軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

177話 土霊のガーディアン

進化したオルトは圧巻の一言だった。

まず守護者によってその守りが飛躍的に上昇している。挑発効果もあるので敵の攻撃が集中しやすいんだが、防御力上昇がかなり強力らしい。クワでの受けも上達しており目に見えて被ダメージが減っている。しかも吹き飛ばし耐性があるので、引かない。攻撃は出来ずとも、盾として大活躍だった。

さらに、採掘・上級が凄い。採掘数、回数が増え、品質も上昇しているのだ。数と品質の増加を考えたら、入手する鉱物の価値は倍近くなっただろう。これは農耕・上級も楽しみだね。

アミミンさんたちとさらに進むと、今までとはまったく違う、大きな部屋に出た。体育館くらいは有りそうだ。天井や壁面からは赤や青といった色とりどりの水晶の結晶が突き出し、部屋の奥には一際巨大な水晶が鎮座している。どう見ても普通の部屋ではないだろう。

「ここは何ですかね?」

「うーん。綺麗だね~」

「ムム!」

「まて、お前ら。迂闊に進むな――」

ガコン!

すいませんマッツンさん。もう遅かったようです。

オルトが部屋の中央までテテテと駆けて行った直後だった。部屋の入り口が突然塞がれてしまったのだ。確実に何か起こるよね?

そう考えて身構えていると、壁面に埋め込まれていた巨大な水晶が細かく震え出した。そして、次第にその振動は大きくなっていき、遂には水晶が赤く輝き出す。

そのまま光が水晶の中で蠢き、内部に大きな魔法陣を描き出していく。数秒後、魔法陣が完成すると、一瞬だけ大きく閃光が走った。

「うわっ!」

思わず目を瞑ってしまう。すると、俺の耳に獣の唸り声の様な重低音が聞こえて来た。いや、本物の獣の声か?

「ガロロロロォォ!」

光が収まった後、その場には一匹の巨大な獣が出現していた。

背中や腕足の一部が、カニやエビに似た硬そうな灰色の甲殻で覆われた、四足歩行のアリクイに似た獣だ。

名前は土霊のガーディアン。その頭上には赤マーカーが出ているな。

「ボスだ! 仕方ない、やるぞお前ら!」

「みんな、行くよ!」

「オルト、ここでも頼むぞ!」

「ムム!」

オルトが不敵な笑みでクワを構える。頼もしいぜ。そして、ボスとの戦いが始まる。

「クママ、リック、サクラは個々の判断で攻撃を仕掛けろ!」

オルトのおかげで、クママたちもより安心して攻撃を仕掛けることができる。

「クックマ!」

「キキュ!」

「――!」

まずは魔術ではなく直接攻撃だ。だが、さすがに硬かった。ダメージが全く通らない訳ではないが、アミミンさんたちのパーティに比べたら微々たるものだ。

「俺たちじゃダメージは期待できないか……。みんな援護を主体に行くぞ! ファウ、ルフレはアミミンさんたちにも援護を!」

「ヤー!」

「フム!」

ボスは硬い上に力も強く、しかも長い舌を使った変則的な中距離攻撃も出来た。さらに土魔術を使う上、動きも遅くはない。

オルトがいてくれなかったら俺たちはとっくに死に戻り、アミミンさんたちの勝利を町から祈ることになっていたはずだ。

それでも回復しながらしぶとく生き残り、アミミンさんとマッツンさんの援護を続けた。サクラの樹魔術上級はかなり役立ったな。そこそこダメージを与えつつ、動きを阻害する効果でボスからの攻撃を度々防いでくれたのだ。

まあ、完全にノーダメージで行くはずもなく、回復アイテムや魔術を使いまくってしまったが、戦いは順調と言えるだろう。

「このままいけるか?」

なんて甘いことを考えたが、いける訳がなかった。ボスのHPが残り3割ほどに減った直後、その行動パターンが大きく変化したのだ。

アルマジロの様に身を縮めると、その場から動かなくなった。そして、こちらからの攻撃に対して土魔術でのカウンターを仕掛けてくる。魔術での遠距離攻撃では、防御にシフトしたボスの守りを抜くことができなかった。かろうじてリックの木実弾がダメージを与えているくらいだ。

「うーん、仕方ない。奥の手を出そうかな」

「援護する! 白銀さんはガーディアンの注意を引き付けてくれる?」

「わかりました! オルト、リック! 奴を挑発するんだ!」

「ムムー!」

「キュッキュー!」

アミミンさんが何か大技を使うらしい。俺たちはボスの注意を引きつけながら、アミミンさんに背中を向ける様な体勢へと誘導していく。

「ラッランラ~♪」

オルトとリックが前をチョロチョロしつつ、ファウが音楽を奏でる。そして、ボスの注意が完全に俺たちとマッツンさんに向いたとき、アミミンさんの声が聞こえた。

「小朝! 捨身の一撃!」

捨身の一撃というのは、HPをマックスHPの半分消費に加え、MPも全消費。その代わりに次の一撃の威力が数倍増という、正に捨身の一撃の名に相応しい技である。

これはユニークスキルで、現在のところアミミンさんのモンスが所持しているものしか確認されていないのだ。因みに、掲示板情報である。

「おお、小朝が捨身の一撃持ちだったのか!」

驚く俺の目の前で、雄鶏にそっくりなモンスターである、コケッコーの小朝がボスに向かって突進していった。そして、その小さい嘴でボスの硬い甲殻を突く。

全くダメージが通りそうな絵面ではないのだが、凄まじい轟音とともにボスが体勢を崩したのだった。

一気にHPを削ったのだが、それでも倒すには至っていない。だが、アミミンさんの攻撃はそれで終わりではなかった。

「召喚、弥助!」

そう叫んだ途端、小朝の姿が光って消えたかと思うと、その場所には大きなカブトムシのモンスターが出現していた。

「弥助! ホーン・アタック!」

「ゴゴ!」

カブトムシが角でボスを追撃する。それでも倒すには至らなかったが、完全に転ばすことに成功していた。

あとは皆で総攻撃だ。特にマッツンさんが呼び出した、大きなオーガの様なモンスターが厳つい。どっちがボスか分からない迫力のある姿だ。オーガはその凶悪フェイスが伊達ではないと示すかのように、その手に持った大きなハンマーでボスに止めを刺していた。

「ガオォォ……――」

光の粒となって消える土霊のガーディアン。

「ふぅ。終わったー」

危なかった。アミミンさんたちがいなかったら完璧に死に戻っていただろうな。

「お疲れ様。援護助かったよ。ありがとう」

「私も吟遊詩人系のモンスを探してみるかな」

ちょっとはお役に立てた様で、よかった。強い人に寄生してボス戦に勝つとか、最低の行為だからね。まあ、それに近いかもしれないけど……。いやいや、次はもっと役に立って見せるさ! その決意が重要だ! 多分……。