軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

719.vsエルドワ連合軍

「「「【バーストレイン】!」」」

五矢同時撃ち。

その全てが、急な縦落ち軌道で降り炸裂するスキル。

この攻撃を複数人のエルフが放ち地面に着弾、こちらの足を止めたところでドワーフたちが特攻を仕掛けてくる。

「【バンビステップ】!」

「【加速】!」

対応して駆け出したメイとツバメは、様子見から入る。

大きな踏み込みから放たれる、斧の強い振り降ろしを回避しメイは懐へ。

「【キャットパンチ】! パンチパンチパンチ! からのーっ!」

そこに飛び掛かってきたドワーフが振り上げた斧に、メイはしっかり目を付け一回転。

「尻尾ビンタだーっ!」

踏み込んできたドワーフの頬をカウンターで叩き、体勢を崩させた。

「【電光石火】!」

隙を見せたドワーフをツバメが斬り倒し、その背後から迫る新たなドワーフを【投擲】で足止めする。

「HPゲージがない……これは一定時間生き残ればいい形だわ!」

「りょうかいですっ!」

「了解しました」

「「「【誘導矢】【五連続撃ち】!」」」

放たれるエルフ五人がかりの弓矢攻撃。

これをメイとツバメが回避に移ると、後衛組目がけて別動の三人組ドワーフたちが突撃をしかける。

「【回転戦斧】!」

「し、失礼します! 【クイックガード】【地壁の盾】! 盾!」

一度頭を下げてから前に出たまもりは、二連続の振り回しを物理防御スキルの連発できっちり守る。

「【返し大戦斧】!」

続くドワーフは斧を左から右に振り回した後、わずかなタメから大きく振り返す。

しかしこれも【地壁の盾】で防御。

「【ダイナミック・クラッカー】!」

そして【ローリングアックス】のドワーフを踏み台に跳び上がった、三人目のドワーフが跳躍から降り下ろす大斧。

その高い威力は、地を割るほどだが――。

「【地壁の盾】!」

ガキィィィィン! という盛大な音と共に、これも見事に防御。

「【ローリングシールド】!」

「「「ぬおおっ!?」」」

左盾の大きな振り回しで、三人組ドワーフを転がす。

「炎の矢がいきます!」

ツバメの言葉にまもりはすぐさま動き出し、迫る炎の矢に右手の盾を向ける。

「【天雲の盾】【コンティニューガード】!」

防御系スキルの効果時間を伸長するスキルで、放たれた七連続の矢にしっかり身体を向ける。

鳴り渡る連続の金属音。

七つの矢により広がる爆炎の全てを、一つのスキルの延長効果で弾き飛ばしてみせた。

だが敵の攻撃は、まだ終わらない。

「【アローレイン】!」

定番の降り注ぐ矢。

これをしっかり左の盾を掲げることで、無効化したところにあがる声。

「「「今だ! 一気に押しつぶすぞ!」」」

この隙に駆け寄ってきていたドワーフたちが、怒涛の勢いで駆け込んでくる。

しかしこのドワーフたちが縦の隊列になっていることに気づいたまもりは、ここで左の盾を引いた。

「【シールドバッシュ】!」

「「「うおおおおおお――――っ!!」」」

先頭に叩き込む盾の振り上げがドワーフを弾き飛ばし、後方に続いていたドワーフを巻き込んで吹き飛ばす。

「矢の一本も通さない完全防御、これは驚いたわ……!」

隙だらけになったドワーフたち。

当然レンはこの隙を逃さない。

「【フレアバースト】!」

盾の叩きつけを決めた直後のまもりの横に出たレンは手を伸ばし、ドワーフたちを吹き飛ばす。

「ここだ!」

しかしここでエルフが差し向ける、一頭の白豹。

「【オーバーグロウ】!」

「「「「ッ!!」」」」

猛烈な速度で駆け出した白豹は、一時的な過成長によって巨大化。

【剛腕大爪撃】は、強打に加えて大きく相手を転がす大技だ。

「【不動】【地壁の盾】!」

