軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

176話 進化の後先

アミミンさん、マッツンさんとのダンジョン探索はサクサクと進んでいた。さすがにトッププレイヤーなだけあり、2人ともメチャクチャ強いのだ。

気を抜くとすぐに寄生になる。これは気合を入れないとやばいな。アミミンさんのモンス達はダンジョンに合わせて小型の物ばかりなんだが、3体とも進化済みな上に、驚くほどに高火力だった。

しかもサモナーのマッツンさんの召喚するモンスも非常に強い。サモナーの戦い方を初めて見たが、その都度的確にモンスを呼び出すことで、常に敵の弱点を突けるのだ。あっと言う間に俺の最高到達地点を越え、さらに奥へと進んでいく。

すると、道中でマッツンさんがノームと契約しようとしていた。だがそもそも契約自体が試せないようだ。ノームはテイマー専用だったらしい。

「では……ウンディーネも? は、はは」

マッツンさんがダメージを受けている。どうやらノームよりもウンディーネ派だったようだ。可哀想だが、俺にはどうしようもない。その後、ストーンスネークと契約を結んでいたが、精神のダメージは癒えなかったらしい。しばらく無言だった。

ノームはテイマー専用。ストーンスネークがサモナー専用か。テイマー勝ち組だな!

ただ、アミミンさんはノームをテイムしようとはしない。素材目当てで、ノームはいらないのかな? だが、俺の予想は間違っていたらしい。

「お、髪の色が違うな。もしかしてユニーク個体か?」

「ついに来たね! ユート君、あの子は私がテイムしてもいい?」

アミミンさんはユニークを狙っていたようだ。なるほど、上に行くためにはモンスの選別も重要ってことなんだな。

「はい、どうぞどうぞ」

「ありがと。じゃあみんな、倒しちゃだめだよ?」

「ゲコ!」

「クエ!」

「シャー!」

ガマンガエルの武蔵、コケッコーの小朝、ヴァイパーの道三がやる気満々に返事をする。アミミンさんは動物タイプが好きらしい。ただ、そこにこだわりがある訳ではないようだ。ノームを欲しがっているわけだしね。

そしてある程度削ったところで俺の出番だった。アミミンさんたちのおかげでMPも余りまくっている。手加減を惜しみなく使って、殺さないように細心の注意を払いながらノームを攻撃した。

あとはアミミンさんがテイムをすれば完了だ。スキルが相当鍛えられているらしく、ユニークノームであっても10回ほどでテイムが成功してしまった。さすがアミミンさんだぜ。

オルトと何か違いがあるのか気になったのでステータスを見せてもらう。そして、俺は思わず驚きの声を上げてしまっていた。違いがあるどころではなかったのだ。

名前:トルケ 種族:ノーム 基礎Lv15

契約者:アミミン

HP:45/45 MP:49/49

腕力10 体力10 敏捷7

器用13 知力16 精神10

スキル:株分、重棒術、水耕、土魔術、農耕、採掘、夜目

装備:土霊のクワ、土霊のマフラー、土霊の衣

なんと育樹の代わりに水耕を所持していた。どうやらユニーク個体の持つ特殊スキルは、個体によって差があるようだ。

う、羨ましい。俺が今一番欲しいスキルじゃないか。アミミンさんにオルトとスキルが違うと告げると、すでに知っていたようだ。オルトが育樹を持っているというのは結構知られてるしな。しかも、ユニークモンスターは個体によって所持スキルが違うという情報は、アミミンさんが発見して早耳猫に情報を売ったらしい。

次にノームのユニーク個体が出たら、俺がテイムするぞ! ただ、絶対に水耕持ちが出るとは限らないんだよな。育樹持ちの可能性だってある訳だし……。でも水耕は絶対に欲しいし、テイムするだけしてみよう。

そう決意も新たにしたんだが、狙うと出ない物だよね。ユニークノームが全然出ない。普通のノームを倒し過ぎて、オルトのレベルが上がってしまったぜ。

「ムッムー!」

「おわ! オルトが光って……進化か!」

ノームは25レベルで進化だったみたいだ。

「す、すいません、ちょっと待ってもらっていいですか?」

俺の言葉に、アミミンさんたちは笑顔で返してくれる。

「さて、私は一服してようかね」

「進化は重要だからね。何時間でも待つから!」

「いやいや、十分くらいで済みますから。ただ、少しアドバイスを頂けたら嬉しいんですが」

「いいよ。任せておいて!」

一服し始めたマッツンさんを残して、アミミンさんが俺のステータスウィンドウを覗き込む。これは心強いぞ。さて、オルトの進化先はどうなっているだろうか。

「ふむふむ。ノームファーマー、ノッカー、ノームファイター、ノームリーダーか」

「へえ、多いねぇ」

一緒にいるアミミンさんのまとめページの情報を思い出す。確かファーマー、ノッカーが通常進化のはずだ。ただ、βとは進化時のスキルが違うな。上級に進化するのは同じだが、新たに習得するスキルがどうやら変化しているようだった。

