軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

821.新たな行き先は

攻略組の一翼を担っていたパーティと共に、行動することを決めたメイたち。

行方不明プレイヤーの謎は、確かに気になるところだ。

「さっきのって【口寄せ】よね? もしかしてバニーって忍者なの?」

「そのとーりっ!」

得意げに笑う、バニー・ラビッツ。

「結ぶ『印』がちょーど手を組む『お祈り』的な形だったから、頭を少し傾げると可愛く見えるというすっごい発明をしちゃったんだ!」

「忍とはいったい……」

戦闘前の変身は白の【バニースーツ】

二刀流の包丁で【三枚おろし】

お祈り型の【口寄せ】が、ヴォーパルバニーの大行進。

オマケに決めポーズまでありという、まるで忍ぶつもりのない忍者を思い出してくすくすと笑う。

「でも驚いたわ。【戦乙女】はジョブをもとにした呼び名だったのね」

「さすが攻略組ですね」

ツバメの言葉に、まもりもこくこくとうなずく。

「順番としては『戦乙女』になったのが先なの。ウェーデンみたいな北部の街もVRなら寒くないから旅しやすいなと思って行ったら、偶然いいクエストに当たった感じ。攻略組には、割と運よく効率の良い経験値の稼ぎ方を見つけた人が多いみたい」

「ばるきりーかぁ、かっこいいなぁ」

短距離とはいえ、空を駆けるスキルのカッコよさを思い出すメイ。

「だが、木から木へ飛び移るターザンスタイルも他にない個性だ。動画を見て痺れたぞ」

「ああっ、それは忘れてくださいっ! 普段はコーヒー片手に読書をする普通の女の子なんですっ!」

カフェオレ片手に広報誌を眺めることを上手く言い換えたメイに、今度はツバメがほほ笑む。

「そういう意味では、灰猫のレベル上げは熾烈だったな」

「よりによって、地下墓地で効率いいところを見つけちゃった感じだったみたいで。毎回震えてたんでしょう?」

「今思い出しても震えるにゃん」

おいしい狩り場は、なかなか見つからない。

見つけてしまった以上、使わないのはなしだ。

灰猫はレベル上げを、その墓場で敢行した。

「そのため毎回あげる悲鳴が徐々に勘違いされ、『嘆きの洞窟』みたいな呼ばれ方をするようになったらしいんだ」

「それは不可抗力にゃん」

「アーリィはよくこのパーティを引っ張ってこれたわね……」

「あはは、慣れれば大丈夫なものだよ意外と」

「虫にも慣れてたら、あんなかっこ悪いことにならなかったよねー?」

「そもそもバニーの変身ミスからなのっ!」

「もう!」と怒るアーリィに、バニーも笑う。

「このとーり、アーリィは面倒見とスタイルの良いリーダーなんだ! よろしくねっ!」

「きゃあっ!」

「ああ、なんと言ってもアーリィはスタイルがいい」

「こ、こら! 夜琉まで!」

アーリィに抱き着き、手をあちこちに伸ばす二人。

「……攻略組を騙ってる偽物とかじゃないわよね?」

「大丈夫だと思います。いざという時には頼れる方たちなのでしょう」

そんなアーリィたちのノリに、苦笑いしながら進むレン。

今度はメイがアーリィに問いかける。

「これからどこに向かうつもりなんですかっ?」

「エルラト禁域」

「「っ!!」」

アーリィの言葉に、レンとツバメが驚く。

「どうしたのー?」

一方のメイは、初めて聞く言葉に首を傾げた。

「エルラト禁域は、見えてるのに入れないことで有名なんです」

「少し古いRPGでは結構見られた演出で、結構ワクワクするのよ。明らかに何かがあるのに行けない場所。それが明確に見えてるほど『何があるんだろう』って気になるのよね」

「はい。軍艦島が近くに見えているのに入れないみたいな状況だったらワクワクしてしまいませんか? そのような感じです」

ツバメの独特な説明に、「な、なるほど」とうなずくまもり。

一方メイは「ぐんかんじま?」と、首を傾げる。

「バニーちゃんも、最初はワックワクだったよ」

「ああ、まさかのあの禁域に入れるとは思わなかったな。そこから続く道は……なかなかのものだったが」

「まず洞窟を抜けるのにひと月近くかかるとは、さすがに思わなかったにゃん」

「ひと月……?」

灰猫から出た言葉に、驚くレン。

「禁域へと続くダンジョンが面倒な感じになっていてな。今思い出しても、あの攻略の大変さはゾッとするほどだ」

「たどり着いた禁域には何があったの?」

「謎の部族が住む遺跡だね」

「そこからだ。元々高かった難易度がさらに上がり攻略組は半壊。リスポーン組と行方不明組に分かれることになってしまったわけだ」

その時の惨状を思い出し、夜琉はその凛々しい目を閉じ息をついた。

「今時ちゃんとマッピングしながら進むタイプのダンジョンって、なかなかないよね。でも今回はもう二周目だから、結構サクサクと進めると思うよ」

アーリィが「じゃじゃん」と取り出したのは、松明に魔法珠灯、ランタン等の照明道具。

バニーはその隣で、厚い地図帳を「ババーン!」と広げて見せた。

「こ、これは……」

地図の厚さに、これから向かうダンジョンの厳しさがうかがえる。

まもりは真面目な顔で、レンの方に振り返った。

「何か気になることでもあった?」

その真剣な面持ちに、レンも真剣に問いかける。

「こ、このダンジョンの性質を考えた時」

「ええ」

「け、携帯できる食品を多く買っておいた方がよいのではないでしょうか……!」

「そんな真面目な顔で言う事?」

これには呆気にとられるレン。

「そっかー! 飲食のシステム拡充されたんだよね! せっかくだし試してみたいかもー!」

「いいかもしれないわね」

「楽しみだな」

しかし最近の飲食システムが一気に進んだことをあまり知らないアーリィたちは、嬉しそうに顔を見合わせる。

「それじゃあ飲食系のアイテムも含めて、ひと準備しましょうか」

「りょうかいですっ」

「で、では私はまず、北部の水産加工食品を仕入れに……!」

「そこまではしなくていいわよっ」

突然気合が入りまくるまもりに、新攻略組の八人は笑うのだった。