軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

59.転生王子、手紙を受け取る

朝はいつも、ボクの唯一のメイドさんであるメリエルが起こしてくれる。

もう5才なので、そろそろ自分で起きられる様になりたい気持ちはあるけれど、なかなかむずかしい。でもボクは寝起きはいいので、起こされるとけっこうすぐに起きられる。

相変わらずお顔を洗う時は袖と周囲がびちゃびちゃになっちゃうけど、これも前よりはマシになってる気がする。日々成長してる。

洗顔を終えたら、メリエルが顔を拭く布を持って来てくれた。

「お着替えはこちらにおいておきます」

「うん」

ボクは王子で5才だけど、すてきな旦那さんを目指しているからね、自分でできることは自分でするんだ。あとボク付きのメイドがメリエル一人で、他に従者もいないのでとっても忙しいからっているのもある。

なんせみそっかす王子なもんで、王宮がボクに支給してくれるお金も限られているし、人材なんてもってのほか。

何なら最近まで護衛も毒見役もいなかったくらいだ。

「おはようごぜぇます坊ちゃん!」

ちょうど部屋に入ってきた元気のいい赤毛の青年。

この男が、ボクの護衛兼毒見役のベディだ。本名はもう少し長くて発音しにくいので、ベディとしている。

ベディは赤軍の第十五部隊にいたんだけど、ボクが毒殺されかけたことで激怒したおじいさまに言われ、王宮がようやく護衛をつけるってなった時に引っ張ってこられた。

通常王子の護衛となると、まず騎士であること家系が重視されるのだけど、ベディはそのどちらでもない。

田舎の王子かどうか血筋が怪しいみそっかすのは、このくらいがお似合いだというどこかの陣営の横入りが入ったみたい。まず護衛と毒見役が一緒でひとりしかいないのがおかしいしね。

でもボクは頑張り屋なベディのことは気に入っているので、そこに不満はない。

人材不足でふたりにお休みをあげられないことは問題だから、それだけはどうにかしたいと思ってはいるけど。

「ベネディクテュスさん、“おはようございます”です」

「おー、メリエルおはよう……ご、ざいます」

こんな感じで、二人も仲良いしね!

「それよりもリエト様、お手紙が届いております」

メリエルがそう言って、箱に入った手紙を差し出してきた。

「え、また?」

この手紙というのは、アカデミーに通う上の兄様たちからのお手紙のことだ。

「そう面倒くさがるものではございませんよ」

「違う違う。早すぎるからこれ、飛鷹便使ってるでしょって言いたいの」

アカデミーに通われている第四王子よりも上の兄様たちは、ある日突然ボクにお手紙を送ってきた。

アカデミーのお話なんかが聞けるのは嬉しいんだけど、何でボクに?と思ったので、お返事をする時にアカデミー進学前の兄様たちを誘って一緒にお手紙を書くことにした。するとなんと、その各兄様宛て全部にお返事が来たのだ。

そんなわけで、なぜだか第一から第四王子のアカデミー組の兄様たちと第五から第八のボクたち王宮組とでの文通が続いている。

この文通っていうのは、アカデミーでは生徒がお家にお手紙を送るための配達システムがあって、各所に「継所」って呼ばれる配達物を預かる場所があって、そこでリレー方式でお手紙を配達してもらえるんだって。

でも兄様たちからのお手紙は違う。それだったらこんなに早く届くわけない。

前回お返事を出したのが6日前で、ボクらのお手紙は王宮から送るから継書システムじゃなくて直接お届けの3日くらいかかるやつだ。それでも継書だと多分5、6日は掛かるから早い方なんだ。

それがお返事を書く時間を1日としたら、2日で返って来ちゃってる。直送便より速いから、多分訓練された飛鷹って鳥を使った配送で来ちゃってる。

こんなに頻繁にやり取りするとは思わなかったのは確かだけど、さすがアカデミーに通っている兄様たちはみんな主塔の方々だなって思ったんだ。

あ、「主塔」って言うのは、お城の真ん中にある建物の事で、王様とその家族が住む所でもあるんだ。

ここで言う「家族」って言うのは、「お妃様とその子供」を指す。

つまり、正妃ツェツィーリア様とその子供である第三王子のオリヴィエーロ兄様。

第二妃エデルミラ様とその子供である第一王子フィレデルス兄様と第四王子ラウレンス兄様。

そして第三妃マルガレータ様と第二王子のアルブレヒト兄様と第五王子のエアハルト兄様。

エアハルト兄様以外の兄様はみんなアカデミー組だ。

でもって側妃とその子供、つまりボクらは側妃棟に住んでいる。

「しかもこれ、ボク宛てのだけじゃなくてエアハルト兄様たちの分も全部入ってるね」

最初に王宮組の兄様たちのそれぞれの手紙を一個にまとめて送ったのはボクだけど、そのせいでお返事も毎回まとめてボク宛に届くようになっちゃった。配送代をケチったばかりに面倒な役割を負うハメになってしまった。

普通の王子様ならここで従者に「各兄様に渡しといて」って言えばいいだけなんだろうけど、ボクにはメリエルとベディしかいない。忙しいメリエルと護衛でボクのそばを離れちゃいけないベディに頼むことはできないので、ボク自身が直接お渡しにいかないといけないのだ。

「ディートハルト兄様とノエル兄様には図書室でお会いできるけど、エアハルト兄様に会うには主塔に行かないといけないんだよな〜」

やっぱりちょっと面倒かも、とゴチるボクにメリエルが淡々とボクの袖のボタンを止めながり言った。

「今日は温室でお茶会の日では?」