軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

939.翌朝の結木家

「あっ、さつきちゃんおっはよー!」

「おはようございまーすっ」

朝から元気なまもり姉は、一階冷蔵庫で保管していたカフェオレを廊下でキメるさつきに声をかけてきた。

さつきは、そこはかとなく「これはカフェオレなんですよっ」感を出すため、ちょっとラベルをチラチラさせる。

「ほほう、カフェオレですか」

「そうなんですっ」

さつき、得意げで満足気。

「いやー最近のまもりが楽しそうだったのは、さつきちゃんたちと遊んでたからだったんだねぇ」

まもり姉は「なるほどなぁ」と、納得したようにうなずく。

「姉としては、元気な妹の姿を見るのはうれしい限りだよ! ウチはあたしもお母さんもお父さんまで外遊びが好きなんだけど、まもりはいつもお菓子だけ買って、一目散に帰ってきて静かにしてる感じだから、ちょっと心配でさぁ」

「そうだったんですかぁ」

「それが今は本当に楽しそうなんだよ。さすがにCMとかに出てるのは現実感がないけどさぁ、昨日聞いてみたら、さつきちゃんたちのことは本当によく話すんだもん! びっくりしたよ!

しかもそれだけじゃなくて……まさかあのまもりが、スキップする日が見られるなんて……!」

そう言ってまもり姉は、感慨深そうにする。

メイたちとの冒険の約束があり、かつ新発売のお菓子を見つけてきた日のまもり。

見かけた下手なスキップを、姉は忘れない。

「……さつきちゃん、これからもよろしくね。姉にこういうことされるの、まもりは嫌だろうけどさぁ」

「もちろんですっ。こちらこそよろしくお願いいたしますっ」

二人がそんなことを話していると、続けて可憐とつばめが階段を降りてきた。

「「おはようございます」」

「聞こえてた?」

「はい」

「まもりのこと、よろしくね」

「もちろんです。ただ……」

うなずくつばめに、可憐も続く。

「ただ?」

「すごくいい話なのに、パーティーサングラス着用でしてたんですね……」

いい話が聞こえると思ってやってきた可憐、優しい笑みを浮かべるまもり姉のパーティーサングラスには、さすがに言わずにはいられなかった。

「あれっ? これダメ?」

「いえ、朝の静かな空間に差し込む陽の光。美しい光景をまとめて吹き飛ばす陽気さだったので……」

「そっかー」と言いながらサングラスを外し、軽くウィンクしてみせるまもり姉に、可憐はいよいよ圧倒される。

「ちなみにまもりって普段どんな感じなの? これまでチームでする遊びとかほとんどしてなかったから、想像がつかないんだけど」

「わたしたちのパーティにはもう、まもりちゃんが必要ですっ」

「防御の要ですね。苦境から反撃の糸口になる瞬間を作り出してくれますよ」

「私は、一緒に食べ歩きできるのがとても楽しいです」

「まもりが食べ物に目を輝かせてるのは、可愛いわね」

「うんうんっ」

「へえ…………だって」

ガタッ!

聞こえた音に、皆が階段の方に振り返る。

「ええ!? まもりマジでいたの!? さすがにいないだろうと思って、遊びでカマをかけてみたつもりだったんだけど!」

「っ!!」

まもり姉がそう言うと、まもりは意を決したように階段の陰から飛び出してきた。

「あ、ああああの、ここここれは盗み聞きをしていたとかではなくっ!」

姉のおふざけに引っかかってしまったまもりは、手をブンブン振りながら否定する。

「別に聞かれてもいいよ! まもりちゃんは本当にパーティの大事な仲間だからねっ」

「そういうことね」

「その通りです」

「え、あ、そ、その…………あ……ありがとございます……」

本当に真正面から言うさつきに、まもりは赤面しながら言葉を失くす。

「今日も一緒に楽しみましょうっ」

「は、はひぃっ」

「いえー! まもりよかったねぇ!」

そう言って肩を組んでくる姉に、うれしい半分迷惑半分なまもり。

するとそこに、まもり母もキッチンからやって来た。

「あら、賑やかにしてるかと思ったら仲良いわね。朝ごはんできてるわよ」

「はいっ」

まもり母の呼びかけに、さつきたちは並んでダイニングへ。

「あ、朝ご飯とは……」

「夕食の間違い……だとしても多いわね」

「えーと、ちょっと気合入れすぎちゃった」

そして、その光景に唖然とする。

こちらもまもりが友達を連れてきたことでテンションが上がっていたのか、うっかり大量作成。

「てへ」っと、笑うまもり母。

「この量は、下手なボスより難敵かもしれません」

さっそく始まる、豪華すぎ朝ごはん。

我慢できなくなって、可憐が問う。

「朝起きた時からしてるんですか……? そのパーティーサングラス」

朝一番で姉も母もパーティーサングラスをしていたことに、もう言わずにはいられない可憐。

「クラッカーもまだ残ってるよ!」

スッと、クラッカーを取り出してみせる母姉。

「二人とも、そういうのはもういいから……っ! お姉ちゃんも大体いつも連休はいないのに、どうして今日はいるの?」

「そんなの、まもりたちがいるからに決まってんじゃん!」

そう言ってクラッカーを鳴らす姉。

京の物語は、いよいよ詰めの段階に入る。

腹ごしらえには少し多すぎる朝食を、さつきたちは笑いながら過ごしたのだった。