軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

676.星屑無双

「色んなボスと戦えて楽しかったね!」

ペナルティなしだが、経験値もない。

フェスのアトラクションとしては地味な模擬戦。

しかし『メイちゃんのボス戦講座』が始まったことで、偶然その場にいたプレイヤーたちは大喜び。

しっかり各ボスの対処を学んで、自信を付けたようだ。

「ちなみに、存在は確認されてるけど強すぎて手がつけられていない幻のボス10選っていうのがあるんだけど、そこに遺跡都市ラプラタの銀色メイも入ってるのよ」

「そ、そんなのがあるのっ!?」

アンタッチャブルリストの存在を聞かされて、驚愕するメイ。

『禁忌目録』は有志プレイヤーが作ったもので、なかなか読みごたえがあるものになっている。

「そう言えばそろそろ、大規模戦のイベントクエストがありましたね」

「どんなイベントなのー?」

「広いフィールドで、途切れることなく現れる敵をとにかく皆で倒し続けるという企画で、打倒数によってポイントがもらえる仕組みのようです」

「とにかく大勢で、めちゃくちゃに暴れる感じね」

「楽しそうだね! 行ってみようよ!」

そんなメイの一言に、模擬戦プレイヤーたちがざわつき出す。

「次はイベクエに行くのか!」

「メイちゃんたちのおかげでボス攻略できたし、このままイベクエに乗り込もうぜ!」

「仲間呼んでくる!」

「わたしもいってきます!」

こうして一団と化したメイたちは、北部草原地帯に向かう。

そこにはすでに、参加者たちが集まり出していた。

「ああっ!」

メイが空を指さす。

そこには、こちらへ飛んでくる見知った一体のドラゴン。

その背から跳躍した少女は華麗に着地、淡い橙色の髪を優雅に払ってほほ笑んでみせた。

「活躍を続けているようですわね、聖城レン・ナイトメア」

「人違いです」

「白夜ちゃん!」

「アルティシア以来ですね」

「貴方たちがいると聞いて、遊びに来てしまいましたわ」

さっそうと登場した白のドレス装備の少女に、ざわつき出す参加者たち。

「光の使徒だ……!」

「これは面白くなりそうだな!」

盛り上がりはするが、うまみは少ないため強者の参加はあまりない。

そんなイベントにメイを始めとした有名どころが集まれば、盛り上がり出すのも当然だろう。

だが、これだけでは終わらない。

メイたちがフェスに参加していたことは、思ったよりも広まっているようだ。

「あっ、メイちゃんたちいたよ!」

聞こえてきたのは、ローランの爽やかな声。

やって来たのは、神槍のグラムとその仲間たちだ。

「せっかくだから、また一緒に遊びたいなと思って!」

そう言って爽やかな笑顔を見せるローラン。

「こんなうまみのないイベクエ、出る意味があるのか?」

一方グラムは、あまり気が乗らないようだ。

「参加したいなら、ローランたちで勝手にすればいいだろ」

どうやら『補習』でしっかり絞られたのがこたえたのか、ご機嫌斜めだ。

子供のように頬をふくらませている。

「クエストも、グラムちゃんがいれば百人力だね!」

「…………ほう?」

しかしメイの一言に、わずかに頬を緩ませる。

「グラムさんの槍さばきは豪快ですからね」

「ほうほう、それで?」

続くツバメの言葉にグラム、どんどん得意げな表情になっていく。そして。

「お、おい、グラムも参加するのか?」

「まさかまた、あの最強コンビネーションが見られるのか!」

その言葉が最後の一押し。

「ふははははは! 運が良かったな! 神槍のグラムの妙技を、その目にしっかりと焼き付けるがいい!」

「「「おおおおおお――――っ!」」」

上がる歓声に、さらに気持ち良くなるグラム。

実際今もメイとグラムが一緒に戦った動画は、最強コンビネーションとして閲覧され続けている。

参加者たちが盛り上がるのも当然だろう。

「相変わらずちょろいわねぇ」

「ちょっと褒められると、すぐこれだからな」

これには金糸雀も笑う。

「でも確かに美味しいクエストではないけど、どうしてまた?」

「メイちゃんたちが出るんだったら、一緒に遊びたいなと思って」

「楽しくなりそうだからな」

爽やかに笑うローランと、肩にハンマーを担ぎながらうなずく金糸雀。

話題をさらう二つのパーティが一緒に戦うとなれば、当然参加者たちは盛り上がる。

この流れは、これでもまだ終わらなかった。

現れたのは一頭の白馬。

メイたちに気づくと、一直線に駆け込んでくる。

豪快に砂を蹴り、やって来た白馬の上には二人の少女。

「ぬはははは! 待たせたな! 聖騎士アルトリッテ参上だーっ!」

「「「うおおーっ!!」」」

バッと大きな動きで白馬から飛び降りるアルトリッテと、しれっと降りる魔導士マリーカ。

白馬が腕輪に消えゆく中、マリーカはしっかりと着地。

アルトリッテは予想以上の慣性に体勢を崩し、そのままゴロゴロと転がる。

「ぬはああああああ――――っ!!」

上がる砂煙。

言葉を失う参加者たち。

「……いつものこと」

「いつもではない!」

すぐさま立ち上がり、こちらに駆けてくる金髪碧眼の少女騎士。

「驚いたぞ! まさかメイたちがフェスの看板になるとは!」

「……少し『探しもの』の手を休めて、遊びに来てみた」

「やったー!」

自分たちに会うためにやって来たというアルトリッテたちに、喜びの声を上げるメイ。

「いた! メイちゃんだ!」

「今回はマジで同じパーティで戦えるぞ!」

さらに、情報にいち早く気づいた掲示板組も続々と集まってくる。

そしてこの賑わいが大きく盛り上がったところで、空中に現れる魔法陣。

そこからゆっくりと降りてきたのは、運営の司会者だ。

「――――恒例となった星屑無双も、今回で7回目を迎えます」

ポロシャツに騎士兜という格好の運営が、イベントクエストの概要を説明する。

「ルールは簡単。途切れることなく現れる無数の敵を、とにかく倒して倒して倒し続けるだけです! 暴れまくっていただいて構いません! ここでのスキル使用は、その後に響きません!」

どうやら長いクールタイムを持つスキルも、このクエストが終わり次第すぐに再使用可能になるようだ。

「これまで制限時間30分での最高打倒数は92005匹! しかしこれは2年前の記録です。ぜひ今年、この高い壁を超えていくことを期待しております!」

「……これは最高記録、出るだろ」

「だよな、これは記録が残るぞ」

「何より、メイちゃんたちと一緒に暴れられるのが楽しみです!」

早くも期待にウズウズし始める参加者たち。

「それでは第7回イベントクエスト『星屑無双』を始めます!」

運営が巨大な銅鑼を叩き、始まるクエスト。

広大な草原に、大量のモンスターたちが登場する。

「いきましょう!」

メイの言葉にうなずくトッププレイヤーたち。そして。

「「「おおおおおおおお――――っ!!」」」

参加プレイヤーたちの気合の叫びが、草原に響き渡った。