軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

195話 ピンクのクリオネ?

ピッポーン。

ドリモの能力確認していると、お馴染みのアナウンスが鳴り響いた。

『特殊クエストを達成しました。次の特殊クエストが発生します』

「え?」

俺が首を傾げた直後だった。プレイヤーたちからざわめきが上がる。

「あれなに?」

「白銀さん! うしろうしろ!」

「おいおい、何が起きてんだよ!」

指をさす他のプレイヤーにつられて背後に視線を向けると、桜の樹の前に何やら変なモノが浮いていた。なんと言えば良いか……。

「ピンク色のクリオネ?」

それは一抱えもある、半透明の謎の存在だった。空中にフワフワと浮いている。ただ、顔らしきものや目があることから、単なるオブジェクトではないことは確かだった。

『特殊クエスト攻略時の参加者が50名を超えました。この後に発生する特殊クエスト2において、参加者全員に、全ステータス上昇、クリティカル率上昇、自動HP回復、自動MP回復、ドロップ率上昇、の効果が付与されます』

「特殊クエスト2?」

直後、俺のステータスウィンドウが立ち上がり、目の前に自動的にクエストが表示される。

特殊クエスト

内容:いつからか宴会に潜りこんでいた宴会好きの妖怪が、酔っぱらって暴れ始めた。正気に戻すために、妖怪を倒して大人しくさせろ。

報酬:討伐時間によって変化

期限:3時間

参加者:宴会参加中の全プレイヤー。※このクエストはレイドクエストとなります。

そんな情報とともに、イベントを開始するか否かの選択肢が表示されていた。

「これからレイドボスってこと? え? イベントだったの?」

「やべー! ただの花見だと思ってたから装備が万全じゃない!」

「回復アイテムもよ!」

他のプレイヤーたちのウィンドウにも同様のクエストが浮かび上がっている。かなり驚いて、慌てているな。

どうもこのお花見がイベントだと分かっていなかったらしい。そう言えば、花見としか言わなかったかもしれん。これは失敗したか?

「こんだけ人数が居れば楽勝なんじゃないか?」

「俺、レイド戦初めて!」

「血が滾るぜ!」

ただ、戦意はかなり旺盛だった。皆でレイドイベントということだけでもテンションが上がるらしい。しかも、大半はお酒が入っていて気分がいいし、そいつらに釣られるようにお酒が飲めない若年組も意気軒昂であるようだ。

ただ、かなりの人数が酩酊状態だけどね。ステータス上昇などのボーナスがあるけど、それでどこまで戦えるか……。しかもボスの強さも分からないし。

パッと見はピンクのクリオネだが、ボスというからにはそれなりに手ごわいだろう。

「あ、畑から出れない!」

「ま、まじか!」

どうやら何人かは装備を整えたり、モンスを戦闘用に入れ替えるためにホームへ戻ろうとしたらしい。だが、イベント中は畑から出られないようになっているようだ。俺以外のプレイヤーたちには参加/不参加を決めるボタンがあるようなので、用事がある人は不参加にすれば出られるようになるんだろう。

「というか、俺も誰を連れていくか決めないとな」

ドリモが仲間になったことで、パーティ枠が足りなくなってしまった。メンバーをどうするか決めねばならないのだ。

「ボス戦だからな。クママ、サクラ、ファウは絶対だ。あとはオルト、リックに……」

問題はルフレだな。戦闘力のありそうなドリモを連れて行くか、レベルが高くて壁役として働けるルフレを連れて行くか……。そこにアリッサさんが近寄って来る。

「ユート君。面白い事になったわね」

「いやあ、巻き込んじゃったみたいで」

「いいのいいの。お祭りみたいなものだし。むしろみんな楽しんでるわよ」

「だといいんですけど」

「このイベントの情報、あとで売ってよね」

「それは構いませんが、育樹が必要ですよ?」

「そうなの? だとするとボスは結構侮れないかもね。想定レベルがそのレベル帯の可能性があるし」

なるほど。それは確かかも知れない。普通に考えたら、育樹を入手できるレベルに達しているプレイヤーが発生させるクエストってことだしな。

「だったら連れて行くのはルフレにしておくか」

ドリモは博打に過ぎる気がする。

「あら、ざんねん。新しいモンスの戦いぶりがみられると思ったのに」

「いやだってボス戦ですよ?」

「だからじゃない? だって、ユート君のウンディーネちゃん、戦闘力はないわけだし、連れて行ってもそこまで役には立たないでしょう? だったら、攻撃力を持っているモグラちゃんの方がまだ戦えると思うけど?」

なるほどな。もし本当にボスが俺の手に負えないレベルで強かったら、確かにルフレを連れて行ってもあまり戦力にはならないだろう。だったら、一か八かドリモを連れて行ってもいいかもしれない。

「竜血覚醒は初めて見たけど……。ぜひ生で見たいわね」

「じゃあ、オルト、サクラ、リック、クママ、ファウ、ドリモにしておくか」

「ムム!」

いつの間にか俺の真後ろに集まっていたオルト達が一列に並んで、ビシーッと敬礼をする。今日仲間になったばかりのドリモも一緒だ。いつの間に教わったんだ。すると、何故か周囲から拍手があがった。

「あれが白銀さんのモンスの敬礼か!」

「初めて実物を見たぞ!」

「今後はうちの子たちにもやらせよう」

なんでだ? ああ、そう言えば公式動画で敬礼の映像が使われてたな。それの実物を見れたら、確かに少しテンション上がるかもしれない。

「ルフレとオレアは留守番を頼む」

「トリ!」

「フム!」

そんな間にも、早耳猫のメンバーとコクテン、ジークフリードを中心にしてレイドに挑む準備が早急に進められていく。具体的には、この場に残っている料理や飲み物の中で、食べておいた方が良い料理を皆に配布したり、回復アイテムを所持しているプレイヤーから集めて分配したりしているようだ。

俺も回復アイテムを全て渡しておいた。なにせ、俺が主催者だからな。ここは出来るだけのことはしないといけないだろう。

10分ほどで、全員の準備が整う。どうやら集まっていたプレイヤーは全員がボス戦に参加してくれるらしい。俺のステータスウィンドウには、参加者の名前がズラーッと並んでいる。これは心強い。

いや、一人だけ不参加だ。何か用事かな? そう思っていたら、畑の外で必死に見えない壁を叩いている人物がいる。どうやらイベント発生時に畑から外に出ていると、強制的に不参加の扱いになってしまうらしい。

「……あいつのことは放置でいいです」

早耳猫のメンバーであるようだ。アリッサさんがそう言うなら、気にしないでいいか。

「じゃあ、行きますよ?」

「お願い」

「では、クエスト開始!」

俺はアリッサさんたちが頷いたのを確認すると、イベントを開始するを選択した。