出し許可を得ました。このマヨヒガからアイテムを1つだけ持ち出すことができます』

あれ? もしかしてまだアイテムを持ち出しちゃいけなかったのか? 危ねー。罠じゃねーか。もし座敷童を発見せずにここから出ていたらどうなってたんだろうな? いやー、さすがマヨヒガ。

まあ、これでイベントも終了――。

「あい!」

「うん? なんだ?」

『座敷童がまだ遊びたそうにしています。どうしますか?』

「え?」

なんと、イベントは終了していなかったらしい。俺の前にウィンドウが出現する。そこには、『アイテムを受け取って屋敷を退出する』、『アイテムを受け取らずに屋敷を退出する』、『座敷童と遊ぶ』という3択が書かれていた。

どうやら帰ることもできるらしいが……。

「あいー……」

懇願するようにこちらを見ている座敷童。あの目を見て、断ることなどできようか? 見た目は人間の少女みたいだし、これを断るにはなかなかの精神力が必要だろう。

「まあ、もう少し時間あるしな」

『では、隠れんぼを再開します』

俺は座敷童と遊ぶを選択するのだった。