ノームファーマーに進化させると、ステータス上昇に加え農耕スキルが上級となり、重棒術、土魔術が特化という初めて聞く成長をするようだった。どうやら畑仕事に完全に特化したスキルになるみたいだ。さらにスキルを2つ選んで習得させることができるらしい。βでは栽培促成、散水で固定だったようだが、正式版では他にも選べるようだ。リストを確認してみると、植替え、育樹、栽培促成、水耕、土壌改良、農地造成が選べた。す、水耕があるんですけど! これはファーマーしかないか?

「まあまあ、他も見てみようよ」

「そ、そうですね」

危ない。思わずファーマーを押しそうになっていた。アミミンさんがいてくれてよかったぜ。

お次のノッカーと言うのは、確か鉱山の妖精のことである。その名の通り、発掘系に特化した能力を得るらしい。採掘、重棒術、土魔術が上級となり、採掘変質、宝石発見というスキルを覚える様だ。採掘変質は、通常では発見できない特別な鉱石を発見出来るスキル。宝石発見は俺が持っているスキルと同じだ。どちらも極低確率で特殊な物を採掘できるスキルだった。

さらに重要なのは、戦闘行為が解禁されると言う事だろう。土魔術、重棒術、ともに戦闘で使用することができるようになるらしい。凄く魅力的ではあるんだが、オルトはこのルートじゃないだろう。

「お次はファイターだな」

「多分、それが好感度マックスで選べる進化先だね~。ステータスはどうなってるの?」

「えーと、腕力が8も上昇して、戦闘技能を覚えますね」

ノームファイターでは土魔術、重棒術が上級になり、盾術・上級、力溜め、忍耐を覚えることができた。こちらも面白いんだが、俺はオルトに戦闘は求めてないからね。このルートもないかな。

最後はユニーク個体専用ルート、ノームリーダーだ。1番期待している進化先でもある。

「ほうほう」

「凄いねー。さすがユニーク進化先」

農耕、採掘の2つが上級になり、土魔術はやはり特化だ。追加スキルは守護者が確定。もう1つは植替え、育樹、栽培促成、水耕、土壌改良、農地造成、採掘変質、宝石発見から選ぶことができるようだった。やはり直接攻撃する能力はない様だな。だが、守護者というのが中々に面白いスキルだった。プレイヤーでも盾士などの転職先で覚えるらしい。

守護者:武器での受け、盾技能にボーナス。パーティメンバーが多い程、防御力上昇。守護者使用時、挑発効果あり。吹き飛ばし、ひるみ耐性あり。

つまり、盾役としての能力が上昇するということなんだろう。しかも水耕も入手できるし、メチャクチャいいんじゃないか?

ファーマーとノッカーの良いとこ取りだ。まあ、どっちつかずの中途半端な能力とも言えるだろうが……。ステータスの上昇も一番良いし、俺は進化先にノームリーダーを選ぶことにした。アミミンさんもリーダーを推してくれているしね。

「ムッムム~!」

オルトが光り輝き、進化を開始する。

名前:オルト 種族:ノームリーダー 基礎Lv25

契約者:ユート

HP:71/71 MP:79/79

腕力16 体力16 敏捷13

器用19 知力20 精神 15

スキル:育樹、株分、幸運、収穫増加、重棒術、土魔術・特化、農耕・上級、採掘・上級、夜目、栽培促成ex、守護者、水耕

装備:土精霊のクワ、土精霊のマフラー、土精霊の衣

こんな感じだ。外見は――。

「あんま変わらないな。衣装は少しお洒落になったけど」

「ム?」

身長などは全く変わっていない。ただ、今までは農家の少年風の格好だったのが、商家の次男くらいにはなったかな? マフラーや服が小奇麗になり、ちょっとだけ刺繍などが施されている。

「調子はどうだね? オルトくん」

「ムッムー!」

おお、これまたちょっとだけお洒落な彫り物が追加されたクワを振り回す姿が決まってるね。ノリの良さも健在だ。進化しても性格などは今まで通りであるらしい。

衣装がちょっと変わっただけに見えるが、その真価は畑に戻ってから発揮されるだろう。そうだ、水耕用プールを買わねば!

「まあ、採掘が上級になったし、今日のところは土霊の試練で頑張ってもらおうか」

「ムム!」