軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

817.攻略者たち

メイたちの前に現れた、四人の少女たち。

その目前には四体のグリフォン。

どうやら最後尾にいる黒い個体が、ボスのようだ。

「先陣は任せて! 【クイックステップ】!」

そう言って駆け出したのは、淡い金の長い髪に白羽付きの金冠を乗せた少女。

紅い宝石をあしらった冠は、正面部分が西洋兜のバイザーのようになっている

白銀のライトアーマーに緑球色のスカートが特徴的。

速い移動で距離を縮めていくが、先手を打ったのはグリフォンの羽ばたき。

地を駆ける烈風に対し、剣の少女は強く地面を蹴った。

「【リトルウィング】!」

背中に生まれる翼の羽ばたきエフェクトと共に、跳躍。

文字通り任意の方向に4,5メートルほどの飛行を可能とするスキルは、一瞬強く噴き出すブースターといった感じだ。

「【エアダッシュ】!」

さらに数歩ほど空中に足をつけるスキルで距離を延長し、一気に敵の頭上へと躍り出る。

「【白鳥乱舞】!」

手にした美麗な細剣を、空中で五連斬。

広がる白刃のエフェクトが、敵を刻む。

そして着地と同時にすぐさま再跳躍すると、そこからさらに四発の空刃を放って取り巻きグリフォンを一撃打倒。

低い飛び掛かりからの乱舞で敵を追う【白鳥乱舞】に、レンが思い当たる。

「この装備と空中を駆けるスキル……もしかして『戦乙女』?」

「ばるきりー?」

聞きなれない言葉に、首と尾を傾げるメイ。

「装備からなのか、ジョブからなのかは分からないけど、そう呼ばれるプレイヤーがいるの。確か『攻略組』の一員だったはず」

「【爆歩】!」

そんな戦乙女に襲い掛かろうとするグリフォンに、爆発的な勢いの低空跳躍で迫るのは、長い白髪の華奢で小柄な少女。

白の袴に薄水色の羽織。

病弱にすら見えるほど可憐な少女は、その見た目にそぐわない大太刀を空中で構える。

すると大太刀少女の接近に気付いたグリフォンは反転し、暴風で足止めにかかる。

しかし少女の勢いは【爆歩】の『スーパーアーマー』性能によって、止まることなし。

猛烈な爆風を打ち破り、敵の目前へ。

「【月穿ち】!」

そのまま身の丈ほどのもある大太刀で、抜刀回転斬り。

空中に巨大な毛筆で描いたかのような白の斬撃エフェクトを放つ一撃はなんと、グリフォンを真っ二つにして屠ってみせた。

「なんという火力ですか……!」

『斬る』というより『叩き斬る』ような豪快な一撃に、思わずツバメが息を飲む。

「そっちは任せたぞ」

大太刀を鞘に納めながら振り返ると、そこには後衛を任された一人の少女。

「……ん」

そうつぶやいたのは、左右で長さの違う『U』字型の悪魔の角をつけた少女。

肩までのふわっとした黒髪に黒紫のワンピースをまとった、目つきの悪い少女だ。

猛烈な勢いで迫り来る敵を前に、しかし後衛型の少女はまるで焦る気配もない。

「大丈夫なの?」

後衛が距離のあるうちに攻撃をしないという事態に、思わず息を飲むレン。

敵はもはや目前という距離まで迫ったところで、ようやく悪魔少女はその手を伸ばした。

「【杭打ち】」

その手から放たれた大きな『光の杭』が、敵を貫く。

時間が止まったかのように、串刺し状態でその場に止まるグリフォン。

やがて突き抜けた光が弾けて消えるのと同時に、粒子となって消滅した。

これで残りはエリアボスである、黒のグリフォン一体のみ。

「最後はこのバニー・ラビッツちゃんに、おまかせあれっ!」

帝国裏手の山中にて、魔物の前でポーズを決める白ベレー帽の少女。

「うわわわ! あぶないよーっ!」

なぜかこちらに向けてポーズを取っている白ベレー少女に、メイが「うしろうしろー!」と尻尾をブンブンしながら指を差す。

するとベレー帽少女は、両手を広げてくるっと一回転。

「【早換え】! バニーちゃんドレスアップ!」

セットにした二種類の装備を、任意で切り替えるスキルを発動。

すると冒険者にはあまり見えない普段着のような装備が一転、燕尾服の裾のような形をしたスカートを巻いた、白のバニースーツ姿に変わる。

「わあ! すごーい!」

この【早換え】スキルを戦闘前に使うことで、まるで『変身』するヒーローや魔法少女のように姿を変更。

ようやく少女は戦闘態勢に入る。

「【因幡ステップ】!」

三段跳びを続けるような柔軟かつ大きな足の運びで一気に距離を詰め、両手に刺身用の長い【包丁】を取り出す。

「【三枚おろし】!」

そしてそのまま、通常攻撃が三段の軌跡を描くようになるスキルを発動。

左右の【包丁】で合計六つの斬撃を叩き込む。

「【千切り】!」

さらに踏み込んで放つは、大きな縦振りの斬り下ろし。

八本の同時垂直斬撃で黒グリフォンを斬り付け、そのまま転がした。

「みーんな出ておいで! 【口寄せ】!」

攻め続けるバニーはその場で一回転して、両手を胸元で握る。

それから可愛く首を傾げると、巻き上がる煙。

そこに現れたのは、見覚えのある白ウサギたちだった。

「ゴーゴー! ヴォーパルバニーちゃん!」

凄まじい勢いで飛び出してきた大量のウサギが、倒れた敵に猛スピードで殺到し、その鋭い歯でかじりつく。

全身に取りつかれて真っ白になった黒グリフォンは、白の波に飲み込まれてHPを削り切られ、粒子となって消えていった。

「小型の魔物を大量に呼んで、物量でダメージを取る召喚なんて初めて見たわ……」

「可愛いけど恐ろしいですね」

「こ、これは盾では防げなそうです……」

「すごーい!」

現れた魔物の群れを、ボスごとあっさり片付けてみせた四人にメイは拍手。

各自の攻撃が派手で高火力で、それでいて的確。

彼女たちの強さと見事な戦いぶりを目の当たりにしたレンは、思わずゴクリと息を飲む。

「これが……攻略組」