軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

212話 落札品を試してみよう

オークションが終わり。俺は畑に戻って来た。皆が可愛らしく出迎えてくれる。

「ムムー!」

「ただいまみんな」

畑に異常はないな。早速、手に入れたばかりの苗木を渡しちゃおうか? 俺はインベントリから、オークションで購入した神聖樹の苗木を取り出してみた。

名称:神聖樹の苗木(衰弱)

レア度:4 品質:★1

効果:神聖樹の苗木。悪魔の影響で衰弱している。

あっれー? 衰弱? そんなことオークションで言ってなかったと思うけど。悪魔の影響って……。そう言えば他のサーバーだと、神聖樹が邪悪樹っていうボスに変異して大変だったって聞いたな。この神聖樹、邪悪樹っていうのに変わったりしないよな?

「オルト、サクラ、オレア、この苗木は育てられるか?」

「ムム!」

「――♪」

「トリ!」

苗木を囲んだ3人が、コクコクと頷いている。問題ないらしい。

「悪魔のせいで衰弱してるらしいんだよ。変な育て方をすると邪悪樹っていうモンスターに変身しちゃうらしいんだけど、大丈夫か?」

「ム?」

「――?」

「トリリ?」

どうやらオルト達にも悪魔に関することはわかっていないようだった。これ、育てて平気か? でも、買っちゃったわけだし……。

「まあ、邪悪樹っていうのになったら、その時に考えよう」

今の俺にはフレンドもたくさんいるし、やばくなったらコクテンとかに助けを求めよう。うん、それがいい。

「精霊使いのピアスはあとでルインのところに持って行こう。空きスロットが1つあるって言う話だし」

ただ、行く前にサクラの心で、宝珠を作っておかないとな。まあ、材料は揃ってるし、そっちは問題ないだろう。

残りは茶釜と塗料か。先に茶釜から確認しちゃうか。俺は納屋のテーブルの上に、購入して来た茶釜を取り出してみる。

「うんうん、なかなかに趣のある姿だな」

「ヤー?」

「キュー?」

「おいおい、これの良さが分からないのかね君たち」

「ヤヤー?」

「キキュー?」

小首を傾げていたファウとリックが、さらに首をひねってしまう。年少組には侘び寂びなど分からないらしい。

俺はテーブルの上の茶釜を手に取ってみる。サイズも小さめで納屋にも置きやすい。色は元々黒かったんだろう。だが、今は剥げと錆びで、見る影もない。まあ、そこがいいんだけどね。

サイズは一般的な土鍋より少し小さいくらいかな。物語でタヌキが化けていたりするような、いわゆる茶釜と言われて想像する物より大分小さいだろう。

「うん? タヌキ?」

そうかタヌキか。全然気付かなかったけど、茶釜と言えばタヌキだよな。分福茶釜とかあるし。妖怪と言えばポピュラーな種類だろう。この茶釜、もしかして――。

「ふぅ、そう都合よくはないか」

妖怪察知、妖怪探索、どちらにも反応はなかった。当たり前だけどな。

まあいい。目的はインテリアな訳だし、テーブルの上に置いておこう。これで囲炉裏でもあったら完璧なのにね。

「最後はこいつだ」

ちょっと奮発し過ぎた気もする最高落札額アイテム、ペイントツールである。インテリアやホームオブジェクトなどを塗装できるらしいが、どうやって使えばいいんだろう。とりあえずテーブルの上に広げてみる。

大刷毛、小刷毛、サイズが違う筆が4本。さらに塗料「汚し・木材」「汚し・金属」「時間経過」の3種類だ。とりあえず1番大きな刷毛を手に取ってみる。

するとアナウンスが聞こえた。どうやら現状でも利用できるが、スキルがないので効果、成功度が半減してしまうらしい。塗料を無駄にしそうだし、それは嫌だな。お高かったのだから、完璧な状態で使用せねば。

「スキルか……。どのスキルがいいんだろう」

リストを確認してみる。関係ありそうなのは、描画かな? ペインターの初期スキルだ。他に目ぼしいスキルもないし、4ポイント消費して描画を取得してみる。

「正解だったみたいだな」

きっちりとペイントツールが使用できた。マニュアルとオートがあるみたいだ。マニュアルは全て自力。つまりリアルのお絵描きとなんら変わらない。最初はこれはないだろう。絵が壊滅的に下手な訳じゃないけど、超上手いわけじゃない。マニュアルで遊ぶのは慣れてきてからにしよう。

オートはかなり良心的だ。PCのペイントツールのような物が立ち上がり、何度も試し書きができる。しかも、実際に目の前の風景をツールに撮り込んでそこに色を付けられるのだ。

テクスチャなども様々な種類が選べるので、かなり思い通りに塗ることができそうだった。オートだと効果低下、塗料消費上昇などの色々なデメリットもあるらしいが、俺はオート一択だな。

「試しに椅子を塗ってみるか」

サクラが雑木から作ってくれた椅子をペイントしてみる。サクラの木工の腕も大分あがって来たようで、すでに出来上がりはプロ級だ。少なくともリアルの家具店に置いてあっても違和感がないだろう。

だが、見た目は新品同然で、ボロい納屋にはあまり似合ってはいないのだ。そこに、ペイントツールで色を付けてみる。

「えーっと、選べるのはレトロか……」

これを選択して、椅子に試し塗りをしてみる。すると、外見が一気に古び、レトロなアンティーク家具調に変わったのだった。性能などは全く変わっていないが、重要なのは見た目である。

「これは凄いな!」

同じレトロでも様々な種類がある。他のレトロ塗装も試してみると、剥げが強めだったり、黒ずんだり、苔が生えたり、色々なタイプのレトロチェアが楽しめる。

「とりあえずこれにしてみるか」

俺は一番最初の、数十年ほど丁寧に使い込んだ感じの、もっともオーソドックスなタイプの塗装を選択しておいた。

塗料が僅かに消費され、一瞬で色が塗られる。

「おおー! 確かにレトロ家具だ! すげー! ほ、他のも試してみよう」

俺はそこから他の椅子などにも色々な塗装を試しまくってみた。20程の椅子とテーブルをレトロ家具調に変えたところで、塗料は残り半分くらいだ。

「調子に乗って椅子ばかり塗っちゃったな。塗料も大分使ったし……。他に何か試せそうなのないか?」