しかしその場に『とどまる』ためのスキルは、【耐久】に効果を依存する。

まもりは巨大化白豹の爪を、しっかりと盾で受けとめた。

「【加速】!」

この隙を突き、駆けつけたのはツバメ。

「【紫電】!」

駆け抜ける電撃で、白豹の動きを止める。

「【バンビステップ】!」

するとそこに続いたメイは、なんと硬直している白豹の前足をつかんだ。

「【ゴリラアーム】! せーのっ!」

そのまま大きな白豹を振り回して三回転。

迫る新たなドワーフたちに向けて、全力でぶん投げる。

「「「ぐおおおおおお――――っ!!」」」

巻き込まれて転がっていくドワーフたち。

「レンちゃんっ! あの木だよ!」

「了解! 【フリーズブラスト】!」

レンは【ヘクセンナハト】で、メイが指定した木を攻撃。

すると隠れて矢を放とうとしていたエルフたちが、身体を震わせながら落ちてきた。

こうして敵は全滅。

続くはずの戦いが途切れているが、クエストの時間は終わっていないという時間が始まる。

作業を早く終えたけど、就業時間は終わっていないといった感じの手持ちぶさた時間が、わずかに過ぎた頃。

「これは一体どういうことだ!?」

「どうして人間が、ドワーフとエルフを相手に戦ってるの!?」

メイがここに来る前に出会った老ドワーフとエルフが、まだ戦いが白熱している感じでやってきた。

「やめて! この人間たちはエルフの敵じゃないわ!」

終わっている戦いを、エルフは必死に止める。

「双方武器を下ろせ! とにかくまずは話をしようではないか!」

「なんだか、演劇のようですね」

そんな二人を見て、ツバメがつぶやく言葉と共に終わる戦い。

老ドワーフはようやく、この場をまとめにかかるのだった。

「あの高温ガスは、ドワーフたちが仕掛けたものではなかったのですか……」

両者の話を聞いたエルフの弓術師が、なるほどとつぶやく。

「ガスが今後さらに噴出すれば、ミスリル鉱玉をみすみす目の前で失うことになるからな。お前たちエルフ族と協議するよりもまず、ガスの勢いが弱い瞬間を狙って回収だけしておくつもりだったのだ。思ったよりも足場が危険で、なかなか進めずにいたのだがな」

「ドワーフはとにかくミスリル鉱玉の保全を優先して、相談なく行動。エルフはその行動と毒ガスの噴霧を見て、独り占めしにきたと勘違い。これがこのクエストの裏側だったわけね」

「レンちゃんよく気づいたねっ」

尻尾をブンブン「おおーっ!」と感動するメイ。

「運が良かったわね。まあ鉱玉は適当に分けなさいよ。それより、頼みがあるんだけど」

「頼み?」

「私たちの目的は、【清地薬】なの」

「なるほど、それでは私が用意しましょう。材料がないため少し時間がかかりますが――」

「そういう事なら素材はこっちで出してやる。人間たちには世話になったからな」

老ドワーフの一言で、材料も入手。

こうしてメイたちは、『言われるままに行動していたらドワーフを一方的に追い返してしまう』形になるうえに、『材料』を自力で探すはめになるクエストを見事最高の形で達成。

【清地薬】の入手に成功したのだった。

「ああそうだ。俺たちも世話になったからな。こいつを持って行け」

そう言ってドワーフは、まもりにカギ付きの小箱を渡す。

「わ、私ですか……?」

「カギがないと開かない箱なんだが……中身はお前さん向けのもののはずだ」

「へえ、なんだかワクワクするアイテムね」

「わ、私なんかが頂いてしまっていいのでしょうか」

「この感じだと、職業とかスキル的にまもりが一番有用なんでしょうね。気にすることはないんじゃない?」

「はい、まもりさんの見事な防御は良い仕事をしてくれています」

「そのとおりだよっ!」

「……あ、ありがとうございますっ」

そんな三人の言葉に、まもりはペコペコと何度も頭を下げるのだった。